Life in America ~JAPAN編

I love Jazz, fine cuisine, good wine

クラシックに始まりJazzに終わった、秋の一日。

2008-09-29 04:00:47 | music/festival


日増しに秋を感じるようになってきたこの頃。
久しぶりにミシガンの風を感じたくなって、きょうはしっとりと音楽を聞きに出かけた。

今週末チェックしていたのは、「Day of Music (12thAnnual FREE misic Marathon)」というフリーイベント。
午後2時から夜の10時まで、クラシックからワールドミュージック、Jazzまでという幅広いジャンルの一流の音楽が無料で楽しめるというイベントだ。

会場は、いまだに足を踏み入れたことがなかった、憧れの“Chicago Symphony Hall"。
そう。今日の一番のお目当ては、国内でもトップクラスを誇る地元の“シカゴ・シンフォニー・オーケストラ”を聴くことだ。



開演前の様子。
着いたころにはすでに超満員で座席はバルコニー席。転げ落ちそうに高かった。
でも、ここからはオーケストラが全て見渡せてとてもよかった。

ファミリーイベントなので、いつもの堅苦しさはなし。
小さな子供連れでもOKということもあり、ホールには普段は連れて来れない小さな子ども連れの家族も結構目立った。(やっぱりうるさかったけど・・)

普段は100ドルはするだろうというクラシックコンサートをただで聞けるということに加え、この日の演目は2曲ともPちゃんの一番好きなピースだったらしく、クラシック好きの彼もいつになくうれしそう。
2曲目の「展覧会の絵」オーケストラバージョンは、特に素晴らしく、ふたりとも大感激!


Chicago Symphony Orchestra
Charles Dutoit/conductor
Robert Chen/violin
Sibelius "Finlandia Lalo Symphonie espagnole"

Debussy "Prelude to The Afternoon of a Faun"
Mussorgsky "Pictures from an Exhibition" (orch. Ravel)


いつか来ようと思いつつも、敷居が高くて最初の一歩がなかなか踏み出せなかった私たちのような庶民に、今度改めてちゃんと来ようという心の準備ときっかけを与えてくれるこういう催しは本当にありがたい。

次に立ち寄ったのは、ロビー広場で行われていた若手オペラシンガーのソロ。



Chicago Opera Theater
Young Artists Program
Amanda Tarver/ mezzosoprano,
and Lucas Harbour/ bass-baritone
Director of Musical Studies Scott Gilmore for a program
of arias, songs and duets ranging from classical opera to
American musicals.



7:30pmからは、以前ミレニアムパークで聞いたボサノバの巨匠、Paulino Garciaによるクァルテットをたっぷりと。
ボサノバを聴くには、このくらいの規模のほうがやっぱりいい。



Paulinho Garcia Quartet featuring Greg Fishman (sax)



8:45pmからは、サクソフォーンの大御所、Von freeman QUINTET。

一言では言い表せないけれど、最近見た中で間違いなく一番素晴らしいライブだったことは間違いない。
フリーマンの、変幻自在かつメロディアスなサックスに、絶妙に絡み合うギター、ベース、ピアノ。
そして憎いほど正確なドラム。
どれをとっても完璧な、それでも見ている側にテンションを感じさせない心地よさを与えてくれる演奏だ。


ベースよりも大きいベーシスト・・ 

 おちゃめなフリーマンと一緒に。


いろんな音楽を堪能して、大満足
活力をもらった。




bailout

2008-09-27 05:51:07 | アメリカ生活雑感
最近新聞でよく見かけるのがこの単語。

”bailout”

そう、昨今アメリカ中、いや世界経済をも揺るがしているアメリカの金融機関が抱える不良債権対する政府の緊急援助措置。これが「ベイルアウト」

なんてったって、その額、$700 billion。
ビリオン(billion)は10億、ということは、7,000億ドル。
日本円に直すとさらに桁が二つ増えて、約75兆円。

アメリカの毎年の軍事費は約5,000億ドルというから、救済予算はほぼ軍事費と同じ規模ということになる。

そういわれてもまだ、庶民にはどれほどの金額なのか想像もつかない。
夕べテレビのニュースを見ていたら、この額がどれくらいの規模なのかをいろいろシミュレーションしていて、思わず笑ってしまった。

その1)1ドル紙幣を積み上げたら、月まで到達する。

その2)紙幣でワシントンD.CやNYをすっぽり覆うことが出来る。

(ほほ~!)

