7月13日に三重県津地方裁判所で、三重県知事の情報非公開の処分を取り消す訴訟の第一回弁論がありました。
被告三重県の答弁書は、後ろに紹介します。私のブログを引用してこちらを批判、ブログのコピーまで証拠として提出してきました。
三重県知事の情報公開訴訟は明日開始。石原産業の愛知県提訴の弁論も開始
同日の津地裁 ![](https://blogimg.goo.ne.jp/thumbnail/17/e3/0e368181d49dcefe001409400f32a6e0_s.jpg)
1時10分改定の津地裁民事部合議係(水谷正俊裁判長)で開廷。
進行を意訳・要約して紹介します。
裁判長=水谷正俊裁判長 被告=三重県知事指定代理人(県職員) 原告=寺町
(書記官) 原告寺町さん、兼松さん、被告三重県、 平成18年(行ウ)第12号
※ 岐阜地裁では、呼び捨てだけど、驚いたことに津地裁では「さんづけ」。
(裁判長) 開廷します。 原告は、寺町さんと兼松さんですね。
(原告) はい。
(裁判長) 被告は三重県ですね。昨年、民事訴訟法が改正されたので「三重県」という表示ですね。
(被告) はい。
(裁判長) 原告は訴状を陳述、被告は答弁書を陳述ということですね。
(原告) はい。
(被告) はい。
(裁判長) 次に書証。原告は(略)、被告は(略)を提出ですね。
(原告) はい。
(被告) はい。
(裁判長) 被告は次回までに、「平成17年6月14日最高裁第三小法廷判決」及び「平成14年2月28日最高裁第一小法廷判決」を踏まえて主張してください。
(被告) ・・・・
(裁判長) 平成17年6月14日最高裁第三小法廷判決は分かりますか。
(被告) ・・・・はい。
(裁判長) 本件との関連をどう思いますか。
(被告) ・・・・・・・・・本件とは事例が異なると考えます。
(裁判長) 事例が異なる?? そうですか。次回までに、主張してください。
(被告) はい。
(原告) 裁判長。今日結審なら、この法廷で口頭で述べようと思っていましたが、ちょうど、今、裁判長からもご指摘いただきました、訴えの利益に関する「平成14年2月28日最高裁第一小法廷判決」からみても、裁判が始まってから、その公文書を全部開示して書証として提出された場合でも、訴えの利益なくならないということは、確定していると考えています。
しかも、今回出てきたものは、企業の見積もり積算の情報だとか、あちこち墨塗りにされていますし。
(裁判長) 全部じゃなくて、墨塗りもあるんですか。・・・
次に、原告に確認します。
請求の趣旨は、別紙-1の2及び1の3ということでしょうか。
(原告) はい。
(裁判長) では、請求の趣旨は、「三重県知事が原告らに対し平成17年11月28日付けで部分開示した決定のうち、別紙-1の2及び1の3記載の一部対象外として非開示とされた部分を取り消す。」という方がすっきりしますが、どうですか。
(原告) はい、分かりました。請求の趣旨の変更の申し立てをします。
※請求の趣旨とは、原告がその判決で宣告を求めている「主文」にあたる部分。
(裁判長) 次回期日を決めます。9月7日(木)午後1時10分でどうですか。
(原告)(被告) はい。
(裁判長) では、被告は、8月末までに書面を提出してください。
・・・ということで閉廷。
(私の感想) 明確な裁判長でした。「文書を全部証拠で出したからもう裁判は取り下げたらどうか」といわんばかりの三重県に対して、訴えの利益に関する平成14年最高裁判決を指摘してくれるんだから。
こちらが肝心部分を読み上げようと同判決をもっていましたが、その必要もなし。
この訴訟指揮なら、次回結審は、ほぼ間違いなし、というのが私の予想。判決は、結審から2ヶ月が標準だから、10月末か11月とみます。
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ありがとうございます
● 裁判所引用の、一部請求外による非開示を違法とした平成17年6月14日最高裁第三小法廷判決
(どの写真もクリックすると拡大。写真右下あたりのクリックでさらに拡大)
平成17年6月14日最高裁第三小法廷判決とは、私たちが昨年もらったもの。新聞で大きく報道されたから三重県が知らないはずない。
2005年6月15日 最高裁第三小法廷判決の報告。県営カラ渡船の情報非公開処分取消訴訟。本人訴訟
その最高裁判決の要点
