先週、夢のような出来事があった。
大好きなハーモニカプレイヤー、Sugar Bluesが毎週水曜日にシカゴの老舗Blues Club“Rosa's Lounge”でアンプラグド(アコースティック)ライブをやっているので見に行った。
SugarはNY生まれ。長くヨーロッパで活動を続け古くはストーンズらとのアルバム共演でも知られる。
◆シュガー・ブルー
1949年ニューヨーク、ハーレム生まれ。アポロシアターのダンサー&歌手であった母の影響で
小さい頃はシアターのミュージシャンだちに囲まれて育った。
ビリーー・ホリデーもその一人だった。
10歳でハーモニカを手にし、その後ボブ・ディランやスティービー・ワンダーらの曲を自己流でコピーし始める。
その後パリにわたり、ミック・ジャガーに見出されて、ストーンズバンドに加わり、「Emotional Rescue」「Tattoo You」のレコーディングメンバーに。
あの有名な「Miss You」のハーモニカは彼によるもの。
そして82年にアメリカ帰国。数々のシカゴ・ブルースミュージシャンと競演を続ける。(HPより抜粋訳)
◆
Sugarのほかは、ギターにHarry Hmura、ベースにSugarの嫁でイタリア人のIlaria Lantieri、ドラムにJames Knowlesというシンプルなセットだった。
ステージが始まった9時ごろは、店の中はほとんどガラガラ。平日ということもあるのだろうけど、ちょっともったいない気もした。
後から来た“さすらいのベーシスト”のYoshimiちゃんとふたりで、ステージかぶりつきの席で見入っていた。
こういうシチュエーションもあってか彼らもとてもリラックスしていて、大きなフェスティバルでみるシュガーとはまるで違て見えた。まるで自宅のリビングルームで演っているかのごとくやっている感じだった。
そして、選曲がまた素晴らしかった。
まずはJazzの「All Blues」。そしてブルースナンバーから「It's All Right」、ジェームス・コットンの名曲「Cotton Tree」、「Good Morning For School Girl」と続く。
また、先日亡くなったDoorsのキーボーディストRay Manzarekを偲んで「Light My Fire」、ビートルズのナンバーと、彼のジャンルの広さを堪能できる内容だった。
ハーモニカは言わずもがなにせよ、なんといっても感動モノはSugarの歌。
ちょっと武骨で、でもどこか繊細でエモーショナル。この近さでアコースティックバージョンをじっくり聴けることに心から感謝した。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/05/cc/cb932a5286ac94d2b82929f20f61d517.jpg)
嫁のイラニアの予定日はなんと来週!
ファーストステージが終わって、Sugarに声をかけ、Yoshimiを紹介。
Yoshimiがベーシストだと知るやいなや「じゃ、次のステージで弾いてみるかい?」と何のためらいもなく誘ってくれた。
そのYoshimiも、何の迷いもなく「はい」と二つ返事。
若いって素晴らしい、まさに怖いもの知らずだ。おばさんは横でちょっとときどきしちゃった。
「それにしても今日の選曲素晴らしいわー。Jazzも素敵」と興奮して伝えると、
「Shokoも次のステージで歌ってよ」という。
と、とんでもございませんです。私なんぞがあなた様と同じステージに立つなんてあまりにド厚かましすぎます。しかもブルース歌えないし・・・(汗)。
そして次のステージ。
Sugarが何曲か演奏した後、
「今日はスペシャルゲストでYoshimiとShokoがシットインしてくれます」と客席に紹介。
じぇじぇじぇじぇ!!!!
あわてて、「残念ですが私、Bluesは歌ったことないんです。ごめんなさい」とYoshimiだけを紹介。
このときほどブルースを何一つ歌えない自分を呪った日はなかった。
Yoshimiはというと、これまた何のためらいもなくスタスタとステージに上がりIlariaのアコースティックベースをひょいと持ち直すと、表情ひとつ変えずにSugarと共にブルースを2曲演奏してくれた。
なんかいいなぁ、こういうのって。
日本じゃありえない贅沢なシチュエーション。アメリカは、いわゆる飛び入り天国なのだ。
音楽を愛する者は、垣根を越えて温かく迎えてもらえる。
しかし、飛び入りする本人が「そのレベル」にあるかどうかをちゃんと理解していることが暗黙のルール。
そこを決して勘違いしてはならぬのだ。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6b/ad/b80904437a8e34f29c272152720b4701.jpg)
その後2~3曲、Sugarのソロが続き、そのときだった。
「Shoko、“God Bless The Child”歌える?」とSugarがステージから声をかけてきた
「知ってるけど歌詞を覚えてないの」そう答えると、彼はニンマリとしながら歌詞を書いた紙を私に渡してくれるではないか!
