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あらゆる子供が変身する、モンテッソーリ教育とは?

『集中力メソッド』より 残り99%の人へ贈るトップ1%の共通ルール

私が、ある重要な事実に気づいたのは、2012年の暮れのことでした。前著『トップ1%の人だけが実践している思考の法則』(小社刊)のために、調査をしていたときです。

私は、「誰も知らないような小さなビジネスが、ブレイクスルーするきっかけは何なのだろうか?」という疑問に答えるべく、ベンチャーからまたたく間に世界的なビジネスに躍進したさまざまな企業の起業秘話を集めていました。グーグル、アマゾン、ダイソンといった、みながよく知る成功企業のスタートアップ時のチャレンジや躍進の秘密をまとめ、共通する原則を見つけることが目的でした。

その過程で、私は意外なことを発見しました。それは、こうしたビッグビジネスを生み出した源泉は、「創業者の経営戦略や戦術ではない」ということでした。卓越したビジネススキルよりも、むしろ創業者の生い立ちに驚くべき相似性があったのです。

それは何か? それは、世界有数の成功者、つまりトップ1%の天才的なビジネスパーソンの多くが、同じような幼児教育プログラムを受けていた、ということだったのです。

モンテッソーリ教育とは、20世紀初頭のイタリアで初の女性医師として精神病院で働いていた女性マリア・モンテッソーリが考案した幼児教育プログラムです。その根幹は子供の自発性や集中力を養うメソッドであり、子供の能力を伸ばすための独自の教具とセットで運営されています。

マリア・モンテッソーリがそのメソッドを発見したのは、偶然でした。

彼女の前に、母娘の物乞いが現れたときのことです。お母さんの物乞いが、モンテッソーリに近づいているときに、幼い娘は、道に落ちていた切手を熱心に触っていたそうです。

娘は周りの状況や、自分の置かれた貧しい境遇をすべて忘れて、その作業に「深く、深く集中」していたのです。そして、モンテッソーリは、手先を使って深く集中している幼い娘の表情を見てハッと気づいたのです。それは「集中によって、子供の中の何かが大きく変化していること」でした。

そこから、彼女は、「集中」がもたらす子供たちへの素晴らしい効果を研究することになります。子供たちに「集中」を促すことによって、それまでの教育のいろんな問題がクリアになる、そう考えたのです。マリア・モンテッソーリは、幼児の中で起こっている驚くべき法則を見つけたときのことを次のように語っています。

私は幼子の心の中に起こっていることの中に、ある法則があることを発見しました。そして、この法則が教育の課題を完全に解決してくれる鍵を与えてくれたのです。(中略)それは、子供が集中するということです。このことを発見して以来、私は集中を可能にする教具と集中を促す環境を注意深く研究し始めました。こうして、私は私の教育方法を編み出したのです。〈マリア・モンテッソーリ著 鷹苛達衛訳『幼児と家庭』(エンデルレ書店)より〉

その後、モンテッソーリはメソッド、教具、教師の育成プログラムを開発し、普及に努めました。そして、モンテッソーリ教育は、瞬く間に欧米に広がっていきます。世代を越え、国を越え、集中のもたらす教育効果が世界中の子供たちを変えていきます。

アンネ・フランクはオランダで、ピーター・ドラッカーはオーストリアで、そしてグーグル、アマゾン、フェイスブック、ウィキペディアといったインターネットの覇者となった若者たちはアメリカで、このモンテッソーリ教育の洗礼を受けたのです。

このメソッドは、子供の先天的な素養や教育環境、親の財力や学歴には関係なく、それを実行した子供たち全員に素晴らしい成功の礎をもたらしました。モンテッソーリが最初に出会った物乞いの娘でさえ、もし教育機会さえあれば、幸せに満ちた人生を勝ち得たかもしれないのです。

では、モンテッソーリ教育ではどのように子供たちに集中を促すのでしょうか? 集中はどのような教育効果をもたらすのでしょうか?
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