徳島でPちゃんと町をふらふらしていたときのこと。
二人とも絵を見るのが好きなので、ある古ぼけたギャラリーにぷらっと立ち寄ってみた。
するとたちまち、Pちゃんが入り口前にかけられていた一枚の絵に引き寄せられていった。
それは、「阿波踊り」の踊り子さんを描いた水彩画。
阿波踊りの絵はもう今までいやというほど見ている私にとっては別段珍しくもなかったのだが、Pちゃんはすっかり心を奪われた様子。それも、「表情がとても生き生きとしてかわいい」という。
なるほど。今まで踊り子さんの絵といえば色鮮やかな群舞か、バストアップで表情が笠に隠れたものが多かったが、この絵はなんだか違う。
さすが面白いところに目をつけるものだ。
Pちゃんは夏の阿波踊りを経験したことはないけれど、前回徳島に来たときにいわゆる“観光用の阿波踊り”を見ているし、私が持っているビデオで何度も夏の夜の阿波踊り風景を見て知ってはいた。
「この絵、欲しいなぁ」
「え?(私は別に・・・やけど)」
ちなみに店主にお値段を聞いてみたらビックリするような額でもない。しかもPちゃんがあまりに気に入った様子だったので「ガイジン特別割引」で半額にしてくれるという。
まだ数日徳島にいることだし、また本当に欲しいと思ったら来よう、ということにしてその日は引き上げた。
そして徳島最終日。
どうしてもあの絵が諦めきれないPちゃんと、両親と一緒にまたあのギャラリーに出かけてた。
その絵はまだ、同じ場所に掛けられていた。
店主がうれしそうに出てきた。
「(アメリカに)持って帰るんやったら額をはずして中の絵だけにしたらどないですか?」
で、さらに半額にしてくれるという。
よし、決まりだ!
さらにうれしいことに、Pちゃんへのお土産として両親がこの絵をプレゼントしてくれた。このときのPちゃんの満足そうな顔といったらまぁ、子どものようだった。
頑丈に包装してもらって、大切に大切に持って帰った。
店主によれば、この絵は徳島大学学芸学部教授を長年勤め、地元美術界でも積極的に活動されてきた河野太郎氏(1907~2000)によるもので、かれこれ40年ほど前に描かれたものだという。
そういえば踊り子さんの衣装や笠の形状などがかなりレトロさを漂わせている。(これは県人でないとなかなかわからないと思うが)
「たいがいの画家さんは阿波踊りゆうと上半身だけとか大勢とかに逃げてしまうんやけど、この人はちゃぁんと踊り子さんの全身の細かな動きのひとつひとつに気を配って描いとるんよ。スケッチがしっかりしとるんやわな」
店主のおじさんも口が滑らかだ。
そういう目でこの絵を再び見つめてみると、それはそれでなかなか趣深くチャーミング。
Pちゃん、いい選択したね!