これはもう、やるっきゃない。ここで拒否したら場が白けてしまう。
しかし、ちゃんと人前で歌ったことのないこの超スタンダードを、このシチュエーションでやらねばならぬのか・・・。
それに、これはビリー・ホリデーのいわゆる代表作のひとつだ。
ハーレムに生まれ、ビリーのステージを生で見ながら育ったSugarの前でこれを歌わねばならんとは…神はなんという試練を私に与えたのか!
・・・とぶつくさ言ってもしかたない。
幸いお客さんは数えるほどしか残っていない。やるなら今でしょ?
そして、ステージにあがり、シュガーの席に座ってベースとギターのイントロを何度もききながらキーを確かめ(ちょっと低めだけど大丈夫)、出だしの歌詞を確かめていざ歌い始める。
なんというグルーブなんだ!
歌い始めたら緊張感もどこかに飛んでいき、このグルーブにただただ身を任せてみようという気持ちになった。
こんな経験はそうできるもんじゃない。
1番を歌い終えると、すかざずシュガーが絶妙のハーモニカソロを入れてくれた。続いてギターのハリーが泣きのフレーズをたっぷりと。
そしてブリッジから歌に戻り、最後はちょっともたついたけれど無事にエンディング。
終わったら気が抜けて、Sugarと熱くハグを交わしたら足がガクガクいっていた。
思いがけない、素敵な夜だった。
それもこれも、Yoshimiから勇気をもらえたからこそ。彼女に感謝!
大好きなハーモニカプレイヤー、Sugar Bluesが毎週水曜日にシカゴの老舗Blues Club“Rosa's Lounge”でアンプラグド(アコースティック)ライブをやっているので見に行った。
SugarはNY生まれ。長くヨーロッパで活動を続け古くはストーンズらとのアルバム共演でも知られる。
◆シュガー・ブルー
1949年ニューヨーク、ハーレム生まれ。アポロシアターのダンサー&歌手であった母の影響で
小さい頃はシアターのミュージシャンだちに囲まれて育った。
ビリーー・ホリデーもその一人だった。
10歳でハーモニカを手にし、その後ボブ・ディランやスティービー・ワンダーらの曲を自己流でコピーし始める。
その後パリにわたり、ミック・ジャガーに見出されて、ストーンズバンドに加わり、「Emotional Rescue」「Tattoo You」のレコーディングメンバーに。
あの有名な「Miss You」のハーモニカは彼によるもの。
そして82年にアメリカ帰国。数々のシカゴ・ブルースミュージシャンと競演を続ける。(HPより抜粋訳)
◆
Sugarのほかは、ギターにHarry Hmura、ベースにSugarの嫁でイタリア人のIlaria Lantieri、ドラムにJames Knowlesというシンプルなセットだった。
ステージが始まった9時ごろは、店の中はほとんどガラガラ。平日ということもあるのだろうけど、ちょっともったいない気もした。
後から来た“さすらいのベーシスト”のYoshimiちゃんとふたりで、ステージかぶりつきの席で見入っていた。
こういうシチュエーションもあってか彼らもとてもリラックスしていて、大きなフェスティバルでみるシュガーとはまるで違て見えた。まるで自宅のリビングルームで演っているかのごとくやっている感じだった。
そして、選曲がまた素晴らしかった。
まずはJazzの「All Blues」。そしてブルースナンバーから「It's All Right」、ジェームス・コットンの名曲「Cotton Tree」、「Good Morning For School Girl」と続く。
また、先日亡くなったDoorsのキーボーディストRay Manzarekを偲んで「Light My Fire」、ビートルズのナンバーと、彼のジャンルの広さを堪能できる内容だった。
ハーモニカは言わずもがなにせよ、なんといっても感動モノはSugarの歌。
ちょっと武骨で、でもどこか繊細でエモーショナル。この近さでアコースティックバージョンをじっくり聴けることに心から感謝した。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/02/43/98223ec618aaf524235d33814152fdad.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/05/cc/cb932a5286ac94d2b82929f20f61d517.jpg)
嫁のイラニアの予定日はなんと来週!
