安倍氏は、24日の自民党総会後、アベノミクスの「新三本の矢」を発表。
しかし、これが極めて評価が悪い。昨日は、株価も暴落(もちろん、株は上下するものだけど)。
そこで、少し、ネットで確認した。
ロイターは、
★《9月24日、アベノミクスの金看板だった金融政策が、同日公表された「第2ステージ」で示された新3本の矢から消えた。》
★《新たな3本の矢は、希望を生み出す強い経済、夢を紡ぐ子育て支援、安心につながる社会保障━━。これまでの大胆な金融政策、機動的な財政政策、民間投資を喚起する成長戦略から大きく転換し、軸足を構造改革に移す姿勢を鮮明にした。》
★《今後は、何がアベノミクスのエンジンになるのか、不透明感が漂っている。》
★《世界的な金融緩和と景気回復を追い風としていたアベノミクス相場。しかし「風」の向きは変わりつつある。日本の経済や企業の足腰がまだ弱い中で、逆風に立ち向かうのは容易ではない。》
ブルームバーグは、
★《29日の東京株式相場は大幅続落し、主要株価指数はおよそ8カ月ぶりの安値となった。景気減速懸念による世界的株安が波及、為替の円高推移も嫌気され、リスク資産圧縮の売り圧力が強まった》
日刊ゲンダイは、
★《すでに株式市場にも異変が起きている。株価が乱高下しているだけじゃない。個人投資家が市場から離れ始めているのだ。個人投資家が「アベノミクスは崩壊する」と警戒している証拠だろう。そもそも、この2年間、GDPはゼロ成長なのだからアベノミクスが失敗に終わったことはハッキリしている。》
★《「アベノミクスが失敗に終わった最大の原因は、トリクルダウンが空振りに終わったことです。この2年間で企業の収益は3割以上拡大していますが、実質賃金はまったく上昇していない。》
そんなことで、いろいろと記録しておいた。
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●「GDP600兆円」が目標=介護離職ゼロなど「新三本の矢」―安倍首相
ヤフー/時事通信 9月24日(木)
自民党は24日の党両院議員総会で、安倍晋三首相の総裁再選を正式に決定した。
これを受け、首相は党本部で記者会見し、全ての人が職場や家庭で活力を発揮できる「1億総活躍社会」を目指すと表明。政権の経済政策アベノミクスの「新三本の矢」と銘打ち、(1)国内総生産(GDP)600兆円の達成(2)子育て支援拡充(3)社会保障改革―に重点的に取り組むと訴えた。
世論を二分した安全保障関連法が成立したことを受けて首相は、「経済重視」の姿勢を鮮明にし、会見では「本日からアベノミクスは第2ステージに入る」と強調。これまでの経済政策の成果に言及し、「(経済情勢は)もはやデフレではないという状態まで来た。デフレ脱却はもう目の前だ」との認識を示した。
首相は、経済最優先で政権を運営する意向を示した上で、「新三本の矢」に言及。最初の矢として「強い経済」を掲げ、2014年度に名目で約490兆円だったGDPについて、「600兆円の達成を明確な目標として掲げたい」と提唱。さらに、子育て支援充実による「希望出生率」1.8や、社会保障制度改革による介護離職ゼロなどの実現を目指すことも打ち出し、「日本の構造的な課題である少子高齢化の問題に真正面から挑戦したい」と決意を語った。
・・・・(略)・・・
●日本株8カ月ぶり安値、世界株安受け全業種下落-TOPIX1400割れ
ブルームバーグ 2015/09/29
(ブルームバーグ):29日の東京株式相場は大幅続落し、主要株価指数はおよそ8カ月ぶりの安値となった。景気減速懸念による世界的株安が波及、為替の円高推移も嫌気され、リスク資産圧縮の売り圧力が強まった。電機など輸出関連や商社株、収益環境の厳しさが警戒された海運、鉄鋼株を中心に東証1部33業種は全て安い。
TOPIXの終値は前日比63.15ポイント(4.4%)安の1375.52、日経平均株価は714円27銭(4.1%)安の1万6930円84銭。TOPIXは終値で1月19日以来、日経平均は同16日以来の安値水準。両指数の下落率は、8月24日に次いでことし2番目の大きさだった。