生活実感面では、

その3)アメリカ中の子どもたちが5年間無料でヘルスケアを受けることが出来る。

(・・ああ、なんともったいない・・・)


でも、私的に最も受けたのはこれ。

ジョージ・マイケルを毎晩プライベートパーティーに呼んでパフォーマンスさせることができる。
その期間約960年間!!



いずれにしても、アメリカが崩壊に向かっていることは、間違いない。

私は時々こんな妄想に駆られる。
これは良く仕組まれたコンスピラシー(策略)なのではないかと。
「アメリカを根底からじわじわと腐らし、壊滅させよ」という指令を受けた人物(秘密の団体)がいて、まず教育制度を壊し、歪んだ宗教心を子どもたちにせっせと植え付け、腐った政治家をワシントンに送り込み、金融を破綻させる・・・、という崩壊へのシナリオ。

これがなんと、すべてうまくいっているじゃないか。
最近、この説が現実味を帯びてきたようで不気味だ。



ソシオロジー ~その1

2008-09-21 04:31:18 | アメリカ生活雑感
8月20日から始まった、週2日の大学生生活。
授業も回を重ねるごとにますます面白くなってきた。
特に、ソシオロジーにすっかりはまっている。

私にとっては、大学入学⇒就職⇒2回の転勤⇒アメリカ生活、と、人生そのものが文化圏の違う場所への旅でありカルチャーショックの連続、言ってみれば「ソシオロジーの実践編」だったわけで、今になってようやくその体で得たものを学問として言葉に置き換えているという作業を始めている。
これがまぁ、なんというかたまらなく面白い。
まわりの学生たちは、高校を卒業したばかりの10代、もしくは4年生大学でドロップアウトしてまたやり直しをしている若者がほとんど。「ここで生まれてここで育った」外国はおろか、自分の町以外の世界を知らない子が多い。

今まで気づかなかったけれど、そういえばアメリカ人には大学時代にソシオロジーを専攻していたと言う人が異常に多い。それはきっと“元を質せばアメリカ以外の人”の集まりでできた国だからであり、ルーツや他国の文化を知らずば社会でうまく対応していけないからだったのだろうと納得。
アメリカで企業にはいるとまず、ソシオロジーのレクチャーを受けさせられるという。よその国の文化を理解しておかなければ面食らうことがいくらでもおこるからだ。
会議中、急にどっかの方向を向いて一心にお祈りを始める同僚に「おい、馬鹿な真似はよせ」というわけにもいかない。
日本では日本人としての統一した価値観(のようなもの)が暗黙の了解としてあるため、よその“変な”文化でかき乱される心配はない。あるとすれば、時代と共に新人類が入ってきて訳のわからない行動や言動をとるくらいなもんだろう。でもそれも、想定の範囲内だ。


ところで、「アメリカ人って本当はいったい自分を何人だと思っているんだろう?」

私がずっと考えていたこの問いに、奇しくも先生が答えてくれた。
「あなたはアメリカ人ですか?」と聞かれたら「違いますよ、私はアイリッシュですけど」とルーツを答える。「でもアメリカ人なんでしょ?」としつこく聞かれると、「いいえ、あえて言えば白人です」と答える、というのだ。
アメリカ人同士では、「母はドイツで父はイギリス出身で」とか「いやぁ、両親はポーリッシュでして」という挨拶が良く聞かれる。
じゃぁ、自分はどこの人?一応国籍はアメリカだけれど、○○人とは言い切れない。ただはっきりしているのは「白人」というカテゴリーだけだというのだ。
だから、誰がアメリカ人かどうかではなく、白人かどうかが社会でまず大きなカテゴリー分けになるわけだ。

