Life in America ~JAPAN編

I love Jazz, fine cuisine, good wine

サクラサク

2010-04-30 11:46:54 | アメリカ生活雑感
ここに引っ越してきてはじめての春に苗を植えたミニサクラが、今年もかわいい花を咲かせてくれた。
小さいけれど、ちゃんとサクラ。(正式名称“Purple-leaf Sand Cherry”)





まだ大きさはこれくらい

ちなみにこれが植樹直後(2008年5月)


これからどんどん大きくなるかな。楽しみ。
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気晴らしの週末。

2010-04-27 11:26:52 | アメリカ生活雑感
ここのところ、買い出しとジム以外であまり外に出かけることのない地味~な日々が続いていた。
そんな地味な土曜日、GOROの散歩がてらテリーのうちに立ち寄ったら「ねぇねぇ、今晩近所のスポーツバーに4人で行かない?」とお誘い。
うちから歩いて5分くらいの所にそれは地味なスポーツバーがあるのだが、毎日前は通るものの一度も中に入ったことがなかった。
ここでは毎週土曜日に、“インディアンDJナイト”が開かれているそうで(オーナーがインド人)、テリー夫妻はちょくちょくいっぱいひっかけに来るらしい。

午後9時半、4人で一緒にBarへ。
中ではインド人のDJが“ボリウッド・ミュージック”をガンガンにかけてお客を挑発している・・・が誰も踊っていない。っつーか、女性がいないし。
むさくるしい男ばかりのグループが黙ってテーブルで飲んでいるこれまた地味な風景。

私たちは奥にあるプール(ビリヤード)に場所を移して、ビリヤードをやり始めた。
久々にやるビリヤード。からきしダメだったが、ビルの手ほどきでなんとかコツをつかんでからは好調好調!
なんでもビル、Navy(軍隊)時代にいやというほどビリヤードで遊んだらしく、その腕はまさにプロ級。
ボリウッドナイトよりもむしろ、ビリヤードで盛り上がり、帰宅は12時すぎ。
でもここ、大きなスクリーンが店内にいっぱいあって、ワールドカップサッカーのときには使えそうだ。

★ ★

翌日曜日。
夜、なんとなく音楽が聞きたいモードに入っていた私たちは、急遽Jazzクラブに繰り出すことにした。
といってもシカゴまで出ばっていく気分でもなかったので、シカゴ“手前”、Berwynにある老舗のナイトクラブ「Fitzgerald's」へ。
ここはず~っと行ってみたかったのにいまだに行けていないクラブのひとつ。
毎週日曜日は、6時から9時半まで「ビッグバンド・ナイト・パーティー」が催されているらしい。
ビッグバンドの大好きなPちゃんにはオススメだ。

店のドアを開けると、本日のバンド「John Bernnett Orchestra」がすでに演奏中。
ドアがステージ側にあるので、入り口から観客を一望できる。


「うわっ、年齢層高!」
しかも客層は圧倒的に地元の人っぽい。
中にレストランがないので、食事は隣接するレストランで発注して中にデリバリーしてもらうシステム。とっても
カジュアル。


ステージ横ではスゥィングを狂ったように踊るグループもいた。

 
今夜のヴォーカリストはこのお人。
小さな体から搾り出すようなしゃがれたブルージィーな声が心地よかった。
エラ、ナンシー・ウィルソン、ナタリー・コールなどのいろんなJazzバージョンを聞かせてくれた。


午後8時半の休憩でどっと人が減り、9時半で演奏終了というとっても引きのいい「老人向け」なこのクラブ(日曜日のみ)。
古きアメリカの田舎のナイトクラブの雰囲気を漂わせていて何とも居心地がいい。
Pちゃんの両親を是非連れて行ってあげよう。
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切符切られた!しょぼ~ん・・・

2010-04-22 02:56:01 | アメリカ生活雑感
City Of Napervilleから、「赤信号無視」の警告文書が証拠写真と共に送られてきた。
日付を見ると2週間前の土曜日の午後3時10分。
この日は午後からピアノレッスンだったので間違いなく私だ。
レッスンのあとスーパーマーケットに寄っていたら、Pちゃんから「ラボでトラブルが発生したので車がいるから早く帰ってきて」と電話がきて急いで帰っていたところだった。

