未唯への手紙
未唯への手紙
真珠湾攻撃⇒チャーチル「我々はこの戦争に勝った」
『チャーチルは語る』より
「我々はソ連に対してできるかぎりの支援を与える」 一九四一年六月二十二日
一九四一年六月二十二日、チャーチルがアメリカ向けの演説を放送して一週間たたないうちに、ドイツはソヴィエト連邦へ侵攻した。一九三九年八月以来、ヒトラーのドイツはスターリンのソ連と同盟関係にあった。一九三九年十月、両国はポーランドを共同で侵略して分割していた。イギリスはそのポーランドの独立を守るために参戦したのだった。六月二十二日に突如としてドイツの猛攻撃が始まると、イギリスはソ連を同盟国と見なすべきか否か、ドイツの勝利を阻むためにイギリスがなしうるかぎりの援助をすべきか否か、チャーチルは決断しなければならなかった。その夜のラジオ放送で、彼はイギリス国民に自分の答えを伝えた。
ナチス体制は、共産主義の最悪の形態となんら違いがない。そこには欲望と人種主義による支配以外のいかなる理念もない。凶暴な侵略を首尾よく進めていくナチスの残虐性は、人間のあらゆる邪悪さを凌いでいる。過去二五年間、私ほど一貫して共産主義と戦ってきた者はいない。これまで共産主義について言ってきたことを、私は一言も取り消すつもりはない。しかしいま繰り広げられている悲惨な光景を前にして、すべてが消え去った。犯罪と愚行と悲劇を伴う過去は、閃光のごとく消え去った。[……]
我々の目的は一つしかない。ただ一つの不変の目的しかない。ヒトラーを打倒し、ナチス体制を跡形もなく消滅させることである。何があろうと、我々はこの目的からそらされはしない--何があろうと。
それが我々の政策であり、我々の宣言である。こういうわけで、我々はソ連およびソ連国民に対してできるかぎりの支援を与える所存である。全世界のすべてのわが友好国と同盟国にも、我々と同じ政策を採用し、不動の決意で最後まで忠実に目的を追求するよう訴えたい。我々はヒトラーともその一味とも決して交渉しない。我々は陸で彼と戦い、海で彼と戦い、空で彼と戦う。神の助けにより、地球上からヒトラーの影を排除し、彼の支配から諸民族を解放するまで戦う。
ナチス政権と戦い続ける人や国すべてに、我々は援助を与える。ヒトラーとともに進む人や国はすべて、我々の敵である。これは正式な国家のみに当てはまるのではなく、同胞と祖国を裏切ってナチス政権の手先となっている卑劣な売国奴集団のすべての代理人にも当てはまる。これらの売国奴は、ナチスの指導者そのものと同じく、その同胞によって始末されるほうが面倒がなくて望ましいが、始末されない場合は、勝利の暁に我々が彼らを連合国の法廷に引き渡し、裁きを受けさせることになる。
我々はソ連政府に対し、彼らの役に立ちそうな技術的・経済的支援を力の及ぶかぎり提供しようと申し出た。我々は昼夜を問わずドイツに対する爆撃を強化する。月を追うごとにますます大量の爆弾を投下し、ドイツ人が人類に強いてきた苦痛を、月を追うごとにいっそう強烈に彼ら自身に味わわせる。ここで注目すべき情報をお伝えしよう。つい昨日のことだが、わがイギリス空軍はフランスの領土の上空に深く入り込んで戦った。ドイツが侵略し汚し支配下に置いたと主張しているフランスの領土の上空で、わが軍はきわめて軽微な損失を被りながらドイツ軍戦闘機を二八機撃墜したのだ。しかしこれは始まりにすぎない。これからわが空軍の主力が加速度的に増強されていく。わが国がアメリカから受けているあらゆる種類の軍需物資の援助、とりわけ重爆撃機の援助は、今後六か月のうちにその威力を発揮し始めるであろう。