みずほ投信投資顧問の柏原延行執行役員運用戦略部長は、「新たな悪材料が出た状況でなくとも売りを浴び、投資家の不安心理は陰の極に達している。政策対応にかかわる催促相場はこうした動きになりやすい」と指摘。米国の金融政策をめぐるちぐはぐさ、中国の経済状況の明確な物差し不足などが「投資家の不安をあおっている」とみていた。
●焦点:「新3本の矢」から消えた金融政策、漂う不透明感
ロイター 2015年 09月 25日
9月24日、アベノミクスの金看板だった金融政策が、同日公表された「第2ステージ」で示された新3本の矢から消えた。
[東京 25日 ロイター] - アベノミクスの金看板だった金融政策が、24日公表の「第2ステージ」で示された新3本の矢から消えた。消費の活性化や低所得者対策の進展を目指す政府・与党内からは、日銀が掲げる物価2%実現を急ぐべきではないとの声も漏れ、金融政策は優先順位のトップから「降板」したもようだ。
今後は、何がアベノミクスのエンジンになるのか、不透明感が漂っている。
安倍首相は24日に自民党本部で会見し「本日からアベノミクスは第2ステージに入る」と宣言し、新たな「3本の矢」の政策で全ての人が活躍できる「1億総活躍社会」を目指すと表明した。
経済最優先の姿勢を鮮明にし、具体的には名目国内総生産(GDP)を600兆円に増やすことを掲げた。
新たな3本の矢は、希望を生み出す強い経済、夢を紡ぐ子育て支援、安心につながる社会保障━━。これまでの大胆な金融政策、機動的な財政政策、民間投資を喚起する成長戦略から大きく転換し、軸足を構造改革に移す姿勢を鮮明にした。
中でも市場の一部で思惑が広がっているのが、「第2ステージ」における金融政策の役割。新3本の矢から金融政策が抜け落ち、市場では「安倍政権の経済政策における優先順位が変化したことは間違いない」(国内金融機関)との見方が広がっており、今後の金融政策運営への影響に関心が高まっている。
●経団連会長、アベノミクス新3本の矢「具体的な政策が大事」
日経 2015/9/28
経団連の榊原定征会長は28日午後の記者会見で、安倍晋三首相が掲げた経済政策アベノミクスの新たな「3本の矢」について、「数値を挙げて新しい方向を打ち出している。実現するための具体的な政策をきっちり立ててほしい」と注文をつけた。安倍首相は新3本の矢として「強い経済」「子育て支援」「社会保障」を重点分野に掲げ、名目国内総生産(GDP)600兆円や出生率1.8などの数値目標を示している。
榊原氏は現在500兆円弱の名目GDPを600兆円に引き上げる目標について「意欲的だが不可能な数字ではない」と評価。その上で「しっかりと成長を促していくような制度的な改革を期待したい」と語った。具体策として、法人実効税率の早期の20%台引き下げや、農業分野や外国人材の活用に関する規制改革の推進などを挙げた。〔日経QUICKニュース(NQN)〕
●アベノミクスは行き詰まり=細野氏[時事]
ガジェット通信 2015.09.29 時事通信社
民主党の細野豪志政調会長は29日の記者会見で、安倍晋三首相が打ち出した経済対策「新3本の矢」について「付け焼き刃で出してきた印象だ」と批判した。国内総生産(GDP)600兆円の目標については「大風呂敷を広げているが、具体的な道筋も明らかになっていない。安倍政権の経済政策の行き詰まりが端的に表れた」と指摘した。
●新アベノミクス「GDP600兆円」は実現可能か? 生活水準が低下するリスクも
THE PAGE(ザ・ページ)2015.09.28
自民党の総裁選において無投票で再選された安倍首相は24日、記者会見に臨み、新しい経済政策を発表するとともに、GDP(国内総生産)600兆円を達成するという目標をブチ上げました。果たしてこれは実現可能なのでしょうか。
名目GDP約600兆円をどう考えるか
[写真]GDP600兆円を目標に 安倍首相が会見で表明(9月24日撮影、ロイター/アフロ)
日本の2014年度におけるGDPは約490兆円でした。内閣府では中長期の経済財政に関する推計をおこなっており、アベノミクスが成功した場合には、名目で3%、実質で2%程度の経済成長が実現すると見込んでいます。この場合、2020年度には名目GDPが約600兆円に達すると内閣府では試算しています。安倍氏は「ニッポン一億総活躍プラン」を掲げ、2020年に向けて実現に全力を尽くすと説明していますから、GDP目標の達成時期も2020年度であると考えるのが自然です。