念のためにウェブサイトでビデオを見てみると、間違いなく私と思われるプリウスが黄色信号で突っ込んでいる。
しかも運悪く、その黄色が途中でばっちり赤に変わっていた。
あ~、やっちまったよ。
でもこの交差点、いったん赤になると長いんだよなぁ。。。


払った罰金は100ドル。
100ドルあれば冷蔵庫がいっぱいになるくらい食料が買える。
いつも飲んでいるワインが1ダース買える。
これから買おうとしている花の苗がいっぱい買える。
GOROのごはんが3か月分は買える。
ねちねち考えていたら、落ち込んできた。

Pちゃんはこういうつまらないことにおめおめとただ金を払うことが大嫌い。(私もだけど)
「ちょっと急いだくらいで100ドルなんてばかばかしい。これ(警告書)もう見たくないからよろしく」
といって私にパス。

・・・そういうわけで懺悔もかねて今回は私の財布から支払いました。

「気をつけよう!急いでいるときの Rt59」
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カルチャーイベントで「さとうきび畑」を

2010-04-18 09:37:05 | アメリカ生活雑感
1ヶ月ほど前のこと。
日本人主婦仲間のMさんからあるお願いごとメールが舞い込んだ。
「バイト先の大学のカルチャーイベントで日本の歌や踊りを紹介してほしいと頼まれて困っています。断わろうとも思っているのですがその前にしょうこさんに聞いてからと思っているところです。もしかして興味があってお願いできるようであれば、とてもうれしいです。」

Mさんは週に3日、郊外のある大学で日本語の講師として働いている。
今回のカルチャーイベントは、アジアの国々のことを他の学生にもっと知ってもらおうと学生たちが企画して時々開催しているものだという。
今までは何度か断ってきたMさん、あまり断ってばかりだと気が引けるので今回は返事を保留にして私に打診してきてくれた、というわけ。
主催者からの依頼メールを読む限り、そんなに大層なことは望んでないみたいだし、この手の“日本カルチャー紹介”は今までアダルトスクールでさんざんやってきたので「面白そうだからやります」とふたつ返事でOK。

ふたりで話し合った結果、Mさんが俳句と詩の朗読を、私が何か日本の歌を歌う、ということで決定。
ちなみにどれくらいの時間が与えられてるのかと聞いてみると、な、な、なあんと3~5分。
これって、どーよ!?どう考えても本気とは思えない時間
あれこれ説明をしている時間はないので、それぞれ、俳句と金子みすずの詩と歌の歌詞(それぞれ英訳つき)を一緒にコピーして当日配ることにした。

★ ★

そして先週木曜日(4月15日)、いよいよそのイベントの日。
Mさんと、本日俳句の英朗読アシスタントを務めてくれることになったMさんの長女のMサちゃん(13歳)、撮影担当・長男のKくん(12歳)と共にいざ大学へ!!


スタンフォードを思い出させる、緑に囲まれた美しい大学構内。


今日の会場となるStudent Centerに足を踏み入れると、なにやら怪し気な薄暗い照明のもとでダンスミュージックが鳴っている。
え?ほんまにここでやんの? 
こんなムードの中で「古池や~」と俳句が詠まれる場面を想像して思わず噴き出す私たち。


午後7時すぎ。コーラスグループによるゴスペルソングでイベントが始まった。
そしてそれに続く黒人の女の子たちの奇妙な踊り。
はっきりいってこのイベント、想像していたアカデミックなものとは程遠いレベルのもの。
基本的に学生が自分の出身国の紹介をする趣向だったんだろうが、あまりに参加国が少なくてしょぼいものだからあわてて皆で手分けして他国の紹介もしてしまおう、という意図がみえみえ。
その紹介とやらも、観光ページから丸写ししスライドをバックにWikipediaの最初の部分をそのまま読んでいるだけ、っつうかんじ。これなら小学生でも出来る。
だから3~5分と言ったのか!
当初100人ほど集まると聞いていた参加者も、せいぜい数えて3~40人。それも、これに参加したら大学が単位をくれるから(ゆるっ!)まぁ仕方なく参加しているような人たちがほとんど。
このお軽~い雰囲気の中で、私たちはいったいどうなっていくんだろう・・・



