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世界の社会問題 予測退職後年数

『図表でみる世界の社会問題4』より

移民

 移民人口は全人口に占める比率として増大している。2001年から2011年までのあいだにエストニア、イスラエル、ポーランドを除くすべてのOECD諸国で、人口中の外国生まれの比率加増大した。

 2011年ではOECD平均で外国生まれ人口の比率は12.6%である。人口に占める外国生まれの比率がもっとも高いのは、オーストラリア、カナダ、イスラエル、ルクセンブルク、ニュージーランド、スイスである。これらの国では少なくとも5人に1人は外国生まれである。この時点でOECD諸国のなかの3分の2近くの国々で、移民人口が人口の10分の1を超えていた。しかし、移民比率についてOECD諸国のなかには大きな違いもある。日本、韓国、メキシコ、それにポーランドでは外国生まれ人口の比率は2%未満であった。

 2008年の経済危機以降の失業の増加は直近10年間の最後の段階で純流出入の傾向に影響を与えた。目立つことに、2005~07年の時期に高率の純流入を示していたアイスランドとアイルランドは2008~10年の時期にかなりの純流出に転じた。おなじ期間にスペインも純流入のはげしい減少を体験した。純流入率が最高だったのは、オーストラリア、ルクセンブルク、ノルウェー、それにスイスであった。これらの国では、2005~07年の時期と2008~10年の時期のあいだで純流入の増加が観測された。OECD全体のなかでは、おなじ期間に純流入がわずかながら減少した。

 経済危機によってもっとも打撃を受けたOECD諸国(とくにギリシャとスペイン)は、国籍所有者の他のOECD諸国への純流出が最大となる事態を経験した。

 経済危機はまた外国人の流入の構成に影響を与えた。もっとも家族移民と自由移動(すなわち自由移動地帯内での移民)はいぜんとして永住ベースでの移民の大きな部分を占めている。 2007~11年の期間にわたって、自由移動の類型はもっともはげしい低下を示した。自由移動の比率の大部分は労働関連であると想定できる。労働関連の移民は2010年から2011年にかけて増加しているとはいえ、危機以前の時期と比較するといぜんとして非常に低い水準にある。

家族

 1つの世帯のなかの成人数は世帯の構成と人びとがどのようにともに暮らしているかについての追加的な情報を示す。一方、結婚と離婚にかんする指標は「成人のパートナー関係」の状況を示している。

 OECD全体では、結婚はもっともふつうの成人のパートナー関係である。しかしそれは国によって大きな違いがある。結婚した成人の比率がもっとも高いのは日本とトルコで、この両国では2012年現在、成人の65%超が結婚していた。この比率がもっとも低いのはチリとエストニアで、この両国ではわずか約40%だけが結婚していた。同居は通常結婚率が低い国々で比率が高い。エストニア、アイスランド、それにスウェーデンでは、約5人に1人の成人がおなじ家のなかでパートナーと同居していた。

 単身ないし未婚の比率もまた国ごとに大きく異なっている。チリと韓国では成人10人のなかの4人近くが単身もしくは未婚であった。エストニア、ハンガリー、イギリスではこの比率は5人に1人に近かった。

 しかし、家族形態の測定可能な変化と家族の解体は直接的には観察できないようである。長期的な観察結果では結婚率はいちじるしく低下してきた。離婚率の水準と変化はともに諸国間で異なっている。しかし、1970年にさかのぼる長期的な観察では、離婚率はいちじるしく増加した。全体としては、経済危機の家族の解体に与える影響を正確に測定することは困難である。経済面でのストレスは家族の崩壊とより多くの離婚をもたらす可能性はあるが、離婚の経済コスト加増大したため、およびカップルのほうがより多くの所得が得られる可能性があるため、これらの要素が一方では離婚数の減少を説明する可能性もある。

 変化するパートナー関係の形態と低下する出生率の結果として、子どもがまったくいないか、わずか1人か2人の子どもしかいない世帯の比率が増大してきた。今E]ではひとり親と暮らしている子どもも多くなっていると思われる。このことはセーフティネットとしての家族の役割を変化させる可能性がある。多世代の世帯の比率は国によって異なるが、平均的には、2007年から2012年の時期に、GDPの変化と同一世帯のなかでの15歳超の人びとの数の変化のあいだには観察される相関は存在しない。

 新興経済国全体についても家族構造は多様である。中国、インド、インドネシアでは成人人口の70%超が結婚しているが、南アフリカではその比率は25%に近い。アルゼンチンとブラジルだけが、同居率でOECD平均を超えている。ロシアの離婚率は9%であるが、この数値はチェロとフィンランドを除くすべてのOECD加盟国よりも高い。

予測退職後年数

 予測退職後年数は平均退職年齢から予測される残りの余命の長さを示している。指標は、高齢化という状況のもとでの年金制度への財政圧力とともに年金制度がどのように退職と連動して機能するかを示している。一般的には、女性と比較して男性は退職後にはより短い年月をすごすものと予測することができる。退職後に予測される人生の長さについての最近の算定では、オーストリア、ペルギー、フランス、イタリア、それにルクセンブルクでは、女性については25年を超えた。男性について20年を超える国はオーストリア、ペルギー、フィンランド、フランス、ギリシャ、イタリア、ルクセンブルク、それにスペインであった。女性の退職後年数がいちじるしく短い(20年未満)のはチリ、アイスランド、韓国、メキシコ、ポルトガル、それにトルコであった。男性について短い国(15年未満)は、エストニア、韓国、メキシコ、ポルトガルであった。

 平均的には、女性は男性よりほぼ4.5年長い期間を退職後にすごすと予測される。東ヨーロッパの大半の国ではこの差は少なくとも6年あった。また日本ではこの男女差は6年を超えていた。退職後の期間が長いことは女性を高齢期の貧困にさらすことになる。これは、多くの年金制度が賃金収入に連動しており、すべてのOECD加盟国で男女間の賃金格差が存在する結果である。つけくわえれば、多くの国に存在する年金支給額の物価スライドでは、最高齢期にある受給者、その多くは女性であるが、退職後に相対的に貧困に陥ることを意味している。

 新興経済国における女性の予測退職後年数はブラジルとロシアの20年から南アフリカの15年まで多様である。男性についての違いはより小さく、予測退職後年数は12~13年である。ブラジルにおける実効退職年齢は男性より女性が6年低いが、ロシアにおけるこの差は3年に近かった。

 OECD諸国全体における平均予測退職後年数は時間の経過とともに増加してきた。1970年には、OECD諸国の男性は平均で11年の退職後の人生をすごしていたが、2012年の平均では18年に延びた。予測退職後年数の延びは女性のほうが大きく、平均で1970年の15年から2012年の22.5年へと伸びた。

 1970年から2012年への平均予測退職後年数の増加の原因は実効退職年齢の低下と寿命の延びの双方である。実効退職年齢は1970年代から1990年代後半にかけて男性も女性もしだいに低下した。若干の相対的に安定した期問ののち、実効退職年齢は2004年からゆるやかに上昇しはしめた。実効退職年齢での余命は、とくに女性について、この期間にいちじるしく上昇した。男性についても過去20年間同様であった。過去数年にわたって、余命の増加は実効退職年齢の増加とおなじであるため、退職後年数は安定的に推移した。
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