さて、このクラスでももちろん、毎週レクチャーとテキストをもとにレポートの宿題が出るのだが、先週の宿題はこれ。

「二つの文化を5つのエレメント(Symbol、Language、Valure、 Norm、Ritual)を比較し論ぜよ。」

手っ取り早いところで手始めにまず日本とドイツを比較してみることにし、Pちゃんにいろいろ聞いてみた。
よく日本人とドイツ人は気質や文化が似ていると言われているし、実際なんとなく安心感のようなものを感じてはいたが、言葉にしてみるとこれがはっきりして面白い。
特に、社会でのValue(価値観:善し悪しの判断基準となるもの)やNorm(行動規範:Valureを満たすために望まれる道徳)には、共通する項目が多いのだった。

まず、Valueを見てみると、
日本 ――義理と人情(Duty & Sympathy)、和(Harmony & Cooperation)平等(Equality)、安心・安全(Security)、伝統と継承(Tradition & Succession)

ドイツ ――安心・安定(Security (social insurance, health insurance, permanent job, permanent house)、品質の高さ(Good quality equipments)、自国主義(または外国嫌いXenophobia)

そして、Norm。
日本 ――謙虚(Humble & Modest)、責任感の強い(Responsible)、勤勉(Industrious or diligent)、礼儀正しい(Polite)、決まりごとに従順(Obedient (obey to authority, social rule, law and promise)

ドイツ ――勤勉(Industrious (or diligent)、倹約的で質素(Economical & Simple)、時間に厳密(Punctual)、控えめ(Reserved)、決まりごとに従順(Obedient)、冷静・沈着(Calm and composed behavior)

双方共に、「謙虚で勤勉、ルールを守る」行いが良しとされ、個人主義は好まれない。そして「安定した仕事」「家を買ったらそこで一生定住」「物を大切にし、せっせと貯蓄する」といった保守的な価値観も似ている。

一緒に生活をしていても、話をしていても、この根っこのところが共通しているので「アンタってそんな人だったの!?」という悪い意味のオドロキはまずない。
これはとても大切だなと思う。

しかし反対に、日本人だからといって皆同じというわけはない。
それが証拠に「価値観の相違」で別れる夫婦は後を絶たない。
Valueは生まれ育った環境や親の教育、全てのものがあいまって出来上がるものなので、個々人違って当たり前。なのに同じ国の人間というだけで妙に過大評価(overestimate)して安心してしまっているんじゃなかろうか。
国が違えば初めからあきらめ(?)もつく。だから相手をわかろうと努力するし、許容範囲も違ってくるのかもしれない。

いろいろ思っていたことを言葉にしているうちに、妙に納得してきた。



サラ・ペイレンはアメリカのおもちゃ

2008-09-20 02:48:54 | アメリカ生活雑感
先週のSNL(サタデーナイトライブ:アメリカの長寿コメディスケッチ番組)のオープニングコントがアメリカ中を揺るがす大反響になっている。
もちろん、ネタはサラ・ペイレン。
この週のゲストはマイケル・フェルプスだったが、この大物ゲストの存在をすっかり食ってしまったTina Fay(ティナ・フェイ)の激似をまずどうぞ。





変なアラスカンアクセント、目の泳ぎ方、無意味な自信過剰なしゃべり。
何もかもがそっくりと、新聞でもTVニュースでも異例の取り上げられ方だ。

隣のヒラリー(Amy Poehler)が、ブッシュ・ドクトリン(ブッシュ政策)には賛成できない、と声を荒げると、サラは「私、知らないの・・」と急にしゅる~っとなるのも爆笑もの。
これは、先日のABCのインタビューで「あなたはブッシュドクトリンについてどう考えているか?」とインタビュアーに聞かれたとき、答えが酩酊、実は何~にも知らないと言うことを露呈してしまったのを受けてのパロディー。

そのときのVTRがこれ。




知らないなら知らない、勉強不足ですと言えばいいのに、この場をごまかそうとしてちんぷんかんぷんなことを言う女・・・。

あきれた。

当分YouTube遊びはやめられそうにない。

歴史的瞬間と、パジャマパーティー。

2008-09-16 12:14:14 | アメリカ生活雑感
先週金曜日、9月10日の深夜。
ヨーロッパのとある実験施設が歴史的な瞬間を迎えた。

スイスのジュネーヴ西方、スイスとフランスの国境をまたぐ地域に1953年に創設された世界最大規模の素粒子物理学の研究所、「ヨーロッパ合同原子核研究機構」略称CERN(サーン)。
その地下で建設が進められていた 、全周 27kmという 世界最大の円形素粒子加速実験装置「大型ハドロン衝突型加速器(通称LHC)」が20年の歳月をかけて完成、ついにこの日運転を開始した。
LHCの実験目的は、宇宙が誕生した「ビッグバン」直後の状態を再現し、宇宙誕生の謎を解明すること。