これは階級間の戦争ではない。イギリス帝国とイギリス連邦全体が、人種や宗教や党派の違いを越えて戦っている戦争である。私はアメリカの行動について発言する立場にないが、これだけは言っておきたい--もしヒトラーがソ連への攻撃によって、彼を倒そうと決意している二大民主主義国の目的をわずかでも分裂させたり努力を弱めさせたりできると考えているなら、哀れなほどの勘違いである。それどころか、我々はいっそう鼓舞され、彼の暴虐から人類を救おうとする努力をさらに強めることになる。我々の決意と精神力は強められこそすれ、断じて弱められはしない。
各国と各政府が結束して行動していれば、このような破局から自国と世界を救うことができたであろうが、自らあいついで打ち倒されるに任せた彼らの愚かさを、いまさら説教しても始まらない。さきほど私は、ヒトラーの血に飢えた憎むべき欲望が彼をソ連侵略に誘い込み駆り立てたと述べたが、その暴挙の背後にはいっそう深い一つの動機があるとも指摘した。ヒトラーがソ連の力を破壊しようとしているのは、それに成功すれば、ドイツの陸軍および空軍の主力を東方から引き戻して、この島国に投入できると考えているからである。この島国を征服しないかぎり、自らの犯罪に対する処罰を免れないことを、彼は知っているのだ。
ヒトラーのソ連侵攻は、わがイギリス諸島への侵攻計画の序幕にすぎない。疑いもなく彼は、冬が訪れる前にすべてを片付け、アメリカの海・空軍が介入する前にイギリスを制圧しようともくろんでいる。敵国を一つずつ撃破することによって、彼は長いあいだ成功し繁栄してきたが、その過程をもう一度、かつてないほど大規模に繰り返し、最終幕の障害を排除しようとしている。最終幕とは、それがなければ彼が征服してきたすべてが無に帰するもの、すなわち西半球を彼の意志に従わせ、ナチス体制の支配下に置くことである。
ゆえに、ソ連の危機は我々の危機であり、アメリカの危機である。それは、自分の家庭のために戦っているソ連人の大義が、地球上のあらゆる地域の自由民や自由国民の大義でもあるのと同じことだ。これまでの苦しい経験によって与えられた教訓を、いまこそ学びとろう。さらなる努力を重ね、生命と力のあるかぎり、一致団結してぶつかっていこうではないか。
「我々はこの戦争に勝った」 一九四一年十二月七日
一九四一年十二月七日、日本は真珠湾のアメリカ海軍基地を攻撃し、太平洋上のアメリカの領土(グアム、ミッドウェー、ウェーク島、フィリピン)へ海と空から攻め入った。日本軍は東南アジアのイギリス領(香港とマラヤ)とオランダ領東インドも攻撃した。チャーチルはこの運命の時を振り返り、『第二次世界大戦』に次のように書いた。
アメリカ合衆国が我々の味方についたことは私にとって最大の喜びだったと公言しても、私が間違っていると思うアメリカ人はいないだろう。私は事態の展開を予測できなかった。日本の軍事力を自分が正確に見積もっていたと言うつもりはない。しかしまさにこのとき、アメリカがこの戦争に深く関わり最後まで関与し続けることを、私は確信した。ゆえに、結局のところ我々はすでに勝っていたのである! しかり、ダンケルクを経て、フランスの降伏を経て、オランの悲惨な一件を経て、空軍と海軍を除けば我々がほとんど非武装のうちに本土を侵略される危険を経て、Uボート戦争の死闘、すなわち危ういところで勝利した最初の大西洋の戦いを経て、一七か月の孤独な戦いと、恐ろしい重圧のもとで私が責任を果たした一九か月を経て。
我々はこの戦争に勝ったのだ。イングランドは生き残る。イギリスは生き残る。イギリス連邦もイギリス帝国も生き残る。戦争がいつまで続くか、どのように終わるかは誰にもわからなかったし、このときの私はそんなことを気にしていなかった。わが島国の長い歴史の中で、再び立ち上がってみせるとしか思っていなかった。どれほど打ちのめされ、ずたずたにされようと、我々は危機を脱して勝利してみせる。決して抹殺されはしない。我々の歴史は終わりはしない。一人ひとりの人間としても、我々は死ななくてすむかもしれないとさえ思われた。
