Life in America ~JAPAN編

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「シン・あらそわ連」見参、実話。~その⑤

2022-05-09 16:00:42 | ニッポン生活編

第5章 「あらそわ連事業」の行方

今回「シン・あらそわ連」を結成し活動を始めた理由は、ただ一点。

2019年を最後に過去2年間中止を余儀なくされ、再開するのかしないのか定かでない国際交流事業「あらそわ連」への危惧

コロナの長期化も見据え、”ウィズコロナ対策”を施したテスト的阿波踊りイベントなども徐々に再開されるなか、「あらそわ連事業」もそろそろアフターコロナのことを考え始める時にきている。

いつまでもコロナを理由に「やらない」一択をするのではなく「どうやったらやれるか」のかを前提にに進むときなのでは、と、同じ「あらそわ連OB」たちからも声が上がっていた。

阿波踊りは徳島が持ちうる、最も有効な国際交流の手段であり切り札なのだ。これをなくして何が残る?

 

実はこの事業、令和元年(2019年)を機にほぼ予算が倍増している。

2019年は「あらそわ連」の活動が最も活発化した年だったので(本番の夏の阿波踊りは台風で中止になり出番はなかったが)翌年からその分を予算計上したのだろう。

しかし、結局翌2020年から阿波踊りは2年連続中止に追い込まれ、結局「あらそわ連」の練習も出番もゼロだった。(予算の行くえはいずこ・・?)

ともあれ、今年2022年度もその流れを受けて約121万円の予算が計上されている。

夏まであと2か月・・・しかし、まだ、動きはない。

 

   令和4年度(2022)事業計画 

公益財団法人徳島県国際交流協会 公表情報:https://www.topia.ne.jp/topia/disclosure.html

 


 

他方、同じ徳島の伝統芸能である「阿波人形浄瑠璃」の公演を行っている「県立阿波十郎兵衛屋敷」は、コロナ禍でも極力閉館をしない努力を続けてきた。

3密を避けるという基本的な感染対策はもちろん、出演者やスタッフに感染者が出たときの連絡網の整備やルールも徹底して決め、そのうえで県のコロナアラートが3以上になるまでは毎日の公演を休むことなく続けてきた。

いったん休んでしまうと演者の士気が下がり、これをきっかけに伝統が衰退してしまうことを危惧した館長の想いもあった。

コロナで閉館せざるをえなかったときには「おうちで浄瑠璃」というWebコンテンツを作り配信するなど、継続への執念を感じた。

観客が密にならない浄瑠璃と、群衆の阿波踊りは一概に比べられないにしても、最後は「誰が(人)」「何のために(使命)」「ぶれずに(核)」「動けるか(遂行力)」の問題なのだろうと思う。

 

そういう意味で浮き彫りになったのは、これまでの「あらそわ連」事業はパワーとお金の配分があやふやだったことだ。つまり、この事業はTOPIAの”人海戦術”でのみでなりたっていたという危うさだ。

阿波踊りに強い関心がある(もしくはこの事業に使命感を抱く)担当者がいるときには動くが、担当者が異動でいなくなった瞬間にもう誰も動けない。

あらそわ連事業を担当するのは、たいがい職員1~2名。通常の業務をかかえながら処理できる仕事ではなく、練習が始まれば例外なく時間外労働になるのだが残業費は出ない。つまり、‟できればやりたくない仕事”なわけだ。

まずは、職員の事業への理解促進、十分な人員配分、そしてやむなき残業には正当な対価が支払われるべきなのではないだろうか。

また、「阿波踊り交流事業」は夏の阿波踊り参加だけでなく、「あらそわ連」の情報発信(ホームページの見直しなど)や、倉庫に保管している楽器類の定期点検など、種々雑多な業務があるのだが、ホームページにいたってはここ約3年間更新された様子がない。

「シン・あらそわ連」が一足早く連員の募集をして自主練習を始めたことは、いずれ「あらそわ連」事業の業務の手助けになると信じていたが、一方的に名前の変更を迫られるという苦々しい関係性に持っていかれたことは悲しい。