開始5分前でまだこんな状態。


★ ★

などと考える暇もなく、Japanの順番がやってきた。
まず一番にお願いしたのが、「照明つけてくれへんかな?」
真っ暗で何も読めへん。

まず、Mさんが「俳句」の説明をし一茶や芭蕉の句を読み上げたあと、Mサちゃんが流暢な英語でさらさらと英訳を読みあげる。
う~ん、やっとカルチャーイベントらしくなってきたぞ。
それに続いて、私が『さとうきび畑』を歌う。
いつもどこかで戦争をやっているアメリカでこそ、この歌を歌う価値があるというもの。これからARMYに入隊する人も多い大学生に、今聞いてもらいたい歌だ。
あらかじめ配っておいた歌詞の説明をちょこっとしたあと、何番かを選んで歌った。
はっきり言って観客の反応はまったくつかめなかった・・・。




私たちの後は、また何カ国かのゆる~い紹介が続き、インドやバングラディシュの詩が読み上げられ、そして締めにまたへんてこなダンスチームがでてきてプログラムは終了。チャンチャン。


インドの詩の朗読中

★ ★

アメリカの学校は、こういった生徒主導によるプレゼンテーションの機会がとても多い。
中学1年生のMサちゃんも、「今までいっぱい(プレゼン)やったから人前でしゃべることは慣れていて全然平気~!」という。
小さいときからみんなの前でしゃべる、発表することが多いから、アメリカの子どもたちは人前で動じないんだろうな。
それどころか、たいしたことない内容でも自信満々にプレゼンしてしまう妙な度胸まで身についている。
果たしてこれは学ぶべきことか!?


今日はなかなかけったいな経験ができた。
Mさん、誘ってくれてありがとう!!
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マリアの誕生日。

2010-04-15 05:32:44 | アメリカ生活雑感
ここのところ、すっかり春の陽気が続いている。
いやいや、4月のメジャー開幕戦が雪で延期になるようなシカゴのことだ、まだまだ油断は禁物。
とはいってもこんなにあったかい日が続くと、もうさすがに後戻りはないような気もしてきた。

Pちゃんは暖かくなったら始めようと思っていた庭(front & back)の大改造計画がやりたくてうずうずしている。
そんな矢先、改造計画を申請していたコミュニティーのメンバーが下見にやってきた。
うちのコミュニティーはいろいろ規則が厳しく、外装を何かひとつでも変えるようなことがあれば事前に詳細計画を申請しなければならない。
外装の塗装、ドアや窓の形状、庭の形からレンガの色まで、えらい細かい。というのも、勝手に改造されてせっかくの街並みが壊されるのを防ぐため。
で、申請していた計画が無事にOKとなりPちゃんもいよいよ庭仕事に取りかかり始めた。
一旦やり始めるともうどうにも止まらない人のこと、まぁ体を動かすhobbyができてよかったよかった。

★ ★

気候がよくなってくるとまた、お誘いも多くなってくる。
先週の土曜日は、スペイン語会話クラスでいつもお世話になっているメキシカン夫婦、マリア&マリオ夫妻から「うちでお茶でも飲みながらみんなで会話を楽しみましょう」というPartyのお誘い。
いつものクラスを離れて、みんなで自由に英語⇔スペイン語の会話を楽しもうという趣向。

マリアのお宅はうちから車で5分くらいのご近所。案内いただいた5時半に行ってみると、来ていたのはまだ私一人だった。
20分ぐらいして次女夫妻と姪たちがやってきてとたんににぎやかに。
「フェリス コンプレアニョス!」とか言っている。
え?今日はマリアの誕生日だったの???
まったく知らなかった私は完全に手ぶらで行ってしまい、なんとばつの悪いこと。。。
マリアは「そんなことどうでもいいのよ~。ただ来てくれるだけて」と言ってくれたものの・・(汗)。