ヒトラーの運命は定まった。ムッソリーニの運命も定まった。日本人はどうかと言えば、彼らは粉々に打ち砕かれる運命だった。その他すべてについては、圧倒的な力をしかるべく行使しさえすればよかった。イギリス帝国とソヴィエト連邦が、そしていまやアメリカ合衆国もが、全生命と全力を注いで結集したからには、その力は敵の二倍、いや三倍にさえなると私には思われた。おそらく長い時間がかかるだろう。束では恐ろしい損失を被るだろう。しかしすべては通過点にすぎない。我々が団結すれば、世界中の他のすべてを服従させることができる。多くの惨禍やはかりしれない犠牲と苦難が前途に待ち受けていたが、その結末についてはもはや疑いようがなくなった。
愚かな人びとは、敵国内に限らず大勢いる愚かな人びとは、アメリカの力を見くびっていたらしい。アメリカは軟弱だと言う者もいたし、決して団結しないと言う者もいた。彼らは離れたところでのらくらしているだけだ。真剣に取り組むはずがない。流血に耐えられるはずがない。選挙を頻繁に繰り返すアメリカの民主主義と制度ゆえに、彼らの戦争への努力は無に帰する。彼らは味方にとっても敵にとっても、水平線上にぼんやりと姿が見えるだけだ。人口は多いが遠く離れたところにいる、裕福で口数の多いこの国民の無力さを、いまこそ我々は知るべきだ。
しかし私はアメリカ人が最後まで死にもの狂いで戦った南北戦争のことを学んでいた。私の血管にはアメリカ人の血が流れていた。三〇年以上前にエドワード・グレイが私に言った言葉を、私は思い出していた。アメリカは「巨大なボイラー」のようだ。「いったんその下に点火すれば、際限なく力を生み出すことができる」と。私は感動と感激に満たされて床に就き、救われた思いで感謝の念を抱きながら眠りに落ちた。
「我々はソ連に対してできるかぎりの支援を与える」 一九四一年六月二十二日
一九四一年六月二十二日、チャーチルがアメリカ向けの演説を放送して一週間たたないうちに、ドイツはソヴィエト連邦へ侵攻した。一九三九年八月以来、ヒトラーのドイツはスターリンのソ連と同盟関係にあった。一九三九年十月、両国はポーランドを共同で侵略して分割していた。イギリスはそのポーランドの独立を守るために参戦したのだった。六月二十二日に突如としてドイツの猛攻撃が始まると、イギリスはソ連を同盟国と見なすべきか否か、ドイツの勝利を阻むためにイギリスがなしうるかぎりの援助をすべきか否か、チャーチルは決断しなければならなかった。その夜のラジオ放送で、彼はイギリス国民に自分の答えを伝えた。
ナチス体制は、共産主義の最悪の形態となんら違いがない。そこには欲望と人種主義による支配以外のいかなる理念もない。凶暴な侵略を首尾よく進めていくナチスの残虐性は、人間のあらゆる邪悪さを凌いでいる。過去二五年間、私ほど一貫して共産主義と戦ってきた者はいない。これまで共産主義について言ってきたことを、私は一言も取り消すつもりはない。しかしいま繰り広げられている悲惨な光景を前にして、すべてが消え去った。犯罪と愚行と悲劇を伴う過去は、閃光のごとく消え去った。[……]
我々の目的は一つしかない。ただ一つの不変の目的しかない。ヒトラーを打倒し、ナチス体制を跡形もなく消滅させることである。何があろうと、我々はこの目的からそらされはしない--何があろうと。
それが我々の政策であり、我々の宣言である。こういうわけで、我々はソ連およびソ連国民に対してできるかぎりの支援を与える所存である。全世界のすべてのわが友好国と同盟国にも、我々と同じ政策を採用し、不動の決意で最後まで忠実に目的を追求するよう訴えたい。我々はヒトラーともその一味とも決して交渉しない。我々は陸で彼と戦い、海で彼と戦い、空で彼と戦う。神の助けにより、地球上からヒトラーの影を排除し、彼の支配から諸民族を解放するまで戦う。