そして、アメリカに戻った私たちはさっそくフレームショップへ。
フレームそのものは既製品で安く済ませたが、絵の淵の画材(厚紙)はこだわってああでもないこうでもないと喧喧諤々。
その結果、薄い金色、濃い金色、わずかに見える赤(赤は踊り子さんの裾から覗く“お腰”のイメージ)、の3色構成に決定。
で、出来上がったのがこれだ。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/12/db/187df731f40c9666c393dcbafbbc6b8e.jpg)
うん、なかなかいい。店で見たときよりも数倍絵が引き立って見える。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/51/1e/d9ae2abe6e38f093030dd6149343b1d7.jpg)
うれしそうなPちゃん
★ おまけ
絵といえば、今回ずっと日本におきっぱなしだった(前回帰国の時、電車に忘れるという大失態を犯した)大切な絵もやっと持ち帰ってきた。
20年以上前、大枚をはたいてローンで買った、ロニー・ウッド(ストーンズ)の作品。モデルはキース・リチャーズ。
私にとっては思い出の絵であり、一生の宝物。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6a/d4/604a784bc228d0ff5e268caaf4c892b7.jpg)
リビングのギャラリーの中心にすわって、10年ぶりに戻ってきたキース
二人とも絵を見るのが好きなので、ある古ぼけたギャラリーにぷらっと立ち寄ってみた。
するとたちまち、Pちゃんが入り口前にかけられていた一枚の絵に引き寄せられていった。
それは、「阿波踊り」の踊り子さんを描いた水彩画。
阿波踊りの絵はもう今までいやというほど見ている私にとっては別段珍しくもなかったのだが、Pちゃんはすっかり心を奪われた様子。それも、「表情がとても生き生きとしてかわいい」という。
なるほど。今まで踊り子さんの絵といえば色鮮やかな群舞か、バストアップで表情が笠に隠れたものが多かったが、この絵はなんだか違う。
さすが面白いところに目をつけるものだ。
Pちゃんは夏の阿波踊りを経験したことはないけれど、前回徳島に来たときにいわゆる“観光用の阿波踊り”を見ているし、私が持っているビデオで何度も夏の夜の阿波踊り風景を見て知ってはいた。
「この絵、欲しいなぁ」
「え?(私は別に・・・やけど)」
ちなみに店主にお値段を聞いてみたらビックリするような額でもない。しかもPちゃんがあまりに気に入った様子だったので「ガイジン特別割引」で半額にしてくれるという。
まだ数日徳島にいることだし、また本当に欲しいと思ったら来よう、ということにしてその日は引き上げた。
そして徳島最終日。
どうしてもあの絵が諦めきれないPちゃんと、両親と一緒にまたあのギャラリーに出かけてた。
その絵はまだ、同じ場所に掛けられていた。
店主がうれしそうに出てきた。
「(アメリカに)持って帰るんやったら額をはずして中の絵だけにしたらどないですか?」
で、さらに半額にしてくれるという。
よし、決まりだ!
さらにうれしいことに、Pちゃんへのお土産として両親がこの絵をプレゼントしてくれた。このときのPちゃんの満足そうな顔といったらまぁ、子どものようだった。
頑丈に包装してもらって、大切に大切に持って帰った。
店主によれば、この絵は徳島大学学芸学部教授を長年勤め、地元美術界でも積極的に活動されてきた河野太郎氏(1907~2000)によるもので、かれこれ40年ほど前に描かれたものだという。
そういえば踊り子さんの衣装や笠の形状などがかなりレトロさを漂わせている。(これは県人でないとなかなかわからないと思うが)
「たいがいの画家さんは阿波踊りゆうと上半身だけとか大勢とかに逃げてしまうんやけど、この人はちゃぁんと踊り子さんの全身の細かな動きのひとつひとつに気を配って描いとるんよ。スケッチがしっかりしとるんやわな」
店主のおじさんも口が滑らかだ。
そういう目でこの絵を再び見つめてみると、それはそれでなかなか趣深くチャーミング。
Pちゃん、いい選択したね!
そして、アメリカに戻った私たちはさっそくフレームショップへ。
フレームそのものは既製品で安く済ませたが、絵の淵の画材(厚紙)はこだわってああでもないこうでもないと喧喧諤々。
その結果、薄い金色、濃い金色、わずかに見える赤(赤は踊り子さんの裾から覗く“お腰”のイメージ)、の3色構成に決定。
で、出来上がったのがこれだ。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/12/db/187df731f40c9666c393dcbafbbc6b8e.jpg)
うん、なかなかいい。店で見たときよりも数倍絵が引き立って見える。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/51/1e/d9ae2abe6e38f093030dd6149343b1d7.jpg)
うれしそうなPちゃん
★ おまけ
絵といえば、今回ずっと日本におきっぱなしだった(前回帰国の時、電車に忘れるという大失態を犯した)大切な絵もやっと持ち帰ってきた。
20年以上前、大枚をはたいてローンで買った、ロニー・ウッド(ストーンズ)の作品。モデルはキース・リチャーズ。
私にとっては思い出の絵であり、一生の宝物。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6a/d4/604a784bc228d0ff5e268caaf4c892b7.jpg)
リビングのギャラリーの中心にすわって、10年ぶりに戻ってきたキース