 

TOPIAで過去に働いていた、”真の国際交流”を目指していた人たちは皆口をそろえる。

「(役に立とうと)提案をしても仕事が増えるのを恐れてつぶされるんです。自分たちの仕事は増やしたくない、そのくせ他に仕事を取られるのは嫌う、そういう組織なんです。長く組織にいる人ほど、そういう考えに染まっているのは悲しい」と。

 

今年の動きに注目したい。

 

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「シン・あらそわ連」見参、実話。~その④「紡ぐ」

2022-05-07 15:27:45 | ニッポン生活編

第4章 「紡ぐ」

かくしてめでたく(?)「シン・あらそわ連」は団体仮登録を済ませ、会議室をお貸しいただけることになった。

「阿波踊りの練習はうるさいから断らることもあります」というトホホな条件付きだが、ひとまずは、近々のイベントでは更衣室に使えることができるので本当にありがたい。

駅ビルでイベント会場にも近く、外国人たちもなじみのある場所なので迷うこともない。

4月15日の徳島新聞に掲載された「春の阿波踊り」全面広告に、「シン・あらそわ連」の名前も無事に掲載された。

2か月前には影も形もなかったこのグループが、練習の成果を見せる時が近づいていた。


5月1日、雨天で二日順延となった「春の阿波踊り”紡ぐ”」が開催された。

約1000人の踊り子が参加、久々の制限のないGWとあって多くの人々でにぎわった。

徳島城公園という、450年前に阿波踊りが生まれた場所での開催であり、有名連だけでなく県内外問わずユニークな連が参加したことにより、本来の”民衆のお祭り”を存分に味わえたことは将来に向けて大きな布石になったと思う。

この祭りで参加連を募集していると知ったのは2月初旬。

そこから紆余曲折を経て、こうして「シン・あらそわ連」は無事祭りデビューを果たすことができた。

「協力」という二文字に執着したわりには、3年間倉庫で眠ったままの揃いの浴衣も高張提灯も、TOPIAからは何も貸してもらえなかった。けれど今は仕方ない。

それに、かえって工夫を凝らして手づくりでできたという自信につながった。高校の体育祭を思い出す。😅

自分たちの手でこの連を作り、自分たちでお金を出し合って練習し、揃いの手ぬぐいを作り、一つになれた。

浴衣などまだいらない!踊りもままならぬ状態で、フルコスチュームはかえって動きづらく苦痛なだけ。

ブルーを基調としたトップスと、動きやすい靴。それだけが今回の「シン・あらそわ連」のドレスコード。笑顔で踊れるなら、そちらのほうがよほどすがすがしいではないか。

私たちのダイバーシティーは、頬にプリントされた「国旗スティッカー」が物語る。

14か国、23人による笑顔満開のデビューは、たった10分間、たった50メートルで終わってしまったけれど、阿波踊りをはじめて経験した彼らの瞳の輝きを見て、「やってよかった!」と思った。

協調していこうと思ったところから出ばなをくじかれ、主催メディアにもほとんど無視された。しかし、そんなことなど踊っている彼らには全く関係のない些細なことにすぎない。

踊りたい人たちが集まって、プロ・アマ、協会、市、県のしがらみなく踊る。それこそが蜂須賀さんが許した無礼講の踊り、阿波踊りなのだ。

さて。しがらみのない私たちのチャレンジは続く!

私は、やれるだけのお手伝いをやれる範囲でやっていくのみだ。

 

(「根本的問題はどこにある?」・・へとつづく」

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「シン・あらそわ連」見参、実話。~その③

2022-05-06 00:39:14 | ニッポン生活編

第3章 哀しい保身

 

4月7日 10:51 

携帯が鳴る。TOPIAの担当者から。要件はこうだった。

「団体登録申請を受け取ったが、”シン・あらそわ連”というグループの名前を聞いて驚いている。”新”と頭につくことによってあたかもこれまで県が運営していた「あらそわ連」と喧嘩別れしたようで聞こえが悪い。団体名を変えてほしい」。

 