マリア夫妻には3人の娘さんとひとりの息子さんがいる。
長女は結婚して、今はシカゴで弁護士をやっている。次女も結婚してこちらもシカゴのメディカルスクールに通っている。3女は歯科衛生士の勉強中。そして長男はArtの学校に通っているそうだ。
典型的な移民家族の成功例だ。
アメリカにやってきて、一生懸命働いて子どもたちに十分な教育を受けさせ、それが今着実に実を結ぼうとしている。
「Tenemos nuestro tiempo hoy.(今はふたりだけの時間なのよ)」とマリア。
メキシコ人は20代前半で子どもを産む人が多いので、みんな若くして子どもが大きいのに驚いてしまう。
マリアのようにこの年で悠々自適生活に入れるかどうかは、やはりどれだけ若いときにがんばったか、ということなのだろう。
謙虚で気持ちがやさしく、気配り上手なこのふたりと話をしていると、とても心が和む。

★ ★

6時半になって、いつもクラスで顔を合わせているメンバーが続々とやってきた。
みんな40歳以上。年齢も職業もばらばら。
主婦もいれば大学教授もいる、バラエティ豊かな面々。
さっきまでがらんとしていた部屋の中が、みるみるゲストでいっぱいになり、巨大なお誕生日ケーキにナイフを入れるマリアはきらきら輝いていた。
こんなに近所なんだったら、これからもちょくちょく遊びに行こうかな。



Happy Birthday!









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『The Cove』

2010-04-07 13:15:22 | movie


英題: THE COVE /製作年: 2009年/ 製作国: アメリカ /日本公開: 2010年初夏 /上映時間: 1時間31分 /配給: アンプラグド


概要:クジラの街、和歌山県・太地町の入り江(コーヴ)でひそかに行われているイルカ漁をとらえた衝撃のドキュメンタリー。
美しい海岸線が広がる和歌山県太地町にある小さな入り江では、毎年9月になると町を挙げて立入禁止にするほどの厳戒態勢の中、ひそかにイルカ漁が行われていた。
そのイルカ漁の実態を、1960年代の人気ドラマ「わんぱくフリッパー」の調教師で、現在はイルカの保護活動家であるリック・オバリー率いる特殊撮影チーム(水面下のサウンドとカメラのエキスパート、特殊効果アーティスト、海洋探検家、アドレナリンジャンキーそして世界レベルのフリーダイバーから構成)が白日の下にさらす。
血で真っ赤に染まる海と、叫び声を上げ逃げ惑う大量のイルカたち。また、水銀汚染されたイルカ肉を学校給食にと売り出す太地町や、イルカ肉を鯨肉と偽装して販売する業者など、さまざまな知られざる問題も明らかになる。


★ ★

私がはじめてTAIJI(太地)の名前を聞いたのは、去年の夏のこと。
車のラジオから流れてきたあるインタビューで、TAIJIは日本のある町の名前で、そこでは毎年見るも恐ろしいイルカ漁が行われている、ということを知ったのだった。
情報が一方的すぎて気分が悪くなった“当事国”の私は、聞き覚えのない“TAIJI”という名前をメモるとすぐラジオを切ってしまった。
今から思えばあれは、この映画の上映に先立ってプロモーションをかねた監督またはリック・オバリーへのスペシャルインタビューだったのだろう。

そのとき気分が悪くなった理由のひとつは、「またか」という気持ち。
“魚をリスペクトしない欧米諸国VS日本”という構図の中での出口のない議論は、鯨問題でもう飽き飽きしている。
かわいそうだから殺してはいけない、食べてはいけない、殺し方が残酷、というなら「じゃぁ、牛や豚を惨殺しているお前らはどうなんだ」という水掛け論になる。


しかし、この映画は今年のアカデミー賞の“べスト・ドキュメンタリー賞”を受賞。世の注目は一気に集まることになる。
アカデミーはいわゆる内部告発モノがお好き。おまけにこれは欧米人に圧倒的に受けるテーマだ。
だからこそ、日本人としては議論するためにも絶対に見ておかなければならない。
図書館にDVDが入荷したのですぐに借りてきてじっくり見た。



