山本馬骨の くるま旅くらしノオト

「くるま旅くらしという新しい旅のスタイルを」提唱します。その思いや出来事などを綴ってみることにしました。

2010年北海道くるま旅でこぼこ日記:第41日

2010-10-11 05:05:15 | くるま旅くらしの話

第41日 <8月19日(木)>

 

【行 程】 

東大沼キャンプ場 → 鹿部ロイヤルホテル(入浴) → 道の駅:なとわ・えさん(泊) <68km>

 

朝起きて外に出ると、キャンプ場の森に囲まれた駐車場の上の空は、紺碧に澄み渡っていた。2日も連続で快晴が続くなんて、駒ヶ岳の全容が見られるなって、北海道の旅では初めてのような気がする。本来当たり前のことが珍しいと感ぜられるのは、やはり普通ではないということの証なのかもしれない。雲ひとつない青空を見上げながら、昨夜の涼しさを思い出し、これが本来の北海道の夏だよなと、一人ごちたのだった。

今日も暑くなるぞと思った。今日は格別予定もなく、夕方までに恵山の道の駅に入り、Wお代官様にお会いして、お願いをしていたお土産の精算をさせて頂き、今年の北海道の旅の最後の夜をいろいろ歓談させて頂きながら過ごしたいと思っている。だから、日中は全く予定なしなのである。暑さの中を動き回っての観光めぐりなどには全く関心がない。函館名所なども未だ訪ねていない所は幾つもあるのだけど、もういいのである。無理して見て回るのではなく、何かのきっかけで本当に見たくなった時にそこに行けばよいのだと思っている。わけもわからぬまま見て歩いても、得るものは殆どなく、ただそこへ行ったという自己満足の欠片(かけら)が残るだけに過ぎないのだから。ま、そのことこそが観光の一番大切な意義なのだと考えている人たちには解せないことだと思うけど。

この東大沼キャンプ場は、駒ヶ岳の大噴火で吹き飛んだ土砂が川の流れを塞き止めて出来たらしい大沼の畔(ほとり)にあって、うっそうとした樹林に囲まれている。林間のキャンプ地はどんなにカンカン照りの日でも何の心配もない緑陰の中なのだけど、駐車場の方は、空が見える分だけ太陽の光の恵みが強烈で、逃げ場がない。しかし、縁の方は樹木があるので、日の当たり具合によっては木蔭があり、それをうまく使えば暑さを凌ぐことが出来る。ところがSUN号は図体がでかいので、樹木の伸びた枝が車体に引っかかってしまい、上手く木蔭に入ることが難しいのである。さて、どうしようかとしばらく様子を見ることにした。今日は平日であり、昨夜泊まった人たちの殆どは8時ごろまでには次の目的地に出発してしまっており、駐車場に残っている車は少なくなっている。それで、SUN号が独り占めにして良い木蔭もたっぷりあることが判った。

ということで、今日は昼過ぎまでここにジッとしていることにし、その後恵山に向かう途中に、鹿部町の温泉に立ち寄り湯をして、17時ごろまでに恵山の道の駅に着けるようにしたいと、凡その予定を決めたのだった。とにかくここにいる間は、好きなようにのんびり過すことにしたのである。考えてみれば、旅の間のんびり過すなどといいながら、本当にのんびり過ごした時間は少なかった感じがする。最後のチャンスなのであろう。

ところが、のんびりというのは、結構難しいようだ。好きなことを好きなように気ままにやって、などと言葉では格好良さそうなことが言えるのだけど、いざ実際に何をするのかといえば、ただ昼前から惰眠を貪るくらいのもので、音楽を聴くといっても1時間もすれば、又眠たくなってしまうし、本を読むというのも今一気乗りがしないといった有様で、結局は何がなんだかわけのわからない中途半端な時間の過し方となってしまったのだった。邦子どのの方も似たり寄ったりで、あまり寝すぎると頭が痛くなってしまうから、などといった具合である。

それでも強烈な日射しを避けて、木蔭に入って天然の涼風を存分に受けて過す時間というのは、真に果報というものであろう。暑さにもめげず、ご飯を炊き、味噌汁などを作って昼食を摂ったりしている内にあっという間に時間が過ぎて、14時も半ばとなったのだった。そろそろ出かけることにしようかと、その準備をする。それにしても何という快晴なのだろう。依然として上空には青空だけで雲一つないのである。ここからはほんの少ししか見えない駒ヶ岳も朝からくっきりと鋭鋒を空にかざしており、いつもは雲の中なのに、なんだか不思議さを覚えるほどだった。

14時半ごろ、鹿部の鹿部ロイヤルホテルに向って出発。勿論HOに掲載の無料入浴の恩恵に浴するものである。HOがなければ、なかなか思いついて行ける場所ではないと思う。しかしさほど高くない料金で日帰り入浴が出来るので、一度行っておけば今後は知った場所として利用する機会があるかも知れない。このような形で北海道や全国の入浴施設や宿泊施設などを知ることが出来るのはありがたいことである。15時少し前に到着。早速受付へ。丁寧な態度で無料の客を迎えて頂き恐縮する。HO掲載のホテルなどで、今まで一度も不愉快な応対を受けたことはない。この鹿部ロイヤルホテルもその応対は素晴らしかった。感謝、深謝。1時間ほど柔らかな湯を楽しみ、車に戻る。