「新」ではなく「シン」。よりパワーアップしてそのうちコラボレーションしましょう、という友好的な意味であえて同じ名前を名乗らせてもらったこちらの意図が伝わっていないようだ。

そこを何度説明して食い下がっても、

「他にもそういう例(”新〇〇”と名乗る喧嘩別れ連)がある。友好的だと言われても世間はそうは思わない」というばかり。

そもそも、そういうことをイメージするのは徳島県人で阿波踊りに精通しているごく一部の人たちだけのちっちゃいちっちゃい話。

「もう1か月も前から使っていて浸透していますので・・」とやんわりお断りすると、

「その時にご相談いただいていればと」と口調が厳しくなった。

「困りました・・。すでにこの名前で備品も発注していますし、約款も作って各所に提出しています」

「えっ?約款まで作ったんですか?(絶句)」

「はい。今月末のイベントもこの名前で申し込んでおり、広報物にもなっているかと思いますが」

 

先方は激しく狼狽し、相談しますといっていったん電話は切れた。

なんとも言い難い、口の中に血の匂いが広がったような感覚が広がった。

「自分たちに代わって面倒くさい連員募集をしてくれてありがとう。助かります」とお礼を言われるのかと思っていたのに、真逆だ。

落ち着こう。これはあくまでむこうの誤解だ。

 

しかし、どうしても腑に落ちないのが「その時にご相談いただいていれば」の一言。

3月5日の結成と同時に「旧あらそわ連」のFacebookで堂々と連名入りでメンバー募集しているし、現に問い合わせの電話が先方に入ったときにもわざわざ回してくれたこともあった。TOPIAの掲示板に「シンあらそわ連」メンバー募集のチラシを掲示してくれたりもした。

てっきり協力体制にあるのだとばかり思っていた。

ここまで自由に泳がせておいて、何等かの理由で急にあわてふためいて止めに入った理由をむしろ知りたいくらいだ。

 

この電話から約30分後、再び携帯が鳴る。春の祭りの主催者である徳島新聞社から。


11:28  

「徳島新聞です。今回の春の阿波踊りにエントリーしていただいた連の中からピックアップして、お話をうかがっています。「シン・あらそわ連」さんはどのような連ですか?「あらそわ連」とのご関係は?」

(このタイミング・・・明らかに偵察だな。

 

そのまま録音して聞かせてあげてほしいくらい、きわめて正直に答える。

「エントリーにお書きした通り、県在住の外国人によるグループです。「あらそわ連」は県(TOPIA)の運営ですが、今はコロナ感染リスクで復活予定はないとお聞きしたので私たちが民間で立ち上げました。”旧”あらそわ連の人たちも数人おりますが、ほとんどがここ2年のうちに徳島にやってきた全く新しい人たちです。彼らは阿波踊りを見たことも踊ったこともないまま任期を終えて帰ってしまう。せめて一度経験させてあげたい。この夏にもし「あらそわ連」が復活するなら、それまでのつなぎになりたいと思って結成し、毎週練習をしています。しかし先ほど『世間体が悪いので名前を変えろ』とTOPIAからお叱りの電話が入りました。名前を変えると広報物などでお宅にご迷惑がかかるのではと困っていたところです。

それに、まだ結成したばかりの未熟な連ですし、私はあくまで世話係であり連長ではありませんので取材はお受けできません。すみません」

それを聞いてほっとしたのか、電話は切れた。

 


14:42  TOPIAよりメール

 

さて、連の名前に関してですが、小物も作っておられるということでしたので、

こちらで話し合った結果、名前をこれから変更するのはむずかしいでしょう、ということになり、変更していただきたい、という意見は取り下げさせて頂くことにいたしました。

また、当方も、しんあらそわれん さんも、目的は同じで、仲たがいをしている ということではないので、そこを誤解されないよう、少し、設立経緯と目的の書き方を変更頂けたらと思い、記載例を送らせて頂くことにいたしました。

いかがでしょうか?