6階建てのビルほどの高さ(深さ)にも達する


Pちゃんが現在仕事をしている、Fermilab(フェルミ国立加速器研究所)の加速器(通称テバトロン)は、このLHCが作られる前までは世界最強だったわけだが、今回のこのLHCによって得られる衝突のエネルギーはその7倍で、宇宙誕生時の大爆発ビッグバンから1兆分の1秒後の超高温・超高圧状態を再現することができるらしい。
(と言われても、よくわからんが・・

9月10日のスイス時間午前9時ごろ、このLHCが最初の衝突実験を開始した。
まぁ要するに、素粒子物理の世界では歴史的瞬間だったわけですな。


さて、この「ファースト・ビーム(最初の衝突)」の歴史的瞬間をアメリカでも盛大にお祝いしようと、ここFermilabでカウントダウンイベントが行われることになった。とはいうものの、アメリカ時間は午前1時半。
そんなわけで、このイベントはお茶目にも「Pajama Party(パジャマ・パーティー)」と名づけられ、その案内がFermilab中に届けられた(けれど、私は翌日朝早いので今回は参加せず)。

この歴史的瞬間をどうしても見たい、とPちゃんはうれしそうに1時過ぎに出かけていった。(注:パジャマで行けと言ったのに恥ずかしがって普通の格好で出かけた。)

そのFermirab、夜中だというのに100人を超す研究者や報道プレスが大集合し、大変な賑わいだったらしい。
ワインや軽い朝食?もでたらしい。
Pちゃん、ご機嫌で戻ってきたのは4時半ごろ?(寝てたので知らない)



世界的な実験イベントとは思えない「パジャマ・パーティー」のポスターがなんとも笑える。


この人、本当にパジャマ(じゃなくてバスローブ)姿・・・
でも様になっているから許してあげる


こっちは許せないタイプ・・・



祝!ファースト・ビーム


午前3時半ごろ。プレスも大勢駆けつけて


誰や、そこで浴衣着とんのは!


プレスリリース:http://press.web.cern.ch/press/PressReleases/Releases2008/PR08.08E.html




化けの皮

2008-09-16 04:49:45 | アメリカ生活雑感
共和党の副大統領候補として華々しく“デビュー”を飾ってから2週間。
アラスカから突然現れたサラ・ペイレンの異様な存在は、良くも悪くもふたりの大統領候補よりも目立っていて、テレビをつけるとどこもサラ、サラ。
先日ABCが彼女に行ったロングインタビューは、テレビのゴールデンタイムに3日間に及んで放映されたほどだ。

彼女がクローズアップされるにつれ、You Tubeにも彼女の過去の演説や、教会での発言などがこぞってUPされ始めた。
次第にあらわになる、彼女の恐るべき正体・・・。

イラク戦争は“聖戦”である、と明言した演説。
"・・our national leaders are sending [U.S. soldiers] out on a task that is from God," 




サラ・ペイレンの事実。(予想以上に恐ろしい・・・)

1)キリスト教原理主義者である。

  ・学校ではクリエイショニズム(この世の全ては“神”から作られた、という説)を教えるべきだと主張。

  ・もちろん、地球温暖化を信じていない。

  ・中絶反対派であり、“abstinence-only”(禁欲のみによる避妊)を主張・推進している。

  ・(難病治療や病気の仕組みの解明、新薬の探索に役立つと期待されている)幹細胞研究には反対の立場をとる。


2)全米ライフル協会の生涯メンバーであり、ヘリコプターで野生動物狩りを楽しむ。もちろん、アメリカの銃規制には反対。

3)Newclear(核兵器)のことを“New-Clear”と思っていた。
  9月3日の副大統領ノミネート受諾演説のアンチョコには“New-Clear”と書かれていた。

などなど。

これはきわめて日本人的発想なのかもしれないが、さして政治経験もなければ専門知識もなく、ミス・アラスカあがりのPTAママ、ホッケーママでしかない人物が仮に副大統領候補にとオファーされたとしても、普通は自分の経験不足を理由に断るものだろう。
海外といえばカナダとメキシコにしか行ったことがなく、貪欲に勉強することもせず、宗教でしか物事を判断することが出来ない人物が副大統領だと?
「私はワシントンに行くのよ!」と言い切れるこの過剰な自信はいったいどこから来るのだ?

