古稀の青春・喜寿傘寿の青春

「青春は人生のある時期でなく心の持ち方である。
信念とともに若く疑惑とともに老いる」を座右の銘に書き続けます。

中村先生のデータ

2006-12-22 | 経済と世相
 尊敬する生物学者、中村桂子さんが19日の中日朝刊に「金利の上下を見て考えたこと」と題して寄稿していました。データが面白いので、紹介しましょう。
【先日、面白いものが送られてきた。以前の勤務地にある銀行からの「普通預金通帳未記入お取引照合表」である。88年までそこで使っていた通帳の中に14663円を残したまま置いてきてしまったので、それ以来の利息が未記入になっているというお知らせが来たのである。この19年間についた利子は783円。
面白いものと書いたが、実はおかしなものと言った方がよいのかもしれない。】
【昭和63年から平成2年までは、80円があるかと思うと16円もあるなどという数字が並んでいるが、平成3年になると突如120円、123円、つまり1年で243円もの利子がついているのである。翌年からどんどん下がって平成8年には半年で6円、13年になると2円になり、14年は1年間で1円、15年から17年までは記載なし。18年になってまた1年で1円になっている。・・・平成3年の異常とも言える高さにあらためて驚き、バブルとはこういうことであり、本当に泡のようにすぐにはじけとんだと実感した。そしてジェットコースターのように落ちた先が、15000円というお金では金利のつけようがないという状況で、それがかなり長い間続いているということである。】
【研究環境が、今大きく変わってきた・・・
 それは、科学技術基本法が生れ、基本計画が作られて以来であり、まさに眼の前の表で金利が急速に低下していく時と重なる。】
【科学研究の成果が社会に役立つものを生み、それが結果として経済を活性化する
ことは望ましい。しかし、経済活性化のために科学研究があるという逆の位置付けは、研究者社会を壊す。
 そこで、経済の専門家に、10年というような短期間にガタガタせず、
市民の預金がそれなりに生きる安定感のある経済状況を作っていただけないものか
と伺いたいのである。そういう中で、変にお尻を叩かれずに地道な研究をした方
が、社会にとって望ましい成果が生れてくる。科学とはそういうものなのである。
 驚くような金利の上がり下がりを見て、生れた愚直な問いである。】
 さすがに女性であるだけに、物柔らかな表現だが、これは文春論文の藤原先生の
「たかが経済のために教育を壊すのか!」という怒りと、同趣旨のものと思われま
す。
 実際、経済の当局者は、預金利息など、自分たちの裁量でどうしようが勝手だと
思っているようですが、庶民の生活基盤の安定をこわし、学校財団を危機に落し、
社会を不安定にしている。
 中村先生の寄稿文、今話題の本間某なる経済学者と称する人物に、
是非読んでもらいたい。