アメリカからいきなり日本のど田舎暮らしに戻ってはや2年弱。
”光陰矢のごとし”、とやら。
今ではすっかり田舎暮らしが板につき、麦藁帽と首にタオルを巻いたスタイルが一番よく似合う。
やっぱり田舎生まれ&田舎育ちの血は争えぬ。
どこで教えてもらったわけでもないのに農具の扱いが妙に上手い自分にほれぼれする。
NHKの「シン・地方の時代 ~パンデミックで変わる四国の未来~」という番組を見た。
現在、東京在住の20代のおよそ3割が地方への移住意識を高めている、というリサーチ結果があるという。
もともと大都会での生活にそれほどこだわりのない若者世代。追い打ちをかけたのがこのコロナパンデミック。
だれかがつぶやいた「フェイクニュース」ひとつで、マスクのみならずトイレットペーパー、食料品までもがスーパーから姿を消すという大パニックを目の当たりにし、もともと土地への愛情の薄い都会暮らしに恐怖感を覚えたのだろう。
さらに、コロナのせいでテレワークを始めたらこれがなかなか快適にできてしまった皮肉な事実にも後押しされ「仕事なんてどこでもできるじゃないか」という確信につながっていったのかも。
愛媛・大三島に移住した世界的建築家・伊東豊雄さん、東京から高知に移住した新鋭映画監督・安藤桃子さん、コミュニティーデザイナー、山崎亮さんへの連続インタビューは、地方に縁もゆかりもなかった人たちの移住実話として、説得性があった。
山崎亮さんが提案する、これからの地方のありかた―「適疎」(過疎ではなく)と「寛容性」が手がかりとなるという説も、まさにそのとおり。
ファンタジーやノスタルジーだけでは、地方移住などできやせぬ。
コロナ感染者を村八分にしてしまう閉塞的風土も根強く残るのが田舎だ。
「田舎の人はみんな温かい」は絶対ウソだし、「自然に囲まれた夢の生活」は、自然の猛威を知らぬ都会人の妄想だ。
それもこれもみんなひっくるめて、どういう覚悟で移住したいのか、その先、子や孫までの世代までを見据えてどう根をはっていきたいのか、も考えねばならぬ。
いや待てよ、そんな面倒くさいことを考え出したらきりがない。
思いたったが吉日、くらいの勢いも大事なのかもしれぬ。
あの日、急にアメリカに行っちゃった自分もそうだったように・・・。結果オーライ、そのおかげで今がある。
地方移住もケ・セラ・セラってなもんか。