Life in America ~JAPAN編

I love Jazz, fine cuisine, good wine

いいホスピタリティー、悪いホスピタリティー。

2007-08-10 13:07:07 | アメリカ生活雑感
先日のJam Sessionのビデオを見ながらうちで反省会をやろうと、マサコが遊びに来た。いつもならポールがもれなくついてくるところだが、なにしろポール抜きのJamのビデオ鑑賞会なんて見せた日にゃまた火に油を注ぐようなもの。
ちょうどお昼どきということで、マサコはTOKYO FISHでうなぎの蒲焼を買ってきてくれた。わざわざ紅しょうがと粉山椒まで持参。そういえば最近めっきり蒲焼を食べていなかったなぁ。よく買っていたコリアンマーケットが遠くなって行かなくなったことと、中華マーケットも最近怖くて行かなくなり、そうこうしているうちにうなぎからも遠ざかってしまっていた。
私はご飯を炊いて大根のお味噌汁を作ってウキウキと待機。久々に食べたうなぎはふっくらとうまかったあぁぁ。たまたま昼まで家で仕事をごちゃごちゃやっていたPちゃんも超ラッキーなことにご相伴にあずかり、3人で一緒にまるで土用の丑の日のようなお昼ご飯。マサコはそのほかにも手土産に“高級黒酢”を持ってきてくれた。おおお、これは何よりもうれしい。

マサコって人は、近頃めずらしいほど邪気のない人。裏表というものが全くない。おおらかというか何も深く考えてないというか(失礼!)、とにかく人を疑うことを知らないお嬢さんがそのまま大きくなったような性格で、年上なのにたまに妹のような感覚になる。だからなのかしょい込むダンナはいつも“甘えたのくせに亭主関白(man oriented)ぶりたい”タイプで苦労する。きっと彼女のホスピタリティーにひかれてそういうタイプがやってくるのだろう。
ホスピタリティーといえば、その昔よく入り浸っていた銀座のジャズバーのママ(かよちゃん)が全く同じようなタイプだった。面倒見がよくって裏表がなく、すっぽんぽん(性格が)。私はこういうタイプと縁があるのかもしれない。きっと正反対だからかな。

正反対といえば、Pちゃん。
この日ちょっとした面白い“事件”があった。3人でご飯を食べ終わってさぁ、Pちゃんは仕事に私たちは反省会をしようと行動を起こしたその瞬間、知らない女性から電話がかかってきた。片言の日本語をしゃべるので、こちらもどこかで会った人かもしれないと話を聞いていたがどうやら全く関係のない赤の他人。私のフルネームをしかも漢字で言うので不気味に思って「どうやってこの番号を知ったんですか?」と問いただすと突然うろたえ、「え・・。Don't know. 私の財布に名前が入ってた」とわけわからんことを言う。ちょっとむかついて「財布ってどういうことよ!」とつっこむと今度は「I'm scared・・(怖い)」を連発。会話にならない。そのうえ病院から帰ってきたところ、とかポリスを呼ぶとかもうわけわからん。どうやら相当イカレているらしい。

電話を切ろうとしたところに一連の会話を聞いていたPちゃんが「SHOKOのhusbandですが、何か御用でしょうか?」と電話をかわってくれる。ちょっと気味が悪かったので男性が電話をかわって切ったほうがいいかもとそのときは単純に考えていた。
が、この電話、10分たっても終わらない。どうやら話し込んでしまっている様子。「あなたはパニック症なんですね?落ち着いて。」「あなたのexハズバンドの名前は?電話番号は?」「病院の名前は?」・・・
そのあとも延延と“カウンセリング”は続きついに1時間。マサコと私は当然ビデオをみることができず、仕事にいかねばならないPちゃんの予定も大幅に遅れて私はイライラ。電話をかわったことを猛烈に後悔した。
なのに、彼はぐったりしながらも後悔する様子はみじんもなく「彼女は完全にパニックになっていて、カームダウンさせるのに時間がかかったよー。最後には自分がいかに天才かをしゃべってたけどね」とケロリ。何で私の電話番号を知っていたのかはまったく謎のままだった。

その晩。
帰宅したPちゃんが「彼女からその後また電話がきた?」と聞くので「No.でもあそこですぐ電話を切るべきやったわ。あなたも私も時間の無駄遣いしてしまって。それになんで私の電話番号やねん!」と怒りをこめて言うとなんとPちゃん、
「彼女はパニック症なんだよ。なんとか落ち着かせてあげないと何をしでかすかわからないじゃない。」
え?それだけのためにドクターでもないのに1時間も話を聞くわけ?あんなに今日は忙しいって言うてたやん。それに、私のプライバシーはどうなるんだ!
「悪いけど私の情報をどうして手に入れたかも説明できない見知らぬ人のことにかまってはいられません」
「相手はパニックなんだよ?電話を切ったら死んじゃうかもしれないんだよ」
「そんなの脅し。カンケーありません」
むかついたので最後は極端に突き放したら、Pちゃんはそのまま私の顔をじっとみたままフリーズしてしまった。きっと心の中で「なんて冷たい女なんだ」と思っていたにちがいない。
「私のポイントはね、まずどうして私に名指しでかかってきたかをはっきりさせたかったこと。こういうプライバシーの侵害は一番許せない。それを棚に上げて都合悪くなると一方的に弱者ぶるその態度が気に入らないってこと」
Pちゃんはひたすら「それでも彼女は尋常じゃない」を連発。こういう人は誰でもいいから話を聞いてもらいたいんだよ、と。
ここで私ははっと気づいた。彼がここまで一生懸命になる理由。それは自身がちょっとしたパニック症を持っていることにあったのだと。でも私は、家族や友人の心配はできても赤の他人、しかもアイデンティティー・セフト(個人情報泥棒)した人にかまってあげる気には到底なれない。
いつのころからか他人のことには口出しも干渉もしなくなっていた。それが自分にとっても楽だから。ずるい人間なのかもしれない。

でもPちゃんは逆。相手が誰であれ、持ち込まれた相談ごとにはとことん乗る。たとえ自分がどんなに忙しくても。マサコも「私もペドロにだったら何でも話せる気がする」と言っていた。でもホスピタリティーも過ぎると時間の無駄にもなる。たまに昔の友人から“悪いオトコにだまされてカネ取られたの~”とかいうアホな泣きの電話が入って長話している彼をみるたびに私は、そんなしょーもないな相談に乗るな、むこうもオトナでしょうが、甘やかすな、と非難するのだった。

彼のホスピタリティーには脱帽・感心するし、人から相談を受けるのは心が優しい証拠なのでとてもいいことだと思う。けれどいったいどのさじ加減がいいのかいまだにわからない。

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