もしそうであれば、これまで政府が示してきた推計値とほぼ同じですから、600兆円という数字は特に目新しいものではないということになります。強いて言えば、これまで明確にしていなかった数字をはっきり示したという点が特徴ということになるでしょう。
もっとも、600兆円という数字が目新しいものではないからといって、これが簡単に実現できるのかは別問題です。2020年度に600兆円を実現するには、毎年、名目で3%程度の成長を達成しなければなりません。これは今の経済状況を考えるとかなり難しいというのが現実です。
安倍政権は発足以後、平均すると1%台後半の名目成長率を達成していますが、この多くは公共事業によって実現したものです。個人消費の拡大も、円安による物価上昇が大きく影響していると考えられますから、成長の原動力は円安と公共事業だったと考えてよいでしょう。
この2つの効果で1%台後半という結果ですから、従来と同じようなやり方を続けていては、3%台の成長は難しいという解釈になってしまいます。安倍氏は、新しい具体策として、賃金の上昇、人材の外国からの受け入れ、女性活用などを掲げていますが、これは従来の成長戦略でも取り上げられていたものです。今回のプランで目新しいのは、高速鉄道の全国的な建設を打ち出したことでしょう。つまり大規模な公共事業をさらに拡大させ、3%成長を実現するというプランを描いているようです。
国民の実質的な生活水準がさらに低下するリスクも
従来の成長率にさらに1.5~2%を上乗せするためには、10兆円ほど公共事業を拡大する必要があると考えられます。しかし、政府は2020年までに基礎的財政収支を黒字化するという目標を掲げていますから、財政再建を優先する場合、大規模な公共事業の継続は困難でしょう。
日銀が追加緩和に踏み切り、経済界に対してこれまで以上に強く賃上げを要請すれば、名目上の消費を押し上げ、3%成長を達成することが可能となるかもしれません。しかし、その場合には円安によって物価上昇が激しくなり、国民の実質的な生活水準がさらに低下するリスクがあります。
●アベノミクス相場、風向き変わり出した「第2ステージ」
ロイター 2015年 09月 25日
9月25日、安倍晋三首相の新「3本の矢」政策に対する市場の歓迎ムードは乏しい。人口対策など方向性を評価する声はあるものの具体策が明らかになっておらず、実現性への疑問があるためだ。
自民党本部で24日撮影(2015年 ロイター/Issei Kato)
[東京 25日 ロイター] - 安倍晋三首相は新「3本の矢」政策を打ち出したが、市場の歓迎ムードは乏しい。人口対策など方向性を評価する声はあるものの具体策が明らかになっておらず、実現性への疑問があるためだ。米利上げが接近し、世界経済減速の懸念も広がるなかで、外国人投資家は慎重。
アベノミクス相場を取り巻く風向きは変わり始めている。
<600兆円、実現性に疑問>
新3本の矢のうち、第1の矢である「強い経済」政策。安倍首相は名目GDP(国内総生産)600兆円という目標を掲げた。7月に公表された政府の中期財政試算において示された「経済再生ケース」では、年率3%の名目成長を続けて2020年度に594兆円になると試算しており、全く新しい数字が出たわけではない。しかし、その実現性に対し、多くの市場関係者が疑問視している。
・・・・・・・・(略)・・・
<金融緩和、市場の注目は「旧」第1の矢>
市場の強気派が期待するのは、新第1の矢に埋もれてしまった旧第1の矢、金融政策だ。旧3本の矢の検証のないまま、新政策方針が打ち出されてしまったが、金融緩和、財政出動、成長戦略の3政策うち、「市場にとって」最も効果的だったのは日銀による2度の金融緩和策であったというのが投資家のコンセンサスとなっている。
25日の市場で、新3本の矢への評価も高まらず、日経平均.N225は一時マイナスに沈んでいた。
・・・・・・・・・・・(略)・・・
<企業業績、揺らぐ「心の支え」>
「投資家の心の支えであった企業業績が怪しくなってきている」と、しんきんアセットマネジメント投信・運用部長の藤原直樹氏は指摘する。1ドル120円の水準が維持されれば、今年度も10%程度の増益が期待できる。しかし、あくまで為替以外が同じであればという前提付きだ。外需が大きく減速したりすれば、その限りではない。
