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ITビッグ4同士の対決 音声アシスタント アマソン vs. グーグル

『ITビッグ4の描く未来』より 世界に君臨するITビッグ4 ITビッグ4は何がすごいのか ITビッグ4同士の対決 ~新たな分野で勢力争い~
米市場調査会社eマーケターの推計によると、アマゾンの「Amazon Echo(エコー)」をはじめとする、AI(人工知能)を利用する音声アシスタント機器の米国における利用者数は、2017年に3560万人に達し、前年から128・9%増加する見通しだ。
アマゾンのシェア、70%超に
 利用者数のシェアはAmazon Echoが70・6%と最も高く、これにグーグルの「Google Home」が23・8%で次ぐ。そして、残り約5パーセントのシェアは、「その他の企業」が分け合うと同社は予測している。「その他の企業」とは、中国レノボ・グループ(聯想集団)、韓国LGエレクトロニクス、米マテル、そして、サムスンが買収した米自動車部品大手ハーマン・インターナショナル・インダストリーズ傘下のオーディオ機器ブランド、ハーマン・カードンなどだ。
 eマーケターによると、今後数年間、米国におけるアマゾンの利用シェアは若干低下し、それに伴い、グーグルのシェアが伸びる見通し。だが当面は、アマゾンが音声アシスタント機器の市場で支配的な地位を維持するとeマーケターは予測している。アマゾンはAmazon Echoの販売台数を公表していないが、2016年末時点で1000万台以上が売れたと推計されている。また、市場調査会社コンシューマー・インテリジェンス・リサーチ・パートナーズ(CIRP)は、アマゾンがAmazon Echoの販売で、これまでに10億ドルを売り上げたと指摘している。
音声アプリや製品群を次々拡大
 アマゾンは、2014年11月にいち早く製品を市場投入し、その後、ほぼ1社独占でこの市場を拡大してきた。Amazon Echoは「Alexa(アレクサ)」と呼ぶ、AIを使ったクラウドペースのアシスタントサービスを利用できるスピーカー型機器。アップルがiPhoneで提供しているAIアシスタント「Siri(シリ)」と同じく、音声でさまざまな操作が行える。例えば、音楽を流したり、ニュース速報・スポーツ情報・天気予報を確認したり、タイマーを設定したり、といった具合だ。当初Amazon Echoは、アマゾンが用意する音声アプリ(「スキル」と呼ぶ)が利用できるだけだったが、同社はその後、これを外部の開発者に開放した。同社が音声アプリを作成するためのソフトウェア開発キット(SDK)を公開したのは2015年6月のこと。この施策が奏功し、音声アプリの数は、その1年後に約1000種がそろい、2017年2月に1万種の大台を突破したあと、同年6月末で1万5000種に達した。これらの音声アプリでは、部屋の照明スイッチをオンノオフしたり、宅配ピザのドミノピザに注文したり、コーヒーチェーンのスターバックスに事前注文したり、配車サービスのウーバーでクルマを呼んだりできる。
 さらにアマゾンは、製品ラインアップの拡充にも力を入れたAmazon Echoのシリーズ製品として、小型・廉価モデルの「Echo Dot」を発売。その後、カメラを搭載するファッション用途の「Echo Look」、ディスプレーを搭載して端末同士で通話ができる「Echo Show」などを市場投入。一部の製品は海外展開も進めた。
ライバルが続々と市場参入
 しばらくこうした状況を見ていたライバルも、やがて動き出した。まず、グーグルが2016年11月に、AIアシスタントサービス「Google Assistant」搭載のスピーカー型機器「Google Home」を米国で発売した。アップルも2017年6月、凶た搭載のスピーカー型機器「HomePod」を発表し、同年12月に米国、英国、オーストラリアで発売することを明らかにした。マイクロソフトは2017年5月、ハーマン・カードンと提携し、AIアシスタント「Cortana(コルタナ)」を搭載するハーマン製スピーカー機器「Invoke(インボーク)」を発表した。
 だが、アマゾンから2年遅れの市場参入は、そのエコシステム(生態系)の規模に大きな違いがある。インターネットと音声操作に関する話題を伝えるニュースサイト、ボイスボットによると、各社の2017年6月時点における音声アプリの種類は、アマゾンが1万5069種と断トツ。これに対し、グーグルは378種、マイクロソフトは65種となっている。
 この市場には、さらに新たな企業が参入してくると言われている。例えば、中国の電子商取引大手アリババグループ(阿里巴巴集団)や、韓国サムスン電子も同様のスピーカー型機器を開発していると伝えられている。このうちサムスンは、傘下のハーマン・カードンがマイクロソフトとの提携で製品を発売するが、親会社の同社も独自製品の開発に着手していると、ウォールストリート・ジャーナルなどの米メディアは伝えている。こうなると、この市場は競争が激化すると同時に、活況を呈してくると言えそうだ。
 英国の市場調査会社オーバムによると、現在のところAIを利用するデジタルアシスタントサービスは、主にスマートフォンとタブレット端末で利用されており、その利用台数は35億台になる。しかし今後は、モバイル端末以外の機器と連携するアシスタントサービスが家庭向けを中心に消費者に受け入れられ、この市場に新たな機会がもたらされる。そうした機器には、スマートホーム製品、テレビ、ウェアラブル機器といった新たな製品が加わり、その台数は、2021年に75億台を超えると、同社は予測している。

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