ファーストステージが終わって、Sugarに声をかけ、Yoshimiを紹介。
Yoshimiがベーシストだと知るやいなや「じゃ、次のステージで弾いてみるかい?」と何のためらいもなく誘ってくれた。
そのYoshimiも、何の迷いもなく「はい」と二つ返事。
若いって素晴らしい、まさに怖いもの知らずだ。おばさんは横でちょっとときどきしちゃった。
「それにしても今日の選曲素晴らしいわー。Jazzも素敵」と興奮して伝えると、
「Shokoも次のステージで歌ってよ」という。
と、とんでもございませんです。私なんぞがあなた様と同じステージに立つなんてあまりにド厚かましすぎます。しかもブルース歌えないし・・・(汗)。
そして次のステージ。
Sugarが何曲か演奏した後、
「今日はスペシャルゲストでYoshimiとShokoがシットインしてくれます」と客席に紹介。
じぇじぇじぇじぇ!!!!
あわてて、「残念ですが私、Bluesは歌ったことないんです。ごめんなさい」とYoshimiだけを紹介。
このときほどブルースを何一つ歌えない自分を呪った日はなかった。
Yoshimiはというと、これまた何のためらいもなくスタスタとステージに上がりIlariaのアコースティックベースをひょいと持ち直すと、表情ひとつ変えずにSugarと共にブルースを2曲演奏してくれた。
なんかいいなぁ、こういうのって。
日本じゃありえない贅沢なシチュエーション。アメリカは、いわゆる飛び入り天国なのだ。
音楽を愛する者は、垣根を越えて温かく迎えてもらえる。
しかし、飛び入りする本人が「そのレベル」にあるかどうかをちゃんと理解していることが暗黙のルール。
そこを決して勘違いしてはならぬのだ。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6b/ad/b80904437a8e34f29c272152720b4701.jpg)
その後2~3曲、Sugarのソロが続き、そのときだった。
「Shoko、“God Bless The Child”歌える?」とSugarがステージから声をかけてきた
「知ってるけど歌詞を覚えてないの」そう答えると、彼はニンマリとしながら歌詞を書いた紙を私に渡してくれるではないか!
これはもう、やるっきゃない。ここで拒否したら場が白けてしまう。
しかし、ちゃんと人前で歌ったことのないこの超スタンダードを、このシチュエーションでやらねばならぬのか・・・。
それに、これはビリー・ホリデーのいわゆる代表作のひとつだ。
ハーレムに生まれ、ビリーのステージを生で見ながら育ったSugarの前でこれを歌わねばならんとは…神はなんという試練を私に与えたのか!
・・・とぶつくさ言ってもしかたない。
幸いお客さんは数えるほどしか残っていない。やるなら今でしょ?
そして、ステージにあがり、シュガーの席に座ってベースとギターのイントロを何度もききながらキーを確かめ(ちょっと低めだけど大丈夫)、出だしの歌詞を確かめていざ歌い始める。
なんというグルーブなんだ!
歌い始めたら緊張感もどこかに飛んでいき、このグルーブにただただ身を任せてみようという気持ちになった。
こんな経験はそうできるもんじゃない。
1番を歌い終えると、すかざずシュガーが絶妙のハーモニカソロを入れてくれた。続いてギターのハリーが泣きのフレーズをたっぷりと。
そしてブリッジから歌に戻り、最後はちょっともたついたけれど無事にエンディング。
終わったら気が抜けて、Sugarと熱くハグを交わしたら足がガクガクいっていた。
思いがけない、素敵な夜だった。
それもこれも、Yoshimiから勇気をもらえたからこそ。彼女に感謝!
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/34/16/6bd5816b4943d3cd8d149417a8dd5d51.jpg)