古稀の青春・喜寿傘寿の青春

「青春は人生のある時期でなく心の持ち方である。
信念とともに若く疑惑とともに老いる」を座右の銘に書き続けます。

公文書の公開

2006-06-12 | 経済と世相
 5月27日の中日に面白い記事が掲載されていました。
【70年代の米外交政策を主導したキッシンジャー大統領補佐官が、72年夏、田中角栄首相が訪中して日中国交正常化を図る計画を知り「ジャップ」との表現を使って日本を「最悪の裏切り者」と非難していたことが、26日までに解禁された米公文書で分かった。
 キッシンジャー氏の懐疑的な対日観は解禁済みの公文書から明らかになっている
が、戦略性の高い外交案件をめぐり同氏が日本に露骨な敵愾心を抱いていたことを
伝えている。繊維交渉などで険悪化した当時の両国関係を反映しており、70年代の日米関係史をひもとく重要資料といえる。文書はシンクタンク「国家安全保障公文書館」が国立公文書館から入手。26日の公表前に共同通信に閲覧を認めた。
 ハワイで日米首脳会談が行なわれた72年8月31日付の部内協議メモによると、キッシンジャー氏は部内協議の冒頭で「あらゆる裏切り者の中でも、ジャップが最悪だ」と発言した。
 続けて、中国との国交正常化を伝えてきた日本の外交方針を「品のない拙速さ」と批判し・・・首相訪中に関する日本からの高官協議を拒否したという。
 またフォード大統領訪日を直前に控えた74年11月12日付の国務省会議録によると、国務長官も兼務していた同氏は省内会議で田中首相について「日本の標準に照らしてみても うそつきだ」と言明した。】

 私は、これを読んで、「米国では公文書公開制度が機能している」と感じました。
 日本でも「公文書公開制度」はあります。何十年か経ったら、国家が所有するいかなる秘密書類も公開するという制度です。ところが、この文書公開によって、当時の外交その他政治の実態が明らかにされるということが、極めて稀です。

 私の感ずるところでは、日本の官公庁に「公文書公開制度を機能させる」という意識がほとんどない。彼らは、「日本の官僚に誤謬はない」という建前を堅持し、後年資料によって官僚の誤りを指摘される事態を恐れて、公文書公開を機能させないようにしているのでは?と思われます。
 彼らは、一定の期間、例えば5年が過ぎた文書を、どんどん廃棄している(と聞いています)。だから、公文書の廃棄を禁止しない限り、日本では「公文書公開制度」は機能しない。
 何故そうなるのか?これを議論すると面白いのですが、長くなり過ぎましたから,次の機会にします。