・・・本件条例が,公開の請求の対象を「情報」ではなく「公文書」としていることは明らかである。したがって,公文書の公開を請求する者が,記録されている情報の面から公開を請求する公文書を特定した場合であっても,当該公文書のうちその情報が記録されている部分のみが公開の請求の対象となるものではなく,当該公文書全体がその対象となるものというべきである。公開の請求に係る公文書に請求の対象外となる情報等が記録されている部分があるとし,上記部分を公開しないことは許されないというべきである。
本件各処分のうち本件各非公開部分を公開しないこととした部分は,違法と断ずるほかはない。・・・
● 裁判所引用の、訴えの利益に関する平成14年2月28日最高裁第一小法廷判決
判決要点 判決全文
・・・本件条例5条所定の公開請求権者は,本件条例に基づき公文書の公開を請求して,所定の手続により請求に係る公文書を閲覧し,又は写しの交付を受けることを求める法律上の利益を有するというべきであるから,請求に係る公文書の非公開決定の取消訴訟において当該公文書が書証として提出されたとしても,当該公文書の非公開決定の取消しを求める訴えの利益は消滅するものではないと解するのが相当である。・・・
● 今回の訴状は 5月31日ブログでリンク しています。
● 三重県の答弁書1ページ目
平成18年(行ウ)第12号 文書非開示処分取消請求事件
原告 寺町知正外1名
被告 三重県
答 弁 書
平成18年6月30月
津地方裁判所民事部 御中
〒514-8570
三重県津市広明町13番地
被告 三 重 県
上記代表者知事 野 呂 昭 彦
上記指定代理人
三重県津市広明町13番地
三重県総務部法務・文書室(送達場所)
(略)
三重県四日市市桜町3690-1
三重県科学技術振興センター総合研究企画部
(略)
答弁書2ページ目
第1 本案前の答弁
1 本件訴えを却下する。
2 訴訟費用は、原告らの負担とする。
との判決を求める。
第2 本案の答弁
1 本件請求を棄却する。
2 訴訟費用は、原告らの負担とする。
との判決を求める。
第3 本案前の答弁の理由
1.被告の部分開示決定処分について
被告は、原告らの公文書開示請求書(乙2号証)から、「三重県知事と石
原産業の共同研究のうちフエロシルト(無機性汚泥)」に関する部分が開示
請求されているとして、当該部分について部分開示決定処分(平成17年
11月28日付け科総第185号公文書部分開示決定通知書。訴状別紙1の1
から1の5。)を行ったのであり、同通知書に「一部対象外」と記載された
部分(以下「請求対象外情報」という。)については、そもそも原告らから
開示請求がなされておらず、したがって、被告は、請求対象外情報につい
てはなんら開示決定又は非開示決定等の処分を行っていないのである。
よって、請求対象外情報については、原告らの主張するような非開示決
定処分が存しないのであるから、その取消しを求める本件訴えは不適法で
ある。
2 請求対象外情報と訴えの利益について
(1)原告の請求内容を実現する手段について
原告らは、請求対象外情報を入手するため、被告の公文書部分開示決定
処分の取消しを求めている。
請求対象外情報について、被告が非開示決定処分を行ったのであれば、
原告らはその取消しを求めて提訴し、取消判決を得なければ、当該情報
を入手することはできない。しかし、被告は、当該情報について開示・
非開示の決定を行っていない(平成17年11月28日付け科総第185号
公文書部分開示決定通知書の効力は、請求対象外情報には及んでいな
い。)としているのであるから、原告らは、本件取消訴訟を提起しなくと
も、適切な表現で対象文書を特定し、被告に対して公文書開示請求を行
えば、被告が個人情報等の非開示情報を除いて速やかに当該情報を開示
することが期待できるのであり、原告らが本件取消訴訟を行う意味は全
くないと言うべきである。
抗告訴訟の本質は、行政処分の公定力を否定することにあると解されて
答弁書3ページ目
いるところ、請求対象外情報には行政処分の効力は及んでおらず、上記
のように、原告らは、被告に対して公文書開示請求を行うことにより、
いつでも当該情報を入手できるのであるから、本件行政処分の取消しを
求めて訴えることには、訴えの利益がないというべきである。
(2)原告らが請求対象外情報を了知したことについて