ご検討よろしくお願いいたします。

 

経緯

約40年にわたり活動を続けてきた 「あらそわ連」の主旨に賛同し、あらそわ連と連携しながら、有志で阿波おどり活動を行い、徳島在住の外国人をひとつにつなげることを目的として設立。

あらそわ連と同様、「阿波おどりを通じ、人種や国籍、宗教の違いを超えて、世界平和のために、お互いを理解しあう」ことを理念とする。

目的

徳島県在住の外国人およびその家族同士の交流、「阿波踊り」を軸とした県民と の国際交流、異文化理解・多文化共生の啓蒙を目的とする。

 


ちなみに、こちらが提出した団体登録申請の文言は以下の通り。

設立の経緯
過去40 年間にわたり県主導で毎年活動を続けてきた伝統の徳島県在住外国人による阿波踊り「あらそわ連」が、コロナ禍で活動中断を余儀なくされていることへの危惧から、民間レベルで活動を復活させ、阿波踊りとおして在徳外国人を一つにつなげたいとの思いで設立。


目的
徳島県在住の外国人およびその家族同士の交流、「阿波踊り」を軸とした県民との国際交流、異文化理解の啓蒙を目的とする。

 


さて、これをじっくり読み解くと、

1)「あらそわ連」の名前を使われると県の事業と思われて紛らわしく、問い合わせなどの対応が面倒くさい。

2)「あらそわ連」と喧嘩別れしたように聞こえて世間体が非常に悪い。

3)設立経緯を読むとあたかも自分たちが仕事をしていないように聞こえるうえ、民間に仕事をとられては役所のメンツがつぶれる。

という理由でイラついているようだ。納得できるのは(1)だけだ。

名前変更をこちらに迫ったものの、新聞社側からは(リーフレットなどの)修正費用もかかるしこの時点では勘弁してほしいと言われ、”話し合った結果”名前だけはこれで許してやるが自分たちとは喧嘩別れしたのではなく協力し連携していること、そのうえで”有志”が勝手にやっていることを明記しろ、ということだ。

当方としてはもちろん、連携・協力したいのはやまやまだしちっとも構わないのだが、踊り手(外国人)の気持ちより自分たちの都合(保身)を図ったことに失望して「協力」という文字がかすんで消えた。

でもって先方の最大のミステイクは、「自治体が世間体を守るために民間団体の約款に口出しをして書き換えを迫ったこと」だろう。

そこに気づいていないことのほうが恐ろしいのだが。

 


4/8 0:04 TOPIAへの返信

連名の件、ご了承いただきありがとうございました。

「あらそわ連と一緒に頑張ろう」という友好的な気持ちから設立し命名しましたので、「外部から喧嘩別れしたと誤解されるから」というご意見をお聞きして、なんとも悲しく残念な気持ちになりました。


「新あらそわ連」ではなく「シン・あらそわ連」にした理由は、「シン・ゴジラ」「シン・エヴァンゲリオン」「シン・ウルトラマン」のように、外国人にもなじみがあり、”旧態からよりパワーアップした姿”を想起させる期待感があったからです。
事実、2年前の「あらそわ連」メンバーからも「親しみやすくてカッコイイ」と好評です。
彼ら(外国人)にとっては、今、阿波踊りを経験することが一番の目的なのであり、連の名前や所属は全くどうでもいいことなのではないでしょうか。

だから、毎回駐車料金や場所代を支払ってまで参加してくれるのだと思います。

今朝、〇さんからお電話いただいたあとすぐに、徳島新聞さんから取材?の電話がございました。

29日の阿波踊りイベント「絆」に出演する連のひとつとして概要を聞かせてほしい、との聞き取りでした。
まず「あらそわ連」との関係を聞かれ、私たちはあくまでOBを中心とした民間の阿波踊りサークルであり、きたるべき時期には合体することになるでしょう、それまでのつなぎのようなグループです、それまで一緒に練習をしたり、交流をしたりする場を設けることが狙いです、と申し上げました。
名前が紛らわしくよからぬ誤解を受けるとのことから名前を変更するようトピアから注意を受けたばかりで、目下検討中であることも記者の方にお話ししました。29日のイベントの広報物が配布されている今、連の名前を変えることが可能かどうかも主催者である徳島新聞社に直接お聞きしたかったからです。