入浴の後は、ひたすらR278を走って恵山を目指す。日射しは相変わらず厳しくて、サングラスは不可欠だ。昆布漁は相変わらず続いているようで、道の両側の狭い平地に敷き詰められた小石の干し場には、今採ってきたと思われる、海水の滴る褐色の昆布が敷かれていた。干し始めたばかりの昆布を見ると、まさに海の幸だなあと実感する。干しあがった昆布よりも採りたての黄金色に輝く昆布に一段と魅力を感ずるのである。3mを超えるほどの大きなものもあり、なんだかんだ言いながらも、北国の海の幸は未だ守られているのだと思った。これは、山中に牧場の廃屋を見るよりは、ずっと元気の出る景色である。

トンネルを幾つか潜り、今は函館市となった椴法華(とどほっけ)村を過ぎると、間もなく恵山の道の駅に到着。前回からもう6週間近く経っている再訪だった。今日は旅の最後の夜なので、間に合えば道の駅の名物になりつつあるガゴメ(=根昆布)ラーメンや根ぼっけ丼などを食べたいと考えている。いつも遅かったり早く着き過ぎたりして、まだ食べたことがない。17時に3分前に着いて、店に飛び込んで聞いたら、もう終りなのだけど、作ってもいいということだった。危うくセーフである。ラーメンは熱いので避け、根ぼっけ蒲焼き丼と根ぼっけの炙り寿司というのをオーダーした。少し待って、出来上がったものを食す。根ぼっけというのはどうやら地元で獲れる真ホッケのことらしい。炙り寿司はそれを炙って握り寿司にしたもので、2種あって、一つはネタの上に何やら塩味のする昆布の粉のようなものをまぶしたもの、もう一つは関西の握り風にネタの上にタレを塗ったものである。炙ったホッケは思ったよりも脂があり、なかなか美味かった。又根ぼっけ蒲焼き丼の方は、ホッケの半身を焼いたものを蒲焼きにしてどんぶりのご飯の上に乗せ、たっぷりとタレをかけたもので、このタレとホッケの味が微妙にウマが合って、これ又美味だった。旅の締めくくりの外食としては、十二分に満足だった。(念のため申し上げれば、一人で二人前食べたのではなく、炙り寿司の方は自分で、丼の方は邦子どの。お互いにちょっぴり相手のメニューを試食したということです)

  
道の駅:なとわえさんの食堂で味わえる、左根ぼっけ炙り寿司と右根ぼっけ蒲焼き丼。いずれも地元で獲れた新鮮なホッケをベースにした食材で作られている。ホッケの寿司というのは初めてだったが、なかなかの美味だった。

満腹になった後は、車をキャンプ場の方に移して、しばらく休憩する。暮れてゆく海には少し風が強まったのか、うねりが大きくなって白波を立てながら渚に押し寄せていた。海鳴りというのか、潮騒というのか、山で育った自分にはどちらがどうなのか良く判らないけど、ここに来ると海の生命の鳴動ようなものを感ずるのである。

18時近くになって、訪ねようとしていたWさんから電話があり、早速お邪魔することにする。6週間ぶりの再会だった。玄関を入って驚いたのは、奥さんが松葉杖をついておられたことである。どうされたのかとお聞きすると玄関先の段差のある箇所で足を踏み外して、運悪くひびが入るという怪我をされたとか。もう2週間にもなるとのことで、ギブスが痛々しかった。思ってもいなかったことなので、本当に驚くとともに、我が身を振り返って気をつけないといかんなと思った。自分も昨年は旅の中で胸を箱の角に思いっきり打ち付けて肋骨を痛め、1週間ほどは寝返りも出来ないほどの痛い目にあった。恐らくひびでも入っていたのだと思うが、とにかくじっと我慢して何とか治して戻ったのだった。何処にどんな災難が待ち受けているやも知れず、うっかりと過信は禁物だなと思った。とにかく1日も早い本復を願うのみである。

それから後は、いつものようにあれこれと尽きない話題に歓談の時間が過ぎた。Wさんは今のところはくるま旅を休んでおられて、専ら小鳥の飼育など家での暮らしに専念されており、それらの話も面白かった。その中でもカナリアにテープで鳴き声を聞かせながら幼鳥を育てるというのが面白かった。親鳥のいない幼鳥にはお手本が必要とかで、特別に鳴き声の品評会で優勝したような鳥の鳴き声をテープに吹き込んで聞かせるようにしているのだそうな。鳥にも競争心のようなものがあり、相手の上を行く鳴き方が他を制するという様な話は、生存競争の一つの姿として面白いなと思った。メスの関心を引くためにしっちゃかめっちゃかな振舞いをして気を引こうとしている鳥の世界の話をTVで見たりするけど、鳴き声でも同じ様なことがあるようである。さて、来年来た時には、小鳥達に囲まれてWさんはどのような姿になっているのだろうか。楽しみである。

Wさんにはお土産の購入に関してお手を煩わしご迷惑をお掛けしてしまった。21時を過ぎて、その土産物を受け取りながらお宅を辞す。いや、いやあ、今年も又本当にお世話になりありがとうございました。ご自宅から旅車までは1分もかからない。嬉しくもありがたい距離である。今日の海は少し荒れ気味なのか、漁火は見えなかった。イカ漁は休みなのかも知れない。車に戻り、就寝の準備をする。

コメント
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