マケイン氏は共和党の中でもリベラル派として知られている。
そのせいで、党のコンサバ層には煙たがられている存在だ。だからといって、保守層の人気とりのためにこんな「超右派」の、しかも「若い女」という札を切るとは、がっかりだ。
過去に数回、持病の発作で倒れているマケイン氏。仮に彼が大統領になり、もしものことがあれば副大統領であるペイレン氏が国の采配を握ることになる。それほどの重責をこのど素人に任せようという無責任さ、今この選挙にさえ勝てばいいという浅はかな考え自体、国民に対する冒涜だと思うのだが。

ただ、今回の超おバカな選択のおかげで、(オバマ氏に負けて腹いせにマケインに票を投じようと揺れていた)ヒラリー支持者票から嫌われることも期待できる。

ここのところ、トークショーでもいろんな人たちがサラ・ペイレンをジョークにしているが、中でも秀逸はこれ。
「サラ・ペイレンが生まれてはじめて見た黒人がオバマ氏」だそうだ(笑)





司太鼓とTatsu Aokiさんとの出会い。

2008-09-13 07:30:07 | アメリカ生活雑感
9月11日

シカゴにはアメリカでも数校しかない全日制の日本人学校がある。
国外に住む日本人子女を対象に日本国内の小・中学校と同等の教育を行う、文部科学大臣が認定した学校のことで、略して全日校と呼ばれる。
週末や平日の放課後のみの日本語補習授業校(略称 補習校)とは違って、日本にいるのと全く差のない教育を受けられるため、任期の決まっている日本人駐在員などの子女に人気だそうだ。

シカゴの全日校「双葉会」では、子どもたちが日本の文化に触れられるよう様々なイベントを催している。今日はそのひとつとして太鼓のパフォーマンスがあるという案内をいただいたので、カレッジの授業終了後、車で日本人村(アーリントンハイツ)まで出かけてみた。

今日のイベントは、シカゴの太鼓道場“司太鼓”による太鼓のレクチャーとパフォーマンス。
イリノイ州やシカゴ市、その他団体からの補助金も得て運営されているというこの司太鼓、和太鼓や三味線のクラスも行っているという。

主催しているのは、青木達幸さん。
実はこの方、シカゴ在住20年のベテランジャズベーシストである、タツ青木(Tastu Aoki)
アメリカのミュージシャンとの競演はもちろんのこと、愛娘の名前を冠した“Miyumi Project”の活動はつとに有名。
日本の三味線や太鼓にサックスなどの西洋管楽器をミックス、そして同じくシカゴで長年活躍するブルースピアニスト&シンガーの野毛洋子(Yoko Noge)のヴォーカルという独特な“和洋折衷”スタイルのジャズは、アメリカ国内だけでなくヨーロッパでの評判も高い。

タツさんの実家はいわゆる「置屋さん」。
母親が芸妓(げいぎ)さんたちに三味線や歌を教えていたのを小さい頃から見て育ったという。しかし、自らはそんな和楽器に辟易として反抗するかのようにJazzの道を選んだ。
けれど、アメリカでの音楽家生活が長くなるにつれて日本の音に原点回帰、カエルの子はカエルに戻ったということだろう。
NYで活躍するトランペッター、大野俊三さんもそうだが、海外で活躍する時間が長くなれば長くなるほど、自分のアイデンティティーにふと目覚め、表現したくなるときが来るのかもしれない。

タツさんのことはメディアで知っていて興味があり、前から一度お会いしたかった。
なので今日のこの機会は本当に貴重だった。

演奏後ご挨拶にうかがっていろいろお話を伺っていると、日本人同士の世間は狭いもので、バークレー時代の飲み仲間でもあるあのオークランド“ソメイヨシノ太鼓道場”主催者のジミーさんとは旧知の仲だそう。
わ~、なつかしいなぁ。

これを機に、今度は是非Miyumi Projectや野毛さんとのライブを見に行こうと思う。
また、12月14日にはシカゴのモダンアート・ミュージアムで、アメリカで活躍する様々な太鼓道場が集まる公演が行われるそうだ。
これは是非、行ってみなければ!




