古稀の青春・喜寿傘寿の青春

「青春は人生のある時期でなく心の持ち方である。
信念とともに若く疑惑とともに老いる」を座右の銘に書き続けます。

税調に思う

2005-07-04 | 経済と世相
先日、政府税調の答申なるものが発表され、TVでも新聞でも話題になった。皆様
ご承知のことですが、新聞で論じられていないことで、疑問に思うことがあります。

 1.増税する場合には、最低課税限度額の引き下げ(つまり所得控除額の引き下げ)
と税率のアップがあり、両者の組合せで、次のケースが考えられます。
①税率を据え置き、所得控除額を引き下げる。この場合、負担は低所得者に大きい。
②税率を引き上げ、所得控除額は据え置く。この場合、負担は高所得者に大きい。
③税率を引き上げ、所得控除額を引き下げる。この場合、負担は低所得者にも高所得
者にも大きい。
 今回の税調の見解は①の路線を取っています。しかし、何故②③を取らず①なのか
の説明がありません。
 2.「少子高齢化を乗り切るためには増税は避けられない」と述べていますが、
「増税すれば、少子高齢化を乗り切れるのか」の説明がありません。
 私は、「少子高齢化は増税では乗り切れない!」と考えています。年金制度の維持
が出来るかどうかは、働く人と年金で食べさせてもらう人の比率の問題で、現役世代
の比率が低くなれば、増税しようとしても、その増税に現役世代が耐えられなくな
る。だから、税制の問題ではない。
 現役世代が少なくなれば、高齢になっても現役に留まるしか方法はない(移民を導
入すれば別ですが)。
 人類はホモ・サピーエンスの発祥以来、子を産んで育て、死ぬ時は子に面倒を見て
もらってきた。子を育てないで、老後は子に面倒を見てもらうことが不可能なこと
は、老人の世話が家庭から社会になっても同じです。
 だから、なすべきことは、企業が定年後も従業員の雇用に責任を持つことや、高齢
者が働ける労働環境を整備することで、税制を変更して解決できる問題ではない。税
制で、解決できると言うなら、増税でどれだけ金が入り、年金でどれだけ金が出るか
を明らかにする必要がある。その点、何も示されていない。
 3.「財政が破綻しているから増税は避けられない」と税調はいいますが、「増税
すれば財政が良くなるのか?そもそも増税で、財政がどのようになるのかの説明がな
い。
 大雑把に言って、年間の国民所得は500兆、国の税収が42兆で、借金(公債発
行残高)が750兆にもなる。つまり、国民が一年の稼ぎを100%税金として納
め、それを国は一銭も使わなくて借金の返済に回して1年半かかる。100%税金は
無理だから10%にして考えたら、国は税収を1銭も使わずに、返済を続けて15年
かかる。この間、公務員には1銭も給料は払えない。こんなことが出来るわけがな
い。つまり、国の借金は返済できないのです(インフレにすれば別です)。増税で、
返済できる範囲を越えてしまっているのです。増税で借金を返さないのなら、財政を
どのようにしたいと考えて増税するのか?説明がないのです。
 私見ですが、国債は永久国債(元金は返さず利息だけ永久に払う)にするしか方法
がない。と思います。
それにしても、国債を発行し続けるわけには行かないのですが、そのためだけなら、
国の支出の合理化で乗り切れるのでは?と思います。いずれにしても、国の財政状態
がどうなるかの説明なく、増税だけを議論するのでは、論理的な議論が出来ません。
 そもそも、何故こんな借金を積み上げてしまったのか、原因の追求が全くなく、再
発防止策がまったくない。これは、太平洋戦争で、あれほどの惨害を国民に与えなが
ら、原因の探求も再発防止策も考えようとしないのと同じで、日本人は、税金も戦争
も、地震か台風のような自然災害と思っているのでしょうか?
 
 今回の税調の答申は全く論理性を欠き、これが学者の書いたレポートとは信じられ
ません。税調の会長は、以前、一橋大の学長だったそうですから、昔は立派な学者
だったと思うのですが・・
 一寸過激な送信になりました。


株主総会集中日

2005-07-04 | 経済と世相
 29日は株主総会のピーク、10時、D社の株主総会も始まりました。

 「ご質問の方は挙手をどうぞ」社長がこちらを向いたので即、挙手。番号、氏名の
後、発言。
 「JR西日本の事故があり、現場の安全管理の重要性が再認識されているが、臨時
社員の受け入れとその安全教育について聞きたい。
 近年、派遣社員やパートなど正社員以外の人たちが現場で作業することが多くな
り、作業不慣れによる労災事故が憂慮される。この観点から、直接作業の労働者のう
ち派遣社員の比率、パートなどの比率はどうなっているか?また、それらの人への安
全教育は、どのように実施されているか?」
「パートは8%、派遣社員は約16%になっており、作業に着く前には必ず安全教育
は実施、重量物のハンドリングは玉がけ作業の資格者以外にはやらせません」 労務
担当重役が回答した。
 
 なにしろ、過去最高の売上げと営業利益だから、文句をつける株主も居ない。他に
質問も出なくて、40分余で総会は終った。
 10分の休憩後、執行役員(7月1日からスタート)も出席し「株主懇談会」が始
まった。ケーキ・コーヒーのサービスがあり、会社の重点取り組み事項の説明後、株
主の質問、という段取りだった
 社長は、業績好調なので、話が止まらなくて、30分の予定が45分になる。目新し
いことが好きで、今、シャープ・D特殊鋼との共同開発で、「太陽光発電装置」の開
発に取り組んでいるという。
 受光面が太陽の方向を追随するようになっていて、この仕組みは、万博の名古屋市
「大地の塔」館に採用されていると宣伝していた。
 で、小生の質問1.「海外への工場展開に積極的だが、現時点で世界各地にどれだ
けの資産を所有し、収益状況はどうなっているか?」
 経営企画担当専務は「所有資産は北米27.14億円、欧州45.22億円、アジヤ
 75.27億円(うち中国12.65億円)です。収益状況は、北米・欧州はまだ
赤、アジヤは好調で4.9億円の黒字、しかしそのうち中国は、立ち上げたばかりで
1.7億円の赤です。」と言う。要するに、何十年も前から進出しているタイワン・
韓国等は利益を上げているが、近年になって進出決断したところは、まだこれから、
ということか。
(またUKに行くことになったYOSHIDAさんは、当分苦労することになりそう
だ。)
 質問2「生産設備の投資について、①設備投資のねらいを何処に置くのか?②設備
の革新を進めるため生産技術スタッフの増強を考えていないか?③設備投資金額の今
後数年の推移は?」と聞くと、技術担当専務が回答した。投資金額は単体で年30
億、連結で50億円程度という答えだったが、それ以外は具体的な回答にならなかっ
た。
 総括すれば、社長が「トラックの台数が11万から10万ぐらいに減ったが、中国
だけで40万台のトラック需要があるから、・・・」と述べていたように、世の中輸
出が出来る企業は、大好調でわが世の春だが、内需だけの企業は不況に苦しんでいる
のだろう。
 今年からの総会で内容が大きく変わったのは、連結決算中心の報告になったことです。