感想をひと言で言えば、
「食の安全にテーマをすりかえた余計なお節介映画」。
別の言い方をすれば、これはれっきとした「映像のテロ」でもある。
立ち入りを禁止されているところに許可なく立ち入って、人を食ったような白を切り無理やり映像化して世界に発表したという抜き打ち手法は、やられた当事国の人間としてやはり気持ちいいものではない。
しかし、人はダメだと言われると余計に覗いてみたくなるのも事実だ。
その“禁断の場所”に、ハリウッドの特殊映像プロフェッショナルたちが偽岩に埋め込んだ高解像度ビデオカメラを崖の上に仕込み、鯨の形をした飛行船を浮かべて遠隔操作で上空から漁を撮影し、世界的フリーダイバーが夜中に入り江に忍び込んで海底に水中カメラを仕掛ける。
さながらノンフィクションのスパイ映画を見ているようで、もしも私が何の関係もない国の人間だったら心の中で最高のスリルを味わっていたに違いない。
現に、Pちゃんは「この映画はグッド・エンターテイメントだ」と表現していたのだから。

執念のかいあって、映画の中では生々しいイシーンをこれでもかと見せ付けることに成功している。
普通の人間じゃかわいそうでとても正視できない。
しかし、である。この“かわいそう”という感情こそが曲者。
あとで冷静になって考えてみると、製作者の意図にまんまとはまった自分に愕然とする。

<構成>
~前半のすりこみ~ イルカは“知能的でかわいい”生き物である。

・イルカは人間とコミュニケーションできる高い知能を持っている。
イルカに「命を助けられた」サーファーや世界的なダイバーたちの証言を美しい水中映像を交えながら紹介。
・自分(オマリー)の懺悔。
イルカ調教師としてイルカを見世物にしてしまったことを後悔している、と切実に語る。自分のかわいがっていたイルカはストレスのために自ら息継ぎを拒み自殺」したという衝撃の証言。

~後半のすりこみ~ 太地でのイルカ漁は絶対に許せない!

・太地ではそのイルカの殺戮が行われているばかりか、鯨肉と偽って販売されている。
・イルカ肉にはWHO規定の20倍もの水銀が含まれていて人体にとってきわめて危険と知りながら、売りさばいている。ほとんどの日本人はこれを知らない。
・だいたい日本政府はいまだ捕鯨をやめない。票を金で買ってまで続けている醜いやつらだ。
そしてクライマックスで、イルカの血の海で真っ赤に染まる入り江の映像が流れる。


自分たちの理論を一方的に映画を作って告発した者勝ちなのなら、アメリカでBSEに感染した牛を検査せずに売りさばく業者たちのドキュメンタリーを、アメリカ以外の国が作って発表すればいい。
しかしそんな“告発ごっこ”は亀裂を生むだけで何の解決にもならない。
国によって食に関する考え方が、あまりにも違いすぎるからだ。

昔、テレビドキュメンタリーで、ある日本の小学校のクラスと彼らが育てていた子豚との物語を見たことがある。
当番を決めてえさをやり、体を洗い、散歩に連れて行くなど嬉々として世話をする子どもたち。
しかしこの子豚がやがて成長し、クラス全員で豚のこれからについて真剣に話し合わなければならなくなる時がやってくる。
いろいろな選択肢を何度も話し合った末、最終的には食肉業者に引き渡すというつらい選択をし、担任の先生もクラスもみんなで号泣しながら見送る。
そしてみんなで「食べる」ということの意味をじっくりと考えるという内容だった。
これこそ真のドキュメンタリーではないだろうか?
生きることは、他の生を感謝していただくということだ。
人間に近い知能を持っているから、かわいいから殺しちゃだめ、というのは、そもそも食や生に対するリスペクトがない人間が言う言葉だ。
(もちろん、イルカを食べる必要があるかはどうかは疑問だが)

★ ★

しかしそれとは別に、どうしても拭い去れないこのイライラ、もやもや感。
そのひとつは、イルカ漁の是非云々よりも、日本人はWHOで規定されているレベルの20倍もの水銀に汚染されたイルカを「勝浦産生クジラ」と偽って買わされ食べている、さらにそれを国が隠蔽しているという事実を正面から見せられたことだ。
食の安全、国民の健康にかかわることを、なぜ国(自治体)は隠していたのか?そこまでして隠すのはいったい何のためなのか?
それがどうしても理解できないのだ。