私はあくまで当グループの世話人であり、裏方に徹して表だった取材などには一切出ないと決めています。
メディア対応には「あらそわ連」の詳しいいきさつに詳しいFさんにお願いするつもりです。


以上、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
 


4/8 13:45 TOPIAより返信

 

・・・そういった(熱い)思いを持って、今活動して下さっていることは、十分承知しておりますので、今後も良い関係を継続できればと思っております。

さて・・・・そうしましたら、恐れいりますが、団体登録申請書の経緯と目的のところを、私の方から参考までに昨日、文章を送らせて頂いておりますので、ご検討の上、以前のものを書き直して頂き、再度ご提出頂ければと思います。

手直し頂いた申請書を再度ご提出頂けましたら、TOPIA内で決裁をし、当協会に登録させて頂きたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

また、シン・あらそわれんの名前のシンに込められた思い、承知しました。

親しみやすくてカッコイイ とも書かれてありますので、さらにあらそわ連に 親しむ」「あらそわ連と親しむ」という、ことを含めてご紹介頂ければと思います。

 

 


こちらが友好的で協力的であることをわかっていただけたのか、少し態度が軟化。

月末の会議室使用の仮予約をしていただいたことも、知らせてくれた。

もっと簡単に名前くらい変えるだろう、と思っていたら意外と抵抗されて、かえって関係をこじらたことに焦った(?)のかもしれない。

ちょうど新年度で上層部が総入れ替えになり、体制が整っていない時に面倒を起こさないに限る、という判断だろう。

 


4/10 23:51 TOPIAへ返信

(・・・・あいさつ略)

団体登録申請を再度送らせていただきます。

内容は簡潔にしつつ、”「あらそわ連」と連携しながら・・・”という一文を入れさせていただきました。

 

設立の経緯
約40年にわたり活動を続けてきた「あらそわ連」の主旨に賛同した有志が、その理念を引き継ぎ、「あらそわ連」と連携しながら活動をさらに活発化させるために設立。


目的
徳島県在住の外国人およびその家族同士の交流、「阿波踊り」を軸とした県民との国際交流、異文化理解・多文化共生の啓蒙を目的とする。


 

先方が大いに気にしていた「有志」と「連携しながら」の文字を入れた訂正分を提出。

これでとりあえずは、団体登録にからむ「連名変えろ!事件」は収まった(かのように見えた。)

 

 

(つづく・・・)

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「シン・あらそわ連」見参、実話。~その②

2022-05-03 15:58:32 | ニッポン生活編

第2章 ”国際交流”は誰のため?

 

(つづき)

 

残念ながら、「あらそわ連」の運営母体である徳島県国際交流協会(TOPIA)から、4月29日開催予定の「春の阿波踊り」への参加は不可能、という正式返答が届く。

一時は落ち着いたかのように見えたコロナ感染者もこの頃には再び急増しており、県としてわずか1か月先の祭り参加へGOサインを出すことはできない。これは十分理解できるし仕方ない。

 

ではいっそ、私たち民間の手で踊りたい外国人を集めて有志参加してはどうだろう?

春の阿波踊りは「(有名連だけでなく)誰でも踊れる阿波踊り」をキャッチフレーズにしており、踊り手(参加連)を大募集している。本番まで約1か月半、頑張ればやれないこともない❣

かくして決まったグループ名は

「シン・あらそわ連」

「新しく、かつパワーアップした2022年のあらそわ連」という意味だ。

”新”ではなく、”シン”。

「シン・ゴジラ」、「シン・ウルトラマン」的インターナショナルな響きは外国人にも受けが良い。

”旧あらそわ連”とは母体が違うが、踊る人たちは一緒。いずれまた一緒になることもあるだろうし、外国人たちにとっては母体がどこなのかなんてどうでもよいこと。姉妹連のようになればいいな、との願いも込められている。

一応TOPIAには仁義を切って3月5日に新グループを結成を報告し、さっそくFBで新グループを立ち上げ、フライヤーを手作りしてメンバー募集を開始。

 