こんなに日本人の子どもたちをいっぱい見たのはシカゴに来て、いやアメリカに来てはじめてかも。


左がタツ青木さん。
いかにも置屋さんで三味線をひいていそうな、はんなりとした穏やかな物腰のお人だった。


太鼓の歴史や「型」を説明してもらいながらの演奏は、とてもわかりやすかった。


キャンパスライフ。

2008-09-08 08:24:05 | アメリカ生活雑感
8月から隣町にあるカレッジに通い始めた。
College of Dupage(略称:COD)。
聞くところによると、全米一キャンパスの大きいコミュニティカレッジだそうだ。
ここで、「Sociology (ソシオロジー)」(社会学)と「Eary Childhood Development」(幼児期発達)の2科目を履修し始めて、3週間がたつ。

なぜこの科目なのかと言うと、それはきわめて必然だったような気がする。
もともと「人は何故そう考え、行動するのか」に無限の興味があった。
同じ日本人でも分かり合える人と理解不能な人がいる。世界に目を向けるともっとあっと驚くことがいくらでもある。
お互い「何故?」を知らないこと、わかろうとしないことががひずみを生み、憎しみとなり、戦争となる。それが人類の歴史だった。
過ちを繰り返さないためにも、この「何故?」をもっと深く知りたい。

幸いにも、私は生まれた国以外で生活し、同時にいろんな国の人たちと交わるチャンスがあった。
アメリカに来てからはいわばずっと“生活そのものがソシオロジー”だったわけだが、自分の経験や推測だけにたよらず、ここらで学問としての根拠、裏づけをしっかり学びたいという想いが募っていた。

幼児期の発達についても、同じ。
人格がどのようにして作られるのか、特に幼児期での人格形成は最大の興味だった。
この興味は、結婚してからさらに膨らんだように思う。
自分自身を理解するためにも、配偶者(Pちゃん)が「何故そう考え、動くのか?」を客観的に知るためにも、科学的根拠を持って学んでおきたかった。
しかもこれは、自分が主として書いている教育記事の裏づけにもなる。そしてなにより、今後いろんな意味でお世話になるだろう、教授をはじめとした人脈関係が築ける。


2ヶ月ほど前、自分の行く末にひどく落ち込んでいたとき。
ふと図書館で手にしたこの大学の授業カリキュラムパンフレットを見て「これだ!」と思った。
自分の中でストックが減ってきていることへの危機感。
書き手としての知識不足。
主な話し相手がPちゃんしかいない、穏やかだけど刺激のない生活。
そんな怖さにさいなまれていた私は、これも神のお導き(?)とばかりにさっそく翌日説明会を聞きに行き、ひとまずこの2科目をとることに決めた。
ここにいる間、無理をせずにじっくりと腰を落ち着けて学んでいければいいと思う。


Pちゃんに「大学行くことにしたから」と報告すると、Pちゃんは自分のことのように興奮して喜んでくれた。
「この世に“知識”ほど素晴らしいものはない。学ぶ、という行為は他の何ものにも替えがたいよ」と、うらやましそう。
私が機嫌よく何かに没頭していたら、Pちゃんにやつあたりすることがなくなる(?)のが実は一番の利点だったりして
生活面でいうと、午前中のクラスをとったので朝だらだらしなくなったし、今までよりも時間のメリハリがつくようになった。

アメリカのコミュニティ・カレッジは、日本と違って特別な入試があるわけでもなく、年齢に関係なく誰でも受講するチャンスがある。(履修申し込み前に、授業についていけるだけの英語力があるかどうかを判断するためのリーディングとライティングのテストを受けてクリアしなければならない)
そのかわり、いったん履修すると生半可なことでは単位をとることはできない。
予想はしていたけれど、毎週の山のような宿題がでる。テキストを何十ページも読む、レポートを書く、子どもの観察日記、クラス以外でのプロジェクト&ディスカッション・・・と1週間では追いつかないほどだ。
アメリカの大学生はよく図書館で一心不乱に勉強しているが、理由はここにある。
これが本来の大学生のあり方だと思うと同時に、単位を取ることしか考えていなかった自分のぐうたらな大学生活をつくづく反省した私だった。


