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ソーシャル・ネットワーキングと図書館

『二十一世紀の図書館におけるプライヴァシーと情報と自由』より

オンライン上のソーシャル・ネットワークの興隆について、またこの興隆がプライヴァシーの減退をもたらすとの仮定について、この数年間に多くのことが書かれてきた。この3年間をみると、ほとんどすべての新しいウェブのプロパティは、何らかの形態のソーシャル・コネクティヅィティを有し、Googleなどの定評あるウェブ・ブランドでさえも、新しいソーシャルネットの活用を試みてきた。図書館はこの新たな領域を歩んでいるのだが、それは図書館自体のアイデンティティの創出、多様なサイト内での利用者の相互作用、それにFacebook、FriendFeedをはじめとするサイトヘのアクセスの提供、さらにはそうしたサイトの最善の使用法についての訓練を提供することによる。同時に、図書館や図書館員は利用者のプライヴァシーに深い信念を抱いてきたし、利用者の情報利用習慣にアクセスできるようにしてしまうことは、図書館が未然に防ぐものとされてきた。この2つの対立する立場、すなわちプライヴァシーに害を与えかねないネットワークヘのアクセスを助けることと、図書館利用者についての情報の保護を求めることに、本章は焦点を据える。

オンライン上のソーシャル・ネットワーク・サイトと考えられるものは、インターネットの初期の時代、すなわちSixDegrees.comというウェブサイトが1997年に出現した時期にさかのぼる。しかしながらオンライン上のソーシャル・ネットワークの歴史には浮沈があり、ひとつのサイトが人気を得ても、オンライン上の気まぐれな参加者が移動する理由をみつけると、他のサイトに取って代わられた。このサイクルは、2002年にFriendsterで始まり、2003年にはMySpaceに移動、そして2005年には現在のこの領域の主導者であるFacebookに移った。

ソーシャル・ネットワークのサイトを構成する要素は何であろうか。ダナ・M.ボイドとニコル・B.エリソンは、2007年の影響力のある論文「ソーシャル・ネットワーク・サイト:定義、歴史、研究」で、ソーシャル・ネットワークを次のように定義している。すなわち「ウェブを土台とするサービスで、個人に次のことを許す。(1)閉じられたシステムの内側で、公開あるいは準公開のプロフィールを構築すること、(2)他の利用者のリストを作成して、結びつきを共有すること、(3)そうした結び付きのリストや、システムの内側で他者が作成した結びつきのリストを見たり、渡り歩いたりすること」である。MySpaceやFacebookなどのサイトは、当人の情報の社会化と制限あるいは統制がそのすべてである。さらに中心となる他の目的を有するサイトがあり、例えばFlickr、YouTubeがある。さらにソーシャル・ネットワーキングの特徴を大いに有する特定の関心やトピックに限定したサイトがある。例えばLibraryThing (図書の議論)、Babycenter (育児と子育て)、Ravelry(編み物やクローシェ編み)、それにDisaboom (障害者や機能障害者との生活)である。現時点では、どのような趣味であっても、そうした趣味に応じたソーシャル・ネットワークがウェブ上に存在すると思われる。

この5年間にソーシャル・ネットワークは人気を獲得している。「ピュー・インターネット」の報告によると、14歳から17歳のティーンズでは82パーセントがソーシャル・ネットワーキングのサイトを利用していた。同じ報告書では、18歳から29歳のヤングアダルトもソーシャル・ネットワークを大いに利用しており、72パーセントが常連利用者であった。30歳以上になると、ソーシャル・ネットワークの利用者は急激に低下(40パーセント)するが、それは世代の影響で、年齢そのものの影響ではなさそうである。たまたま調査時に、その人たちが30歳を超えていたに過ぎない。したがって現在の25歳から29歳の人が30歳を超えれば、ソーシャル・ネットワーク利用者の率は上がるし、ソーシャル・ネットワークを快適とする世代も上昇すると考えてよい。

図書館にとって、ソーシャル・ネットワークの活用法は2つある。ひとつは利用者による利用で、いまひとつは図書館による利用である。いずれにしてもソーシャル・ネットワークの利用は、利用者のプライヴァシーについて図書館が長く維持してきた立場と対立する場合がある。そして図書館にとって、図書館の理想を保持しつつ、現在のオンラインの世界に参加することが可能か否かは明確ではない。現在のソーシャル・ネットワークの具体的な利用場面をいくつか取り上げて、どのように利用者のプライヅァシーが保持できるか考えてみよう。
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