米重機メーカーのキャタピラー(CAT.N)は24日、2015年の業績見通しを下方修正、2018年までに最大1万人の人員削減を実施する方針を発表した。日本でも25日の市場で、好業績銘柄の代表格だった日本電産(6594.T)が業績警戒感から5%超の大幅安となった。
大和証券・投資戦略部シニアクォンツアナリスト、鈴木政博氏の集計では、東証1部企業の業績予想修正は、9月に入ってから4週連続で下方修正が上方修正を上回っている。内需企業は上方修正がまだ多いものの、グローバル企業での下方修正が目立つという。
世界的な金融緩和と景気回復を追い風としていたアベノミクス相場。しかし「風」の向きは変わりつつある。日本の経済や企業の足腰がまだ弱い中で、逆風に立ち向かうのは容易ではない。
(伊賀大記 編集:田巻一彦)
●安倍首相「1億総活躍社会」はインチキだらけ! アベノミクスも正社員を減らし非正規社員を増やしただけだった
リテラ 本と雑誌の知を再発見 2015.09.28
自民党総裁選が無投票再選となった安倍晋三首相(党総裁)は9月24日の記者会見で「これからも経済最優先で『1億総活躍社会』を目指す」と宣言した。
首相はこれまでのアベノミクス3本の矢(大胆な金融政策、機動的な財政政策、民間投資を喚起する成長戦略)により「もはやデフレではないという状態まできた」と説明。今後を「アベノミクスの第2ステージ」と位置付け、新たな3本の矢(希望を生み出す強い経済、夢を紡ぐ子育て支援、安心につながる社会保障)を放ち、「国内総生産(GDP)600兆円への拡大」「希望出生率1.8の実現」「介護離職ゼロ」などの目標達成を目指すという。
安倍政権は来年夏の参院選に向けて、戦争法(安保法制)の成立で下落している支持率を「経済再生」、経済最優先の姿勢を見せることで挽回しようという狙いがある。
しかし、今回の新3本の矢には新聞大手各社も懐疑的だ。・・・・・・(略)・・・
●アベノミクス“第2ステージ”で日本経済は完全に破壊される
日刊ゲンダイ 2015年9月23日
総裁選の公約ビラに〈アベノミクス いよいよ「第2ステージ」へ〉と掲げ、アベノミクスを自画自賛している安倍首相。しかし、これ以上、弊害だらけのアベノミクスをつづけたら、日本経済は本当に破壊されてしまう。
すでに株式市場にも異変が起きている。株価が乱高下しているだけじゃない。個人投資家が市場から離れ始めているのだ。8月の第1週、個人投資家が占める売買シェアは21.9%だった。ところが、9月の第1週は15.9%まで下がっている。個人投資家が「アベノミクスは崩壊する」と警戒している証拠だろう。そもそも、この2年間、GDPはゼロ成長なのだからアベノミクスが失敗に終わったことはハッキリしている。経済評論家の斎藤満氏がこう言う。
「アベノミクスが失敗に終わった最大の原因は、トリクルダウンが空振りに終わったことです。この2年間で企業の収益は3割以上拡大していますが、実質賃金はまったく上昇していない。労働分配率は5%も下がり、正規労働者の割合も2年前の65%から62%に低下している。これでは個人消費は伸びない。GDPの6割を占める個人消費が冷え込んだままでは、景気がよくなるはずがありません」
● 世界同時株安再び、揺らぐ企業業績 「最後の砦」に不安
ロイター 2015年 09月 29日
9月29日、世界的な株安が再び進行している。中国経済減速の影響が投資家の自信を支えてきたミクロの企業業績に明確に表れてきたことで、先行き不透明感が出ている。
[東京 29日 ロイター] - 世界的な株安が再び進行している。中国経済減速の影響が投資家の自信を支えてきたミクロの企業業績に明確に表れてきたことで、先行き不透明感が台頭。海外短期筋だけでなく、長期投資家もリスク資産のポジションを削減し始めたという。日経平均.N225は連日の大幅安となり、8カ月ぶりの安値に沈んだ。
<目立ち始めた業績下方修正>
中国発の世界景気減速が企業業績に表れ始めてきた。米キャタピラー(CAT.N)が2015年の業績見通しを下方修正。日本でも神戸製鋼所(5406.T)が16年3月期の連結業績予想を引き下げた。両社とも中国などでの建機需要の減退が業績下振れの主要因だ。