自分がお金を払っているから、時間の遅れや休校にもシビアになる。
先週、先生が授業に現れずにソシオロジーのクラスが流れたときは無性に腹が立ち、思わず教授にメールしてしまった。
「今日、何のアナウンスもなしに授業が流れたことに大変失望しています。理由をクラス全員に明確に説明をしてください。理由を理解することも「ソシオロジー」の一環かと思いますので」

嫌味だったかな?いやいや、ここはアメリカだ。これくらいはいいだろう。
(その後もちろん、教授からみんなに謝り(言い訳)のメールがきた。)


今週も課題がいっぱい。
でも、楽しい


ご近所づきあい。

2008-09-07 12:49:07 | アメリカ生活雑感
我が家のすぐお隣に住んでいるのは、熟年夫婦と18~9才くらいの息子の3人家族。
奥さんの名はペギー。
彼女はよく庭の手入れをしていて、顔を合わせるたびに何かとおしゃべりをしてくる、明るい白人のおばちゃん。

2~3日前に、私のうちのドアにペギーから「今度の土曜日の午後1時。うちのパーティーにいらしてね」という招待状がはさまっていた。
招待状といっても、化粧品のパンフレットの表紙に殴り書きされていただけの。

う~ん、これはどういうパーティーなのだろうか?
彼女が家で化粧品の販売をする、という趣旨なのか、それともそれとは関係なしにふたりを招待してくれたものなのか??
どうもよく趣旨がわからないまま、でも手ぶらで行くのも何なのでスモークサーモンの簡単な巻き寿司を作って家のベルを鳴らしてみる。

するとやはり、そこは「化粧品のデモンストレーション&販売会」会場になっていた。
集まったのはペギーのお友達の主婦3人と私、そこに販売員の太ったおばちゃん(ナンシー)。

(げっ・・。よりによって一番興味ない内容やわ・・)
と心の中で思うも、今さら帰るのも失礼だし、まぁこういうのもひとつの社会勉強(話のネタ)だとあきらめて席に着く。

4人のモルモットはさっそくヘアバンドをして、化粧を落とし、一から化粧のやり直し。
言われるがままに乳液をぬり、ファンデーションをはたき、アイメーク、口紅と“完全メーク”をしていく。
「その色素敵よ!」「ゴージャス!」「アメージング」などと、並べ立てるだけの賛美を聞きながら、もくもくと“作業”を続ける私。
なんだか、ちっとも変わっていないんですけど・・。

その化粧品というのは「Mary Kay」というメーカー。
なんでも45年前に一人のアメリカ人女性が始めた会社で、アメリカでも多くの女性に好まれている有名化粧品メーカーのひとつらしい。
でも、私は基本的に化粧品は日本のメーカーのものと決めている。日本人の肌のコンディションを知っているのはやっぱり日本のメーカーであるという結論に達したからだ。
それに、化粧水や乳液や日焼け止めなどの基礎以外のメイキャップは基本的にしない素顔主義だから、この場にもっともふさわしくない人物ということになる。

ひととおり「講習会」が終わった後、やっぱりというか「お友達ご紹介カード」を渡され、販売タ~イムになった。
あまり興味なさそうにしていたお3人さん、そうはいっても何やかやと購入しているではないか!

(やば・・お金すら持ってこなかったよ・・・)

しかしここは、ホストのペギーの顔を立てるしかあるまい。ちょうど乳液もなくなってしばらくほったらかしにしていたところだし、毎日使うものなので買ってみることにしよう。
それに去年の冬は唇が乾燥して切れてひどい目にあったし、ついでにリップも奮発だ。
乳液とリップケアクリームの2点、合計35ドルを購入。
あ~あ。ビールが2ケース買える・・。


今日の収穫は、

1.お隣の家の間取りがわかったこと。
2.とりあえず3人のお友達(?)ができたこと。
3.アメリカ人の主婦の仲間入り(?)体験が出来たこと。
4.今日のお友達のひとりが今度自宅で催す「キャンドルパーティー」という怪しいものに招待されたこと。
5.持っていった“寿司”(←巻いただけ)が妙にウケて、「今度、日本料理の講習会をしましょうよ」と、有料(!)の講師を頼まれたこと。



