古稀の青春・喜寿傘寿の青春

「青春は人生のある時期でなく心の持ち方である。
信念とともに若く疑惑とともに老いる」を座右の銘に書き続けます。

中谷先生の転向

2009-01-22 | 経済と世相
 中谷巌さんといえば、昔、一橋大学の教授であった時、ソニーの社外取締役に選任され、文部省から公務員が民間企業の役員を兼任できないといわれて、あっさり教授を辞任したエピソードが有名ですが、今「転向」が話題になっている。

 中日新聞の20日朝刊が、この話題を特集していました。

「転向」というのは、こうです。

 中谷さんは、小渕内閣で経済戦略会議のメンバー(議長代理)として、戦略的規制緩和、派遣の原則自由化、医療への競争原理の導入、所得税の最高税率引き下げを提言、小泉構造改革にも影響を与えました。竹中平蔵氏と並んで構造改革の急先鋒でした。

 ところが、昨年末刊行した「資本主義はなぜ自壊したのか」で、自ら“懺悔の書”として、過去の路線を否定したのだそうです。以下、中日から同氏の言。

【米国流の「小さな政府」を掲げる構造改革路線だけでは、日本人は幸せになれないと思うようになった。】

【日本は最近、急速に貧困層が増大しているし緊急医療を受けられない「救急難民」も増えている。格差拡大を助長し、日本人が大事に育ててきた社会的価値を破壊するような改革には賛成できなくなった。】

【若い私は、・・・規制をなくし、市場が機能すれば、豊かで幸福な社会が実現するという「新自由主義」を信じこんだ。】しかし・・・

【郵政改革は、郵便貯金が自動的に不要不急の公共事業に使われる財政投資制度にくさびを打ち込んだ点で画期的な意味を持つ。しかし、山村でお年寄りの心の拠りどころとなっている小さな郵便局を廃止することにどれだけ意味があるのか。誰のための改革か。】

【医療も福祉もコスト抑制や競争原理が優先され、高度成長を支えた人たちの尊厳を踏みにじる後期高齢者医療制度ができた。路頭に迷う人たちには冷たい「自己責任」という言葉が投げかけられる。人心がすさみ、無差別殺人なども目立つ・・日本の伝統であった「安心・安全」が脅かされる社会になった。】

【竹中氏は「問題なのは改革が不十分だから。改革を徹底し、グローバル資本主義が機能すれば問題は解決されていく」と主張しているが、。

 私はそう思わない。グローバル資本主義は本質的な欠陥を持つからだ。一つは世界経済を不安定化させることだ。・・・グローバル資本主義は、世界経済の活性化に寄与したが、世界を大不況に陥れた。】

【二つ目は格差拡大を生むことだ。・・ゴールドマン・サックスの従業員の平均年棒は7000万円に達したのに、米国では5千万人近くが健康保険に入れず医者にかかれない。日本でも信じられない速度で貧困層が増えている。】

【さらにグローバル資本主義は環境規制の緩やかな地域に投資を集中する傾向があるため、環境破壊が進む。】

 といった具合で、いわゆる「新自由主義の経済理論」を徹底的に否定している。

しかし、中谷先生、気がつくのが遅すぎたのではないですか!

それにしても、正しいかどうかまだ分かっていない経済理論を基にして、経済戦略とやらを決めてしまって、「改革」、「改革」と称して一国の社会をめちゃくちゃにした責任は、誰が取るのでしょうか?

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