映画の中で、1950年代に大きな社会問題となった水俣病訴訟が例に出される。
産業汚染廃棄物を秘密裏に海に垂れ流しにしていたチッソと、それを知りながら病気との関連性を隠し続けていた日本政府の生み出した悲劇。
「これは水俣“病”という病ではないのです。毒をも盛られた結果起こったことなのです。日本はまた同じ過ちを犯そうとしている」

イルカの肉には許容量をはるかに上回る水銀が含まれていること、イルカの肉は鯨肉として売られていること、これは科学的evidenceのある事実である。
もしこれが日本をバッシングするための作り話であるなら、日本政府はうそである科学的証拠を堂々と示して反論すべきだ。
そうしてこそ初めて同じ土俵に立って議論ができるというものだ。

第2のもやもや。
「どうしてこの告発を、日本(のメディア)ではなく外国人、しかも食の安全などどうでもいいようなアメリカ人なんぞにされなければならなかったのか?」
日本人が作った映画なら、きっとこんな惨めな気持ちにはならなかっただろう。
映画の中で、ふたりの太地町議会議員が名前と顔を出してイルカの水銀汚染値を告発していたのがせめてもの救いだったが、彼らはきっとただではすまないだろうという心配のほうが先に立つ。

出る杭は打たれる。長いものには巻かれよ。知らぬが仏。
日本人はいつから、間違っているものに堂々と意義を唱え一人でも立ち向かう勇気を失ってしまったのだろうか。
食肉偽装を暴いた内部告発者に「今はただむなしい。こうなるとわかっていたらやらなかった」と言わしめる、この国全体を包む陰湿なムードは何なのか?
アメリカもたいがい腐っているが、ここには少なくともマイケル・ムーアがいて彼の映画を文字通り命がけで上映しようとする映画館が存在する。
日本でマイケル・ムーアのような人間はたぶん“変人”扱いだろう。

『南京』を上映中止に追いやり、『The Cove』も上映が見送りされるような日本は、まるでGoogleの検索から天安門事件を抹殺している中国政府となんら変わりない。
日本人は知らないが世界はみんな知っている、そんなことがこれからどんどん増えてくるようで、そのほうがイルカ漁の是非うんぬんよりももっと恐ろしい。


言いたいことはいろいろあるが、今はただこの映画を作ってくれてありがとう、といいたい。
「他国の食文化に口を出すな」という考えは変わらないが、少なくとも日本の和歌山の太地というところで毎年2万3000頭のイルカ漁が行われていて、それが鯨肉として売られているという事実は知ることができた。
日本では今年初夏に全国公開されるという。(予定)
日本人なら、必ず見てほしい映画だ。そして意見を持たなければならぬ。

★ ★

先日のニュースで、西オーストラリアのブルーン(Broome)市がこの映画の公開後、イルカ漁に抗議して太地町との姉妹都市提携の停止を決めた、と伝えていた。
ブルーンはもともと太地町から多くの漁師が移民して栄えた町。その日本人入植者たちの墓地が、反日感情から荒らされているという。
こういうHate Crimeを聞くと本当に情けなくて悲しくなる。

これからハワイやオーストラリアに出かけて、のんきにイルカツアーに参加しようと考えている若者はくれぐれも注意したほうがいい。
必ずこう聞かれるだろう。
「君はTaijiを知っているのか?『The Cove』を見たのか?」と
「知らなぁ~い」じゃすまされない。


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太地のイルカ漁描く映画「THE COVE」日本公開を期待
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念願のミュージカルへ~『Billy Elliot』

2010-04-05 13:22:36 | music/festival
シカゴに来て、いや、アメリカに来て以来ず~っと抱いていた夢がやっとかなった。
それは、ミュージカル。
今まで何度も見に行こう、行きたいと思いながらなかなか実現できなかった。
その理由は、1)Pちゃんがミュージカルにほとんど興味なく“連れ”がいない、2)チケットが結構お高い、こと。
映画やコンサートはひとりでもOKだが、なぜかミュージカルとなると誰かと感動を分かち合いたいものだ。
そんなわけですっかり行くきっかけを失くしていたのだが、今年の誕生日にPちゃんがなんとミュージカルをプレゼントしてくれるという。
喜び勇んでリクエストしたのがこれ。
『Billy Elliot』


