Life in America ~JAPAN編

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自分が一番偉い病

2019-02-28 02:20:29 | ニッポン生活編

日本滞在生活が間もなく半年を迎えようとしている。
各方面にいろんな友人知人ができて、もちろん言葉の壁もないしそれなりに“良識”ある人たちの中での暮らしなのでほっとする。
反面、つくづく日本人って面倒くさいなァと感じさせる人もいたりして、その差に面喰う。
特に70歳以上の男性。

多分このあたりの人たちに共通するのは、「自分が一番偉い病」だろう。
自分はいつも正しい、周りはすべからく自分をリスペクトすべき、と思っていて、皆に膝まづかせないと気に食わないタイプ。
こういうの、特に政治家に多いから日本の政治が腐りきっているのも納得。

でもいたんです、こういうじいさんが。それもすぐ隣家に。。。


来るべき大地震なども見据えて、ついに我が家の工事もろもろに着手をすることになった。
ご近所に「工事中はご迷惑をおかけします」と工務店さんとごあいさつに回った。みなさんとても親切で、かれこれ50年近く顔を合わせたことのない人から、「うちの息子が、小さいころはよう遊んでもろうた言うとったんよ」と古き良き時代の昔話を交えつつ温かく声をかけてうただいたりして、やっぱり昔ながらの近所づきあいってのも悪くないなぁ、と思っていた。

しかしそんななかでただ1軒、どうしようもないいじわるじいさんがいた。
昔から近所では「変わり者」と言われて敬遠されているこの隣のじいさん、土地の境界をめぐって我が家も昔から何かと因縁をつけられて相当な確執があったことは知っていた。
あちらさんの一方的な恨みなのだけれど、その根っこは「農地改革」にまでさかのぼるから相当深くねちっこい。そんな過去の話をよもや引きずってはいないだろうと思っていたが、その恨みの火の粉が私に降ってかかってきた。

「工事中ご迷惑おかけします」とあいさつにうかがった私の顔を見るなりじいさん、

「あんた、頭が高いわ。だいたいあんたんとこがうちに何してきたか聞いてから出直してこい」と怒鳴りつけたんである。

はぁああああああ??

ず・が・た・か・い? あんたは殿様か?


びっくりして目がテン。そういやその昔、となりの(先代の)じいさんがある日突然前面道路に我が家の車が通れないように杭を打ったことがあって裁判で解決した、というような話は聞いたことがある。
その道は両家にとっては生活上不可欠だったから、私有地を出し合って公道と合わせて整備したいきさつがある。うちにも立派な「通行権」があるわけだ。それを「あんたがきらいやから通るな」はまるでキム・ジョンウンなみのアホさ加減だっせ。

そういや、今までも我が家が家を直したりマイナーチェンジするびにこういう嫌がらせをしてきたじいさん。
一昨年、うちが隣地を駐車場にする工事をした時も、なにかいちゃもんをつけたろうととなりの畑から毎日ずーっと見張っていたっけ(怖っ!!)

で、今回は「この道を通るな」ときた。
この道を使わないと工事の車が通れないんです、というと、「そんなもん知るかいな。あんさん隣に駐車場あるやろ?」

だめだ、ほんまもんのキムくんだ。話むちゃくちゃやん。
というわけで急きょ隣の駐車場の一部を解体して砂利道を作り、半日で通路を確保。工務店さんのGood Jobで何の問題もなくさっさと工事にとりかかることができてみんなハッピー。

自分の前にひざまづいて許しを請うだろうという期待がはずれたのか、今度はたまたまいきさつを知らずに道を通行した工事の車が自分ちの庭木の小枝をひっかけたと因縁つけてきた。
その一部始終をみていたPちゃんいはく、「枝じゃなくて葉っぱが2~3枚落ちただけだったよ」と教えてくれたのだが、じいさんの怒りはおさまらず、工事の責任者を呼びつけ「どうしてくれるんや!」と恫喝。謝りたおしている人に向かってどうしてくれるんや、はまるでヤクザ。

そして翌日。
今度はうちの出したゴミが自分の領地にはみ出していたと難癖をつけてきた(らしい。)
ちょうどその時近くにいたごみ出し担当のPちゃんが「すみません」といってごみをこちら側に運んでいると、その背中をじいさんがどつくようにして「これもや」といって別のごみを放り投げた。そのゴミが道に散乱したのをみて今度はPちゃんがキレた。
(どひゃぁ~、じいさん、地雷踏みよった。

「なにすんねんじじい、ええ加減にせえよ!」(と言ったかどうかは知らないが)と両者バシバシにらみ合いのあと、Pちゃんが
「F**K Off! (失せろ)」と一喝。
じいさん、「No!」と意味不明かつ唯一知っている英語をシャウトしてそそくさとその場を立ち去ったという。
(わー。いなくてよかった 

それが相当腹に据えかねたらしく、それ以降、じいさんは誰かが道に入ってこようとするとすべて阻止し始めた。
買い物から帰った私の車も仁王立ちして通せんぼ。(はいはい、よござんすよ。裏からまわらしてもらいまっさ~)
でも許せないのは、うちに来てもらっている介護ヘルパーさんの車までもが通せんぼされたことだった。
じいさん、あんさんもすぐに介護のお世話になるんやから、こういう非人道的なことやはやったらあかんやろ?しかも一日中、誰もが入って来れないように道に仁王立ちしているっていうのもどんなけ暇やねん!そんな暇あったらもっと世間に役に立つことせえや、と内内でもりあがる。
介護ヘルパーさんも、「あの方、きっと精神的に問題があるんですね。一度案内(介護の)出してみましょうか」とちょっとブラックなジョーク。

翌日。
気が収まらぬのか、今度は朝から工事を担当している工務店の社長が呼びつけられ説教。
で1時間後、今度は「おとつい車を運転していた運転手連れてこい!」といって二人を相手にまた説教。
最後のほうは和やかに自分の話をまくしたてていたそうだ。
やっぱり、このじいさん、みんなにそっぽ向かれてさびしかったんだわ。奥さんもなんだかかわった人だし。(←家の前に子猫が血を流して死んでいるのに横を買い物かご下げて平気で通るような人・・・)

それ以降、私の車も介護ヘルパーさんの車も、もちろん工務店さんの軽さえも通行していない。
文句は言えるけど、そんなことに大切な時間とエネルギーをかけるのが無駄。
もしこのまま嫌がらせをエスカレートしてくるようならその時は法の力に頼るまでだけれど、いまやって逆恨みされてもいやなので工事が終わるまではそっとしておこう。君子危うきに近寄らず。

でもこの一件で、日本のムラ社会の一端を見た気がした。
何も悪いことをしていないのに、昔の確執を持ち出されてまさかのいやがらせとは!
アメリカは銃社会だからこういうときに撃たれたりするんだろうけど、そういう意味では日本でよかった。(笑)

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