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空き家関連ビジネス シェアハウス

『限界マンション』より 空き家の利活用支援策と空き家関連ビジネス ⇒ ドイツの環境問題対策と同様に、マンションをシェアハウスにする。

空き家の増加に伴い、近年は、民間企業による空き家を活用したビジネスも増えてきた。空き家管理代行サービスは、空き家の所有者から依頼を受けて空き家の通気や通水、屋内清掃等を行うサービスである。不動産事業者のほか、警備会社、不用品回収・遺品整理業者、NPOなど空き家に関連する多様な業種が、このサービスに参入している。

料金は月数千円~1万円ほどで、不動産業者にとっては、管理代行によって空き家の所有者と信頼関係を築くことができれば、将来的には売却等の仲介につなげられるとの期待から、こうしたビジネスを行っている(管理代行単体では採算は見込みにくい)。警備会社については、定期巡回等本来の警備業務のノウハウが活用できることからこうしたサービスに参入している。空家対策特措法の施行に伴い、最近では空き家所有者の意識が高まり、遠方や高齢などの理由で白分か管理できない場合に、空き家管理代行サービスを利用するケースが増えつつある。

空き家の中でも立地条件や状態の良い物件を発掘して仲介したり、リフォームした上で再販するビジネスもひ場している。地方で、戸建ての空き家を手放したいという人が増えたことに目をつけ、それを買い取ってリフォームして再販するビジネスを展開しているカチタス(群馬県桐生市)がその代表的な事業者である。カチタスは、競売物件の買い取りから事業を始め、現在は一般物件の買い取りに重点を移し、地方都市を中心に全国展開している。

ただしこうした事業は、大都市においては土地の値段が高く、リノベーション物件でも値段が高くなってしまうため、成り立ちにくいという難点がある。大都市ではむしろ、中古の分譲マンションを買い取ってそれを改修して再販売するビジネスが成長している。同じ立地でもより安く手に入れられ、改修されていれば部屋は新築同様という点で需要を開拓できている。あるいは、自分で中古マンションを探し、それを好きなように改修して住むという需要も高まっている。

戸建て住宅については、東急電鉄など私鉄の中には、沿線の価値を維持するため、シニア層には戸建てから駅に近い高齢者向け住宅などに移ってもらい、空いた戸建ては改修して若い世代に入ってもらうことで住宅を循環させ、空き家の増加に歯止めをかけようとする取り組みを行っているところもある。こうした中古戸建てを改修して再販売する試みは他にもいくつかあるが、改修済みの物件でも相応の値段となるため、現状ではあまり需要を拡大できていない。

このほか、一戸建ての空き家では、空き家全体では借り手がつきにくいが、部屋貸しするシェアハウスの形態ならば家賃が安いため借り手がつきやすく、また、空き家所有者にとっても1軒まるごと貸すよりは部屋貸しした場合のトータルの家賃収入が高くなるメリットがあるため、シェアハウスに改修する例も増えている。分譲マンションの空室や利用しなくなった社宅・寮などもシェアハウスとして活用可能で、近年の若者のシェア(ウスブームの流れの中で、さまざまなタイプのシェアハウスが登場するに至っている。

このようにビジネスが十分成立し得る地域、物件においては、民間事業者による空き家流動化の動きが出てきているが、過疎地などでは採算をとることが難しいため、空き家の利活用を促すためには、前述のように、空き家バンクの設置や各種の支援措置など自治体による支援が不可欠となっている。また、地方ではシェアハウスについても、地域の建築学科などの学生に改修プランを練ってもらい、改修費や家賃などを補助することで学生に住んでもらうといった取り組みが中心になりがちで、純粋に民間のビジネスとしては成り立ちにくいというのが現実である。

一方、シェアハウスについては、違法な形のビジネスも登場している。一戸建てや分譲マンション、あるいはビルのワンフロアを2~3畳ほどの窓もない狭い部屋に区切り、低所得者など住宅弱者向けに低廉な家賃で貸すビジネスである(建築基準法などの要請を満たさないため、「違法シェアハウス」や「脱法ハウス」と呼ばれる)。現実にそうした違法な物件であっても住みたいという需要があるため、ビジネスとして成り立っている。

所得が少ない住宅弱者向けの住宅としては公営住宅があるが、数が限られ抽選倍率は高い。生活保護を申請するという手もあるが、その(ードルも高く、また申請には抵抗があるという人も少なくない。違法シェアハウスは、住宅弱者に対する支援が手薄いことを逆手にとったビジネスであるが、本来は、たとえば、ひたちなか市のように空き家に入居する際、自治体が家賃補助を行う仕組みがあれば、このような違法なビジネスが成立する余地は少なくなる。
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