ナチス政権と戦い続ける人や国すべてに、我々は援助を与える。ヒトラーとともに進む人や国はすべて、我々の敵である。これは正式な国家のみに当てはまるのではなく、同胞と祖国を裏切ってナチス政権の手先となっている卑劣な売国奴集団のすべての代理人にも当てはまる。これらの売国奴は、ナチスの指導者そのものと同じく、その同胞によって始末されるほうが面倒がなくて望ましいが、始末されない場合は、勝利の暁に我々が彼らを連合国の法廷に引き渡し、裁きを受けさせることになる。
我々はソ連政府に対し、彼らの役に立ちそうな技術的・経済的支援を力の及ぶかぎり提供しようと申し出た。我々は昼夜を問わずドイツに対する爆撃を強化する。月を追うごとにますます大量の爆弾を投下し、ドイツ人が人類に強いてきた苦痛を、月を追うごとにいっそう強烈に彼ら自身に味わわせる。ここで注目すべき情報をお伝えしよう。つい昨日のことだが、わがイギリス空軍はフランスの領土の上空に深く入り込んで戦った。ドイツが侵略し汚し支配下に置いたと主張しているフランスの領土の上空で、わが軍はきわめて軽微な損失を被りながらドイツ軍戦闘機を二八機撃墜したのだ。しかしこれは始まりにすぎない。これからわが空軍の主力が加速度的に増強されていく。わが国がアメリカから受けているあらゆる種類の軍需物資の援助、とりわけ重爆撃機の援助は、今後六か月のうちにその威力を発揮し始めるであろう。
これは階級間の戦争ではない。イギリス帝国とイギリス連邦全体が、人種や宗教や党派の違いを越えて戦っている戦争である。私はアメリカの行動について発言する立場にないが、これだけは言っておきたい--もしヒトラーがソ連への攻撃によって、彼を倒そうと決意している二大民主主義国の目的をわずかでも分裂させたり努力を弱めさせたりできると考えているなら、哀れなほどの勘違いである。それどころか、我々はいっそう鼓舞され、彼の暴虐から人類を救おうとする努力をさらに強めることになる。我々の決意と精神力は強められこそすれ、断じて弱められはしない。
各国と各政府が結束して行動していれば、このような破局から自国と世界を救うことができたであろうが、自らあいついで打ち倒されるに任せた彼らの愚かさを、いまさら説教しても始まらない。さきほど私は、ヒトラーの血に飢えた憎むべき欲望が彼をソ連侵略に誘い込み駆り立てたと述べたが、その暴挙の背後にはいっそう深い一つの動機があるとも指摘した。ヒトラーがソ連の力を破壊しようとしているのは、それに成功すれば、ドイツの陸軍および空軍の主力を東方から引き戻して、この島国に投入できると考えているからである。この島国を征服しないかぎり、自らの犯罪に対する処罰を免れないことを、彼は知っているのだ。
ヒトラーのソ連侵攻は、わがイギリス諸島への侵攻計画の序幕にすぎない。疑いもなく彼は、冬が訪れる前にすべてを片付け、アメリカの海・空軍が介入する前にイギリスを制圧しようともくろんでいる。敵国を一つずつ撃破することによって、彼は長いあいだ成功し繁栄してきたが、その過程をもう一度、かつてないほど大規模に繰り返し、最終幕の障害を排除しようとしている。最終幕とは、それがなければ彼が征服してきたすべてが無に帰するもの、すなわち西半球を彼の意志に従わせ、ナチス体制の支配下に置くことである。
ゆえに、ソ連の危機は我々の危機であり、アメリカの危機である。それは、自分の家庭のために戦っているソ連人の大義が、地球上のあらゆる地域の自由民や自由国民の大義でもあるのと同じことだ。これまでの苦しい経験によって与えられた教訓を、いまこそ学びとろう。さらなる努力を重ね、生命と力のあるかぎり、一致団結してぶつかっていこうではないか。