実は、私もPちゃんも映画『Billy Elliot』の大ファン。特にPちゃんは何度も見たというほどのお気に入り。
ストーリーを知っていれば、セリフや劇中歌が完璧に理解できなくても舞台を楽しむことが出来るし、映画と舞台の違いを味わうことも出来る。
Pちゃんもこのミュージカルなら是非見てみたい、というので即決定!
かくして4月4日、世の中はイースター(キリスト生誕祭)サンデー。今年初めて(!)のシカゴへいざ出発だ。

今日のシカゴは気持ちよく晴れわたり、ジャケットなしで歩けるほどの暖かさ。劇場「Ford Center Theater」は、いわゆるシカゴのシアター・ディストリクト(劇場密集区域)の中にある。
劇場前にはちょっとおしゃれをした人たちが開演前のひと時を楽しんでいる。私はこの時間が大好きだ。

 


一歩中に入れば荘厳なバルコニーが出迎えてくれる


座席から見たステージはこんな感じ。(1階席右後方)



★★  あらすじ ★★
舞台は1984年、イングランド北部の小さな炭鉱の町ダーラム。ビリーは炭鉱労働者の父と兄、そして少し呆けた祖母の4人暮らし。音楽を愛した母親は、ビリーの幼い頃亡くなっている。
時代は、炭鉱不況の真っ只中。保守党のマーガレット・サッチャー首相は生産性の低い炭鉱の閉鎖に踏み切る政策を決断、炭鉱夫たちはストライキに突入し警官との激しい衝突を繰り返す。
ビリーの父と兄もストライキに参加しているため一家に収入はなく、生活は極貧。ボクシングファンの父は、ビリーをチャンピオンボクサーに育てることを夢見て乏しい家計からビリーにボクシングを習わせている。が、ビリーはボクシングをどうしても好きになれない。
そんなある日、ビリーはボクシングの練習リングの隣で行われているバレエ教室に目を奪われ、その魅力に惹かれていく。そして、いつしか少女たちの間に一人まじってバレエレッスンを受け始める。父親にばれ「女々しい」とこっぴどくしかられるビリー。それでも彼は踊ることをあきらめ切れなかった。
一方、レッスンを受けさせるうちビリーの類まれな才能に気づいたウィルキンソン先生は、彼にロンドンの名門ロイヤルバレエスクールの入学オーディションを受けるように勧めるのだが・・・。


“Lee Hallの原作と歌詞による本作は、ロンドン公演の演出家、Stephen Daldryが演出。ダンスの振り付けはPeter Darling、舞台デザインにIan MacNeil、衣裳デザインNicky Gillibrand、照明Rich fisher、そして作曲はエルトン・ジョンという飛びぬけて優れたクリエイティブ・チームが集結した。
舞台デザインのスケールの大きさに始まり、キャストの個性や場面を生かす衣裳デザイン、明暗のコントラストを舞台いっぱいに活用した照明、そして歌とダンスとバレエでストーリーに豊かな色を付ける音楽と振り付け、すべてに隙がなく完璧なまでに統一されている。”(25Today.comより)


2時から、途中15分の休憩を挟んでたっぷり3時間の舞台。
笑いあり、涙あり。炭鉱夫としてしか生きるすべを知らない父や兄、ちょっとボケ気味だがやさしい祖母、ビリーの才能を見出すウィルキンソン先生・・・さまざまな人々の立場や感情が当時の社会状況とあいまって生き生きと描かれ、胸に迫ってくる。

今回主役のビリーを演じたのは、若干13歳のメキシコ出身のCesar Corrales君。
3時間のほとんど出ずっぱりで、クラシカルバレエからJazz、Hip Hopにタップダンスとありとあらゆるダンスをたっぷりと見せてくれる。
このたったひとりの13歳の少年に、超満員の観客の視線が吸い込まれていく、この存在感はいったい何!?
ダンスがしたい、踊りたい、という一途なビリー少年の気持ちが体いっぱいから発散され、そのほとばしるエネルギーを受け止めたとき別に泣くシーンでもないのになんだか涙が出てきた。
あまりに美しいものを見て、心がすっかり浄化された気がする。


★ ★

この『Billy Elliot』、ロンドン、NY、シカゴでしか見られない。ブロードウエーではもっともチケット入手が困難な演目だとか。
シカゴ近郊にお住まいの方、またはシカゴに来られる予定のある方、是非オススメです。


<おまけ>

なぜか「サタデ・ナイトフィーバー」のPちゃんに、周りの人たちも苦笑い.
"IRRESISTIBLE"(抑えきれないほど魅惑的)の看板も笑える。
Thank you for the wonderful birthday present. This is the best musical I've ever seen in my life!