原告らは、被告が公文書部分開示決定通知書に「一部対象外」と記載し、
白抜きにして開示した請求対象外情報に「三重県知事と石原産業の共同
研究のうちフエロシルト(無機性汚泥)」に関する情報が含まれているの
ではないかと主張しているようであるが、被告は「三重県知事と石原産
業の共同研究のうちフエロシルト(無機性汚泥)」に関する情報は含まれ
ないため、「一部対象外」としたのであって、原告らの主張は失当である。
被告は、そのことを証するため、「一部対象外」とした文書について、
請求対象外情報を含んだ公文書を提出する(ただし、個人情報・法人情
報等は黒塗りとした。乙4号証の1~乙4号証の20)。
仮に、原告らが開示請求において、請求対象外情報についても開示を求
めていたと善解したとしても、原告らが上記公文書を入手したことによ
り、本件訴えの利益はなくなったといわざるをえない。
3 これらのことから、本件訴えは明らかに不適法であるので、速やかに却
下されたい。
第4 請求の原因に対する認否
(略)
答弁書4ページ目
第5の1項(略)
第5 被告の主張
被告の主張は「第3 本案前の答弁の理由」で述べたとおりであり、本
件訴えは不適法であるから、速やかに却下されたい。
1 本件訴訟の必要性について
原告らが本件訴えで求めている公文書は、本件訴えを提起せずとも、原
告らが被告に対し公文書開示請求をすれば、容易に手に入れることのでき
た公文書であり、また、本件訴えにおいても、被告は書証として請求対象
外情報も含めた公文書を提出したことにより、原告らにとって、本件訴え
の利益はなくなり、今後、訴えを維持していく必要はなくなったと考える。
2 原告らの訴えの提起について
平成18年5月25日の原告寺町のプログ(インターネットに記載され
た日記)(乙第3号証の1)によれば、原告寺町は、「先の4月、5月の知
事会見をみても、一連のフエロシルトの撤去の遅れ、三重県内の遅れにつ
いても、愛知県内の遅れについても、石原産業を擁護するかのような発言
が続いています。」として、原告兼松と相談のうえ、「この際だから、愛知
県知事も三重県知事ももっと頑張ってという意味で、三重県知事を訴えよ
うかと・・・」と本件訴えを企図したものである。
また、原告寺町は同日のブログにおいて、「でも、石原さんみたいに裏を
かいて突如として訴える、なんてことはしないので、こうやって予告。そ
れで、今日は、急遽、訴状案作り・・・」などと本件訴えに関する情報を
掲載している。
さらに、廉告らは、平成18年5月29日のブログ(乙第3号証の2)
で、「法律が定める提訴の期限は「行政処分から6ケ月」なんですが、石原
産業はその最終期限日に訴状を提出しました。私たちは、最終期限日の1
日前に提出する予定です。」「30日は、午後1時に津地方裁判所に訴状を
提出、2時から三重県庁で記者会見のセッティング。訴状などのデータは、
報道された後にインターネットに載せる予定」と自らの提訴を再び予告す
ると、提訴当日である平成18年5月30日には、津地方裁判所に入る姿
をマスコミに取材させ、三重県庁記者クラブにおいて記者会見まで行って
いる。この時の原告らの様子は、同日のテレビニュースで放送され、また、
翌日の各新聞朝刊でも報道されたところである。
答弁書5ページ目
原告寺町は、平成18年5月31日のブログ(乙第3号証の3)に原告
らの主張を掲載したが、その方法は訴状や添付書類までも掲載し、「5月3
0日(火)午後1時から裁判所に訴状提出。入るところは、3社のテレビカ
メラさん。午後2時からは、三重県庁で会見。4社のテレビ、16人の記
者の皆さんでした。」などと、自らの訴訟提起を袴示しようとするものであ
った。
3 結語
上記のとおり、原告らは、請求対象外情報を入手するためには全く必要
のない本件訴えをわざわざ提起し、その様子を訴訟提起前からブログに掲
載したり、マスコミに報道を働きかけるなどして、自らの活動を誇示しよ
うとしている。このような原告らの行動を見るに、本件訴訟は抗告訴訟の
本来の趣旨から逸脱し、原告らが自らの活動の宣伝材料とするため提起し
たものと考えざるをえず、まさに訴権を濫用したものというべきである。
第6 添付書類
1 答弁書副本
2 証拠書類
3 指定代理人届
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