 

その後は、SNSや口コミで「グループに参加したい」という外国人たちが県内各地から続々と集結。

第1回の「Welcome ZOOMミーティング」を経ていよいよ練習が開始された。

さて、次なる問題は練習場所の確保だ。

市内でスタジオを借りるにはそれなりの費用がかかる。遠方から来てくれるメンバーの駐車代も考慮すると、やはり場所代はなるべく安くしてあげたい。

そこで「あらそわ連」の練習場所としてTOPIAが会議室を提供していたことを思い出し、打診してみることにした。

 

(To: TOPIA 3月12日) 

(・・・前半挨拶略)
TOPIAとは関係なく新しい外国人連をオーガナイズすることになりましたので、またTOPIAの事業としてあらそわれんが復活する機会がございましたらその時には是非一緒に踊らせていただきたく思います。

ところで、こちらの新しい外国人連が目下練習場所をさがしております。
TOPIAでは、しばらくの間会議室貸し出しを休止しているとのことですが、もし4月あたりから復活するようでしたらぜひ貸していただけないでしょうか?
小松島や美馬など遠方から参加する人のために、駅ビルで練習ができればこのうえなく便利で皆喜ぶと思うのです。
在県の外国人に徳島の文化を提供するというのもTOPIAの大きなミッションだと考えておりますので、ぜひともご検討いただければありがたいです。
コロナ感染対策として、練習中のマスク着用、密にならないような距離、手指消毒などは徹底させていただきます。
どうぞよろしくお願い申し上げます。

*********

 

これに対し届いた返答(3月16日 TOPIA常務より)は、

・感染者数が高止まりしている現状、会議室の利用は県の方針に従っているため、現時点で開始見込みはない。

・会議室の利用には、団体登録が必要で、その条件は、

1)徳島県の国際交流・協力に寄与するものであること。

2)公共性があり、営利活動、政治的・宗教的活動を目的とするものでないこと。

 

いったん登録してしまえばこの先色々使えそうだ。さっそく団体登録手続きを開始した。

そうこうするうちに、県のコロナ感染アラートが下げられ、4月から会議室貸し出しも再開された。

 

(4月6日 To: TOPIA)

いつも大変お世話になっております。

「あらそわれん」復活をめざし、民間レベルで「シンあらそわれん」を結成いたしました。

つきましては、団体登録申請をさせていただきますのでどうぞよろしくお願いいたします。

阿波踊りの練習は音の問題から難しいとは存じますが、今後ミーティングなどで使わせていただければと思い、登録させていただきます。営利目的ではなく、徳島県のための活動ですのでどうぞご理解ください。

取り急ぎ、4月29日の「紡ぐ」イベントに参加エントリーをしておりますので、会議室を控室・更衣室として利用させていただけないかと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。

 

*************

翌日の朝、携帯が鳴った。

TOPIAの担当者からだった。

すべてうまくいったのかな、とほっとしたのもつかの間、彼女の口からは耳を疑うような言葉が飛び出した。

 

 

(つづく・・)

 

 

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「シン・あらそわ連」見参、実話。~その①

2022-05-02 16:23:35 | ニッポン生活編

第1章:すべてはここから始まった。

「あらそわ連」は、県内在住外国人による阿波踊りの連(グループ)。
1981年に一般の篤志家が立ち上げた県在住外国人のための国際交流サロンが起源で、そのアクティビティーのひとつとして「みんなで踊る阿波踊り」が始まったのだそうだ。
国や性別や宗教を超えて理解を深め、平和な世の中を目指して踊ろうというメッセージは、「世界はひとつ、あらそわれん(徳島弁で”争ってはいけませんよ”)」という掛け声とともにかれこれ40年も続いてきた。
 
創始者の高齢化と外国人数の増加などに伴い、2017年にその管理・運営が公益財団法人・徳島県国際交流協会(通称:TOPIA)に移管され、以降「あらそわ連」は県の国際交流事業のひとつとして新たなフェーズに入ることになった。有名連「のんき連」の指導のもとスペシャルチームが結成され、夏の阿波踊りにも踊りこむなど活動も活発化した。
 
