久しぶりに妹と美術館で待ち合わせ、いつものミュージアムランチのあとゆっくり観賞しました。『鳥獣戯画展』は数年前、九州国立博物館でも開催されました。
誰でも一度は見たことがある鳥獣戯画、心和むカエルやウサギたちの愉快な動き、その展覧会が今福岡市美術館で開催されています。
4巻からなる巻物は12~13世紀に描かれたもので、その軽妙洒脱な筆が現代にも通じるところにクスッと笑いがもれます。
戯画の単純化された線と表情の「愛らしさ」と、今の若者がよく使う「かわいい」の感覚に共通するものを感じました。愛らしさやかわいさは、人間に必要なものそして幸せなものなのだと妙に納得しました。
風刺とユーモアが心を開放させてふっと笑いを誘うのでしょう。今も昔もその感覚を共有している安心感と素晴らしさを再確認しました。
若冲、盧雪、蕭白、応挙、雪村の中の「かわいらしさ」も展示されていました。以前読んだ西條奈加『ごんたくれ』の登場人物と絵が一挙公開?・・・と思うほど嬉しくなる展示でした。
今回の展覧会には福岡市美術館所蔵の作品がたくさん出品されており、収蔵の幅の広さと奥の深さに市民として福岡市美術館を誇らしく思ったものです。
関連企画として、古美術企画展示室で『明恵礼讃』が開催され、高山寺の茶室「遺香庵」の茶道具が公開されています。
遺香庵と茶道具を寄進した近代数寄者の明恵上人へ寄せた礼讃が見える形で並べられています。
茶道をしている妹は垂涎の茶器にことさら感激の様相を示していました。手のひらに収まる茶入れや棗、蓋置きなど、茶器には日本の精神文化が凝縮されているのを感じます。とてもいい企画展示でした。
高山寺は、明恵上人が後鳥羽上皇よりその寺域を賜り、名を高山寺として再興したそうです。現在「鎌倉殿の13人」で存在感のある後鳥羽上皇。ドラマの見えない部分で明恵上人は活躍中・・・ですね。
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