全編に流れる音楽はエルトン・ジョン色100%。


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「ずっこけ3人組」がやってくる!

2010-04-03 07:18:51 | アメリカ生活雑感
5月の終わりから6月の初めにかけての2週間、Pちゃんの両親がシカゴにやって来ることになった。
例によってふたりの友人でもあるマヌエル神父も一緒だ。
この人たちはいつも3人一組。どの一人が欠けてもしっくりこないという、絶妙かつ奇妙なバランスを保っている不思議な関係で、なんと数年前から同じ屋根の下で暮らしている。
スペイン人のマヌエルは長年、教会の神父としてPちゃんの育ったドイツ田舎町(アーハン)のスペインコミュニティーを束ねている。そこでPちゃんママが働きはじめてから家族ぐるみの付き合いが始まったそうだ。
で、なにかとケンカの絶えなかった(Pちゃん談)ドイツ人のPちゃんパパとの夫婦仲をうまくとりまとめつつ、いつしか兄弟、親戚のようになっちゃったといういきさつだ。(もっともマヌエルが妻帯できない身分であることも影響している)
Pちゃんも、子どものころから3人に囲まれて育っているので3人一組であることになんら違和感を感じないらしい。世の中にはいろんな家族の形態があるものだ
私はこの3人を密かに「ずっこけ3人組」と呼んでいる。

★ ★

そもそも3人がやって来るという知らせを受けたのは、1月のこと。行動の早いPママは、すぐさまチケットの安いうちにととっとと手配を済ませてしまった。さすがだ。
それからというもの、まだ数ヶ月もあるというのにまるで来週にでもやってくるかのような騒ぎ。
ペドロに毎日のようにスカイプしてきては、「何か持ってきてほしいものはな~い?」と聞いてくる。それ幸いと、Pちゃんもドイツでしか買えない愛用のハンドクリームやらなにやらを発注しはじめた。

次にママは「SHOKOにバッグを買っていこうと思ってるんだけど、どんなのがいい?」と自分の持っているバッグをカメラの向こうでとっかえひっかえ見せては色やら大きさやらをヒアリングしてきた。
そして翌日には頼んだすべての買い物を終了して、今度は買ってきたものをスカイプごしにひとつひとつ見せてくれるという行動の早さ。
もうすべて用意万端、明日にでもどうぞという感じだ。

一方のPちゃん。普段はママのことなどへとも思っていないようなことを言っておきながら、やはりいざ来るとなるとあたふたし始めた。
もともと完璧主義なこのお人、すべてがスムーズに運ばないと気がすまない。そこにきて子どものころから“恐母家”。早くも手配やなにやらでテンション上昇気味だ。

美術館にシカゴ建築ボートツアー、ハンコックタワー、シカゴシンフォニーにJazzクラブ、ラビニアフェスティバルにも連れて行ってあげなきゃ、シカゴカブスも忘れずに、云々・・・・私も一緒にシカゴツアーのリストアップを開始する。
「おいおい、まだ2ヶ月もありまっせ」と心の中で突っ込む私。

5月から6月にかけての時期は、シカゴがもっとも美しい時期。
暑くも寒くもなく、ミレニアムパークには一面に花が咲き乱れ、野外ではコンサートが始まる季節だ。
私も久々に(2006年のスペイン以来)3人に会えるのが今からとても楽しみ。
Pちゃんは平日仕事で付き合えないので、私は毎日でもゆっくりお供させてもらおう。
だってこの3人、楽しいんだもん。

問題は言葉だ。誰も英語をしゃべれない(マヌエルはほんの片言)。
よりいっそうスペイン語のモチベーションがあがりそうだ

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