ところが、コロナ禍で2019年の活動を最後に「あわそわ連」事業は中断。担当者も異動し、その後は毎年予算が計上されながらも誰も後を継ぐことなく復活のめどすらたっていない。
とはいえ、そろそろアフター・コロナ、ウィズ・コロナのフェーズも考え始めなければいけない時期にきている。
 
2022年には夏の阿波踊りの再開も決まった。当時のメンバーのほとんどが帰国してしまった今、新しくメンバー募集をかけなければ夏の本番にはとうてい間に合わないだろう。
そんなことを考えていた矢先、ロシアによるウクライナ侵攻が勃発した。
 
 
「せかいはひとつ、あらそわれん」
 
 
このモットーを叫ぶのは今でしょう?そんな気持ちが沸きあがってきた。
平和の象徴でもあった「あらそわ連」を復活させてほしい、その思いからTOPIAに提案メールを送った。
 
 
 
 
 
※2022年2月24日
 
「世界はひとつ、あらそわれん!」というメッセージに共感し、2019年に「あらそわ連」に参加させていただきました。残念ながら夏の阿波踊りは台風で中止に追い込まれましたが、11月の秋の阿波踊り(阿波踊りサミット)では海外から集まった阿波踊り連の前で練習の成果を発表することができ、在県外国人の絆が深まったばかりでなく国際交流にも貢献することができました。

それ以降、コロナ禍で連としての活動は休止状態のままで2年半が過ぎようしております。この間、自国へ帰国した人もいれば新しく徳島で生活を始めた外国人も多くいます。在留外国人の大半は、仲間同士で集まることもできず、帰国や旅行もままならず寂しい思いをしています。

こんな今だからこそ「あらそわ連」の出番ではないでしょうか?
在県の外国人が心をひとつに困難を乗り越えよう、せっかく縁あって人生の一時期をすごしている徳島で一緒に徳島らしい思い出を作ろう、混迷を極める世界情勢のなか「世界はひとつ」というメッセージを今こそ届けよう!
・・・そのような思いが「せかいはひとつ」を叫びながら一緒に踊ったあらそわ連の一員としてふつふつと沸いてきました。

そこで、来る2022年4月29日に市内で行われる「阿波踊り春の祭典”紡ぐ”」(https://www.topics.or.jp/articles/-/654931) での「あらそわ連」の再結成、および参加を呼びかけたいと思います。2020年、2021年に活動できなかったことをふまえ、この「紡ぐ」への参加が新たなあらそわ連復活の突破口となり、可能であれば2022年夏の阿波踊りへ参加へとつながる布石となればと思っております。

3年に渡って国際交流、阿波踊り体験の機会は奪われており、せっかく作った「あらそわ連」の衣装や備品は3年間使われぬまま眠っております。今こそ有効活用する時ではないでしょうか。
イベント参加申し込みの締め切りは3月15日ですが、できるだけ早く参加表明をし、参加者を募りたいと考えております。事務作業などはボランティアでやらせていただきます。
TOPIAとして是非、できれば少し予算をいただき、再びお力添えいただければ幸甚です。
どうぞよろしくお願い申し上げます。
 
 

そして約1週間後、常務理事兼事務局長から届いた返事は・・・

>Subject: あらそわ連について

あらそわ連について、お問い合わせいただきありがとうございます。

これまで、あらそわ連で御活躍いただいていたということで、メールから熱意が伝わって、皆様の活動により支えられていることを実感しております。

さて、新型コロナ禍で、徳島市の阿波おどり全体の運営方針が不明確な中、あらそわ連については、R4年度事業についての予算も方針もまだ決まっていない状況です。

あらそわ連にかける思いは十分理解しておりますが、残念ながら、現時点では、あらそわ連として春の阿波おどりに参加することは不可能です。

ご理解いただきますようお願いします。

 

*************

致し方なし。想定内。

しかし、断られてからどうするか、が大事。

このあと事態は大きく転換していくことになる。

 

(つづく)

 

 

 

 
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