29日には東証1部の中堅海運会社、第一中央汽船(9132.T)が民事再生手続きを東京地裁に申し立てた。
うわさで売って、事実で買うのが株式市場。通常の相場状況であれば、業績下方修正は悪材料出尽くしとなりやすい。しかし今の市場では「不透明感が強すぎて、アク抜けとならない。むしろ今後、2度3度の下方修正があるのではないかとの疑念を生じさせる」(BNPパリバ証券・日本株チーフストラテジストの丸山俊氏)という。
マクロ経済は弱くとも、ミクロの企業業績はしっかり、ゆえに株価も底堅い、というのが強気派の論拠だった。その企業業績への自信が揺らぎ始めたのが、昨日から今日にかけての世界同時株安の背景だ。スイスの資源大手グレンコア(GLEN.L)の株価が急落し話題になっているが、明確な売り材料が出ているわけではない。市場の漠然とした不安によって売りが売りを呼ぶ展開になっている。
中国国家統計局が28日発表した8月の工業部門企業利益は、前年同月比8.8%減少と11年の調査開始以来、最大の落ち込みとなった。トムソン・ロイターのデータによると、米S&P総合500種企業の利益は前年同期比3.9%減と6年ぶりの減益になる見通しだ。企業業績の鈍化は設備投資だけでなく、賃金や物価などの見通しも暗くする。
<日本株の強みがリスクに>
企業業績への不安は、その点を「強み」にしていた日本株にとって大きなマイナス要因となりかねない。欧米企業が今年度1ケタの増益見通しであるのに対し、日本企業は2ケタ増益予想。コーポレート・ガバナンス改革期待などが崩れたわけではないが、期待が高い分、リスクへの警戒も大きくなる。
日本の小売りや食品など内需企業の決算は好調だ。上方修正する企業も少なくない。しかし、内需企業は上場企業の約3割。7割を占める製造業など外需企業の業績に明るさが見えなければ、株価全体を押し上げる力は強まらない。
9月中間期決算の発表時期が近づいているが、外需企業は上半期前半の好調さが「貯金」となり、通期予想を上方修正するところが多いとみられている。4─6月期は約24%の営業増益、約40%の純利益増益だった。しかし、上方修正の幅は当初、市場が期待していたよりも小さくなりそうだという。
ニッセイ基礎研究所チーフ株式ストラテジストの井出真吾氏は「期初の会社側予想が例年に比べて強気だった。さらに世界経済の減速懸念も高まっている。1ドル120円水準が維持されれば増益基調は維持されるだろうが、経営者も大幅な上方修正には慎重になるだろう。市場の高い期待からすれば、失望感が出るかもしれない」とみている。
<売り余地大きい日本株>
29日の市場で、日経平均の下落率は4.05%。韓国や台湾は休場だったが、アジアの主要株価指数のなかで最大の急落となった。28日のダウ.DJIは1.92%の下落だ。日本特有の売り材料が見当たらないなかでの急落には、「企業業績などに対する高かった期待の反動がある」(国内証券トレーダー)という。
日経平均は再び、昨年末の水準を下回ってきた。しかし、アベノミクス相場のスタート地点は12年11月半ばの8660円。29日の市場で1万7000円を割り込んだとはいえ、まだまだ高い水準にある。海外勢の日本株ポジションは15年は売り越しに転じたが、13年には15兆円買い越していた。売りの余力はまだある。
売りの主体はやはり海外勢だ。「今後、業績が下方修正されるかもしれないということでヘッジ売りが出ているほか、長期資金も株式などリスク資産のポジションを削減している。日本株も13年に取得した分の売りが出ている」(欧州系証券)という。オイルマネーの資金引き揚げ観測も市場の不安感をあおっている。
世界経済や企業業績の急減速に対する市場の懸念は行き過ぎという声も多い。しかし結果を待たずに動くのがマーケット。「懸念があればとにかく売る。ためらっていては安い値段でしか売れなくなるからだ。景気や業績は悪くないと思うなら、相場が落ち着いてから安値で買えばいい。リスクがあれば、まずポジションを減らすのが鉄則」(国内証券)というのが、投資家の胸の内のようだ。
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