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PISAの数学的リテラシーの枠組み

生きるための知識と技能』より

数学的リテラシーの定義

 数学的リテラシーとは、「様々な文脈の中で定式化し、数学を適用し、解釈する個人の能力であり、数学的に推論し、数学的な概念・手順・事実・ツールを使って事象を記述し、説明し、予測する力を含む。これは、個人が世界において数学が果たす役割を認識し、建設的で積極的、思慮深い市民に必要な確固たる基礎に基づく判断と決定を下す助けとなるものである」と定義付けられている。

数学的リテラシーの3つの側面

 数学的リテラシーの枠組みは、「数学的プロセス」「数学的な内容」「数学が用いられる状況」の3つの側面によって特徴付けられる。

 (1)数学的プロセス

  生徒が数学的な内容に取り組むのに必要な技能のまとまり。PISAの数学的リテラシーにおいては、生徒は実世界の文脈に基づく問題に取り組み、数学的探究が行えるように問題の特徴を見つけ出し、関連する数学的な能力を活発に使い、問題を解決する。そのためには多段階の「数学化」のプロセスに携わらなければならない。

  そのような「数学化」のプロセスには、思考と推論、論証、コミュニケーション、モデル化、問題設定と問題解決、表現、記号による式や公式を用い演算を行うこと、テクノロジーを含むツールを用いることといった8つの能力が関わっている。これらの能力は一般には同時に機能し複雑に絡み合っているが、ある数学的リテラシーの問題に取り組むときにはこの中の1つか2つの能力が特に顕著に関わってくる。これら8つの能力を含む認知的活動は、次の3つのプロセスとして説明される。

  「定式化」:数学を応用し、使う機会を特定することも含めて、提示された問題や課題を数学によって理解し、解決することができること。

  「適用」:数学的に理論化し、数学的概念・手順・事実・ツールを使って数学的に問題を解決すること。

  「解釈」:数学的な解答や結果を検討し、問題の文脈の中でそれらを解釈すること。

 (2)数学的な内容

  実生活で見られるような数学的概念のまとまり。それらは、数学的に考察する前の事象や場面によって、あるいは数学カリキュラムの内容のいくつかを結び付ける概念によって構成される。これらを「包括的アイディア」と呼ぶ。「包括的アイディア」は次の4領域である。

  「変化と関係」:変数間の関数的な関係と依存関係とともに変化の数学的関係を明らかにすること。

  「空間と形」:空間的、幾何的な現象や関係。ものの形の構成を分析するとき、対象の性質や相対的な位置を理解するとともに、それらの形が異なる表現や異なる次元で表されても認識でき、類似点や相違点を探すこと。

  「量」:数量的な関係、数量的なパターン、数量的な現象。相対的な大きさの理解、数のパターンを見つけること、量及び(数えることや測定のように)量として捉えることが可能な実世界の対象の特性を、数を用いて表すこと。数を理解し処理すること。

  「不確実性とデータ」:確率的・統計的な現象や関係。

 (3)数学が用いられる状況

  実生活で生徒が遭遇するような状況。この側面を取り上げたのは、数学的リテラシーを真正に評価するためである。つまり、学校の教科書でよく見られる数学を練習することではなく、様々な状況において数学を用いて問題を解決できるかを見るためである。問題は筆記形式で一連の問いに答えるようになっており、生徒が遭遇し、場面を分析し処理する際に、数学的な知識や理解や技能を活用できるようなものとなっている。

  状況は生徒との「距離」及び「数学の記号や構造が現れる程度」によって次のように分類される。

  「私的」:生徒の日々の活動に直接関係する文脈。

  「職業的」:職業の場面に現れるような文脈。

  「社会的」:生徒が生活する地域社会における文脈。

  「科学的」:より抽象的な文脈で、技術的な過程、理論的な場面、明らかに数学的な問題についての理解に関連する。
コメント ( 2 ) | Trackback ( 0 )
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コメント
 
 
 
量化 (『縮約(縮退)自然数』)
2019-05-31 18:06:31
 ≪…「変化と関係」 「空間と形」 「量」 「不確実性とデータ」…≫との事を
  『離散的有理数の組み合わせによる多変数創発関数論』の三形式(全称量化子・存在量化子(∃))で観る。

 存在量化の【数そのモノ】を[連続性]へ導くと『自然比矩形』の数学妖怪キャラクターの『(わけのわからん ちゃん) (かど ちゃん) (ぐるぐる ちゃん) (つながり ちゃん) (まとめ ちゃん) (わけのわかる ちゃん)』で≪…数学的リテラシーの枠組み…≫を[眺望(パースペクティブ)]できそうだ。 
 
 
 
⦅自然数⦆ (絵本まち有田川)
2020-01-10 05:02:05
 ≪…離散的有理数の組み合わせによる多変数創発関数…≫の
[眺望]は、[絵本]「もろはのつるぎ」で・・・
 
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