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未唯への手紙

未唯への手紙

ソシュール【言葉が世界を秩序づけている】

2013年12月18日 | 2.数学
『図解いちばんやさしい哲学の本』より 現代思想を導く哲学者

社会に見えない「構造」がある

 1960年代のフランスで台頭したのが構造主義です。

 構造主義とはなにかというと、「この社会には普段は気づかない構造があって、私たちは知らず知らずのうちにこの構造に影響を受けている」という考え方です。

 そして、「社会をつくる構造は普段は見えないものなので、これを意識的に変えることは難しい」となります。

 変えられないのならば、構造を見つけても意味がないではないか、と思いますが、実際、構造主義が批判を浴びたところはこの点で、のちにポスト構造主義へとつながっていきます。

 では、構造主義はどのようにして起こってきたのか? そこから見てみましょう。

「意味するもの」と「意味されるもの」

 スイスの有名な言語学者に、ソシュールがいます。

 ソシュールは1913年に没していますが、構造主義の基本的な考え方は、彼の講義録『一般言語学講義』にあることから、一般にソシュールが「構造主義の祖」と言われています。

 ソシュールの言語思想は、①シニフィアン-シニフィエ、②ラング-パロール、③共時態-通時態、という3つの枠組みでとらえることができます。

 聞き慣れない言葉ばかりですが、フランス語で、シニフィアン(signifiant:記号表記)-シニフィエ(signifie:記号内容)、ラング(langue:言語規則)-パロール(parole:発話)です。

 以下、順番に見てみましょう。

モノが先か? 言葉が先か?

 ソシュール言語学がもつ意味をもう少し考えてみましょう。

 私たちは、はじめにモノがあって、それら一つひとつにラペルをはるように、名前をつけていると考えがちです。

 でも、そうではないのです。むしろ、モノに名前をつけるという行為によって、モノの秩序を編み上げていると言えるのです。

 図式化すると、「モノの秩序↓言葉の写し取り」ではなく、「言葉づけ↓モノの秩序」です。

 フランス語では「蛾」という言葉がないので、蝶と蛾のちがい(=秩序)がありませんが、「蛾」という言葉づけをした日本語では、蝶と蛾のちがい(=秩序)ができているのです。

 このことを言い換えると、世界はあらかじめ決まったものとしてあるのではなく、言語によってどう秩序づけるかによって、異なった世界が現れるということです。

 それは、「世界は人間が恣意的に秩序づけた体系しかない」という、新たな世界観を示していて、つまりは、この世界になんらかの普遍的な意味を見出そうとしていたそれまでの哲学に対する批判となっているのです。

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