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美瑛の農業と観光の取り組み

『北海道ガイド』より

美瑛の景観を支えているのは農業である。しかし、その農業と観光の結びつきは強いとはいえない。農業従事者の中には宿泊業、レストラン、観光農園を営む人や直売所で作物を売る人もいる。しかし、宿泊業、レストランを兼業する農家は数件である。ここではそれ以外の農業と観光を結びつける取組を紹介する。

カレーうどん

 カレーうどんは、美瑛町のB級グルメである。地元の「カレーうどん研究会」によって考え出された。小麦粉は、「ホクシン」と「春よ恋」を六対四で、ブレンドした美瑛産の「香麦」を使用する。豚肉、野菜なども美瑛産を使い、「つけ麺スタイル」の独特なカレーうどんである。さらに美瑛産の牛乳もつけている。つけ麺にしたのは、小麦粉の色をそのまま出した方が美瑛の小麦の特徴を出せることからである。観光客が美瑛の景観をみて感動した後に、美瑛の小麦を使ったカレーうどんを食べる。そのような物語を感じさせる効果をねらっている。

 美瑛産の小麦粉や野菜などを使うことにより、地産地消ができ農家のバックアップができる。さらに農協、商工会、観光協会の和ができ地域経済に貢献するメリットもあると考えられている。

美瑛選果

 農業との関連でJAびえいが一つの戦略として考えているのが美瑛選果である。

 美瑛選果は、駅近くの国道沿いに立地しており、「選果市場」、「選果工房」、「レストラン」からなる。「選果市場」は四九・三坪の広さの直売所である。おかれた農産物はいずれも品質が高い。

 「選果工房」は、美瑛産の農畜産物をメインに使用した、プリン、ポテトフライ、カレーなど手軽なティクアウトを売っている。

 「レストラン」はフレンチレストランの「野菜料理アスベルジュ」である。レストランで使用される野菜も肉類も美瑛の農産物が用いられている。

 美瑛だけで美瑛の農産物を消費するのは不可能なので、道外の観光客に売り、より需要を産む「地産多(他)消」がねらいである。「美瑛選果」はショールーム的な性格をもった建物といわれる。ねらいは直接の売り上げよりも消費者やスーパーに美瑛の農産物の良さを知ってもらうという宣伝効果にある。またレストランは地元の野菜を使うことにより、選果市場とレストランの相乗効果を生み出し、美瑛のブランドを全国に伝える役割をになっている。

 これとは別に、JAびえいでは道内外のイペントを絡めた大手スーパーヘの直販や、百貨店で開催される北海道物産への出品も始め、最近では農産展や大手量販店での直販イペントにも出品しているという。もともと品質の高い作物が美瑛ブランドとなっており、これを観光による効果と結びっければ、より大きな効果を生むのではないかと考えられる。

四季彩の丘

 四季彩の丘は、花畑をメインとして野菜の直売所、おみやげ物売り場、レストラン、コロッケやソフトクリームなどを売る売店からなる観光スポットである。花畑の面積は七hあり、ラペンダ、チューリップ、サルビア、ダリアなど数十種類の花が植えられている。入場は無料であるが、入口に募金箱があり、維持管理費用として一人二〇〇円程度の協力を求めている。管理運営にかかる費用は地元農産物などを売る売店やレストランの売り上げでまかなわれている。

 この「四季彩の丘」は、美瑛町農協の理事である熊谷留夫氏によって開設された。熊谷氏は十勝連峰の雄大な景観を望む丘陵に花を植え、都市からの観光客を呼び込むことを考えた。二〇〇一年にオープンし、努力を積み重ねて、二〇〇八年現在では、年間来場者は四〇万人(冬の間は八〇〇〇人)、年商は二億円(当初は一〇〇〇万)あり、最近では、韓国、台湾の観光客が増加している。美瑛の主な観光地を回るJRのツインクルバスのルートにも組み込まれている。二〇〇七年には、日本観光協会が主催する「花の観光地づくり大賞」に選ばれた。
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この本の意味 (μ)
2013-01-21 22:12:39
地域の活性化は地域の知恵で。
10年前に、美瑛の図書館に行った。町の本屋レベルだった。
 
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