「我々はこの戦争に勝った」 一九四一年十二月七日
一九四一年十二月七日、日本は真珠湾のアメリカ海軍基地を攻撃し、太平洋上のアメリカの領土(グアム、ミッドウェー、ウェーク島、フィリピン)へ海と空から攻め入った。日本軍は東南アジアのイギリス領(香港とマラヤ)とオランダ領東インドも攻撃した。チャーチルはこの運命の時を振り返り、『第二次世界大戦』に次のように書いた。
アメリカ合衆国が我々の味方についたことは私にとって最大の喜びだったと公言しても、私が間違っていると思うアメリカ人はいないだろう。私は事態の展開を予測できなかった。日本の軍事力を自分が正確に見積もっていたと言うつもりはない。しかしまさにこのとき、アメリカがこの戦争に深く関わり最後まで関与し続けることを、私は確信した。ゆえに、結局のところ我々はすでに勝っていたのである! しかり、ダンケルクを経て、フランスの降伏を経て、オランの悲惨な一件を経て、空軍と海軍を除けば我々がほとんど非武装のうちに本土を侵略される危険を経て、Uボート戦争の死闘、すなわち危ういところで勝利した最初の大西洋の戦いを経て、一七か月の孤独な戦いと、恐ろしい重圧のもとで私が責任を果たした一九か月を経て。
我々はこの戦争に勝ったのだ。イングランドは生き残る。イギリスは生き残る。イギリス連邦もイギリス帝国も生き残る。戦争がいつまで続くか、どのように終わるかは誰にもわからなかったし、このときの私はそんなことを気にしていなかった。わが島国の長い歴史の中で、再び立ち上がってみせるとしか思っていなかった。どれほど打ちのめされ、ずたずたにされようと、我々は危機を脱して勝利してみせる。決して抹殺されはしない。我々の歴史は終わりはしない。一人ひとりの人間としても、我々は死ななくてすむかもしれないとさえ思われた。
ヒトラーの運命は定まった。ムッソリーニの運命も定まった。日本人はどうかと言えば、彼らは粉々に打ち砕かれる運命だった。その他すべてについては、圧倒的な力をしかるべく行使しさえすればよかった。イギリス帝国とソヴィエト連邦が、そしていまやアメリカ合衆国もが、全生命と全力を注いで結集したからには、その力は敵の二倍、いや三倍にさえなると私には思われた。おそらく長い時間がかかるだろう。束では恐ろしい損失を被るだろう。しかしすべては通過点にすぎない。我々が団結すれば、世界中の他のすべてを服従させることができる。多くの惨禍やはかりしれない犠牲と苦難が前途に待ち受けていたが、その結末についてはもはや疑いようがなくなった。
愚かな人びとは、敵国内に限らず大勢いる愚かな人びとは、アメリカの力を見くびっていたらしい。アメリカは軟弱だと言う者もいたし、決して団結しないと言う者もいた。彼らは離れたところでのらくらしているだけだ。真剣に取り組むはずがない。流血に耐えられるはずがない。選挙を頻繁に繰り返すアメリカの民主主義と制度ゆえに、彼らの戦争への努力は無に帰する。彼らは味方にとっても敵にとっても、水平線上にぼんやりと姿が見えるだけだ。人口は多いが遠く離れたところにいる、裕福で口数の多いこの国民の無力さを、いまこそ我々は知るべきだ。
しかし私はアメリカ人が最後まで死にもの狂いで戦った南北戦争のことを学んでいた。私の血管にはアメリカ人の血が流れていた。三〇年以上前にエドワード・グレイが私に言った言葉を、私は思い出していた。アメリカは「巨大なボイラー」のようだ。「いったんその下に点火すれば、際限なく力を生み出すことができる」と。私は感動と感激に満たされて床に就き、救われた思いで感謝の念を抱きながら眠りに落ちた。
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