古稀の青春・喜寿傘寿の青春

「青春は人生のある時期でなく心の持ち方である。
信念とともに若く疑惑とともに老いる」を座右の銘に書き続けます。

池田教授の卓見続編

2014-01-07 | 経済と世相
『池田教授の卓見続編』が週刊朝日1月3/10日号に載っていました。
【北朝鮮のような特殊な国は措くとして、グローバリゼーシヨンの波に飲み込まれている国は、労働者の権利を抑えて、多国籍企業の利益を最大化する方向へと政治的な流れが動いていくことは間違いない。TPP然り、雇用特区然り、そして・・特定秘密保護法もこの延長にある。アメリカでも日本でも、政治的なエスタブリッシュメントはグローバリゼーシヨンの恩恵に浴する人々だからだ。反対に大多数の一般国民はこの恩恵の埒外にある。しかし、民主主義国家では、一般国民を騙さない限り、国民に不利な政策は遂行し難い。そこで、様々なアメをちらつかせると共に、国民の危機感を煽って政権を取り、議会で絶対多数を握れば、後はやりたい放題となる。
 グローバリゼーシヨンを止める一番の近道はエネルギーの枯渇か、人口減だが、人口が減らずにエネルギーが枯渇すれば、それはそれで別のややこしい問題が起こるだろう。場合によっては資源争奪戦争になりかねない。アメリカでシェール革命が起こらずに、このまま石油資源が枯渇に向かうと、グローバリゼーシヨンは厳しい状況に直面しただろう。アメリカでも日本でも原発を推進したのはこの故である。しかし、今やアメリカは原発に頼る必要はなくなって、新規の原発建設を止めてしまった。
 鍾愛的に最も有効なグローバリゼーシヨンを抑える方法は少子化である。エネルギーが枯渇せずに人口が減れば労働力は希少になり、労働者の権利も増大するだろう。だから、少子化反対と言うのは年金問題云々よりも、グローバリゼーシヨンの陰謀なのだ。
 しかし、エネルギー資源量をコントロールすることは誰にとっても不可能で、グローバリゼーシヨンに抵抗するために、子供を産まない選択をする人もいるとは思われないから、現状ではグローバリゼーシヨンの波を止めるのは難しい。一般国民にひとつだけできることがあるとすれば、選挙では政権党に投票しないことだ。少し前、ねじれ国会だった時に、政策を迅速に遂行できないのは国益に反するなどとバカなことを言っていた人がいるが、予算案以外の法案など通らなくて国民が困ることは何もない。ねじれこそ政権の暴走を止める装置なのだ。アメリカは共和党が政府の債務上限引き上げに反対してデフォルト寸前になったが、赤字国債の自動発行を15年度まで認めている日本に比べ、はるかにまともだ。反対勢力の歯止めが機能しない所では、どんなデタラメもとおってしまう。非効率こそ民主主義の真髄なのだ。】
 多数に物言わせて秘密保護法を成立させた現政権に「多数を握れば、後はやりたい放題」とお腹立ちらしいですが、現在の世界の趨勢を的確に語ってみえると思います。
 すなわち、民主主義の形骸化と資本主義・自由市場の失敗(経済の自由化が市民の福祉向上に貢献できない)が、21世紀初頭の大問題であることを指摘しています。
卓見だと思う所以です。
 それにしても過去20年、国会で成立した法案で、国民の福祉に貢献したものが、あったのでしょうか。