ねじれと皮肉の大統領選。

2008-09-05 04:35:56 | アメリカ生活雑感
昨日、ハリケーンで延期になっていた共和党全国大会がセントポールで開かれ、民主・共和両党の大統領・副大統領候補が出揃った。

夕べ、テレビはどのチャンネルを回してもこの共和党大会のライブを放映していたので見るともなく見ていた。
いつも思うのは、なんというか、これは「政治」の集会でもなんでもなくただの「エンターテイメント」だということ。
プラカードを抱えた聴衆が、壇上の演説者の一言一言に立ち上がり、歓声をあげ、カメラは頬を高潮させてうっとりしている聴衆を大写しにする。なんだかばかげている。

昨日、もっとも注目を浴びたのは言うまでもなく、女性初の副大統領候補である、サラ・ペイリン・アラスカ州知事(44歳)だった。
高齢を指摘されているマケインが打って出た、まさにサプライズ人事だっだ。
民主党が、彼女に対して中央政治での経験不足を指摘すれば、それはそのままオバマ氏への経験不足批判となって跳ね返ってくる危険性がある。逆に、民主党の副大統領候補であるジョゼフ・バイデン上院議員(65歳)を「古臭い」と批判すれば、マケイン氏に「お前もな!」と帰ってくるのは必至。
ここに関しては両陣営ともうっかり手を出せないにらみ合い状態だ。

そんな中で、盛り上がっているのがベイリン氏の17歳の長女の妊娠発覚スキャンダルだ。
副大統領候補に指名された翌日このニュースが全米をかけめぐり、なかなか面白い論争をあちこちで聞くことが出来た。
個人的には、「プライベートな問題は政治とは何の関係もない」と思うのだが、ことを微妙にしているのが、敬虔なクリスチャン支持層の多い共和党の副大統領候補の、しかもよりによってハイスクールエイジの娘の「不始末」であるということだ。
ある報道によれば、ベイリン氏は学校でのsex education(性教育)を拒絶し、正しい避妊などの教育も娘に受けさせていなかったからだ、と言われている。これがもし本当だとすれば、彼女こそアメリカを蝕んでいる根源ともいえる“ファンダメンタリスト”であり、“バカ親代表”ということになる。

敬虔なクリスチャン保守層に支持されてきた共和党の候補の娘が、「結婚前の性交渉の末、妊娠に至った」という“忌むべき”事実、しかしそれは「正しく受けるべき性教育を(親が宗教的理由で)拒否した結果」であるという皮肉。
これには笑える。

ベイリン氏には5人の子どもがいる。
州知事の前は市長をしていたベイリン氏。公職にありながらよくもまあ、そんな時間があったものだと驚く。しかも、5人目はこの4月に出産しているというから、ひょっとしてこの人、避妊を拒絶しているんじゃないか?と疑いたくもなる。

スピーチのあと、くだんの身重の長女が近々結婚する(とあわてて発表した)予定のボーイフレンド(18歳)と手をつないで壇上に登場したのには、ぞっとした。
保守層の批判をかわすために、ベイリン氏は「家族の一体感」を強調したかったのだろうが、この子たちはこの瞬間母親の政治的おもちゃにされたのだ。
それを見て、割れんばかりの拍手を送るカウボーイハットの聴衆たち・・。どこまでアホなのか・・・。悲しいかな、これが半分のアメリカなのだ。

ベイリン氏の長女の未成年での妊娠について聞かれたオバマ氏が、インタビューでこう切り捨てていた。
「私の母は私を18歳で産んだ。・・・そんなプライベートなことは政治とは何のかかわりもないはず」
すわ、敵を陥れるチャンスと騒ぎ立てる人も多い中で「今、政治家として論争すべき問題かどうか」を冷静に見極め行動できる人格者だ。
軸がしっかりしている人は、何が起ころうと何を聞かれても揺るがない。
これこそが“政治家の一分”だと思う。

共和党大会を見てつくづく、今回民主党が奪回しなければアメリカに未来はないと確信したのは私だけだろうか。


うさん臭い。品なし。