ALT(Assistant Language Teacher :外国語指導助手)をしているフィリピン人の友人と、やっとランチをした。
コロナのせいで学校が休校になり、いきなり時間に余裕ができたということもあってやっとゆっくり話ができるという、なんとも皮肉なはなし。
2年間、徳島の公立中学で外国語の指導助手(先生)をしている彼女に、フィリピンの中学教育についていろいろ聞いてみたら、今の日本に欠けているものがたくさん見えてきた。
フィリピンの学校にはペーパーテストがないのだそうだ。
紙のテストで点数をだしたところで、それだけでその人の能力は測れない、と。
それはそうかもしれないけど、じゃぁどうやって評価をするの?
「中学は3年間あるじゃない。つまり、その3年のなかで、その子の強みや弱みを先生がしっかり見て評価をしてあげるのよ。
授業もテキストをやるんじゃなくてほとんどの時間がディベートに使われる。
たとえば、“どの宗教がいい宗教なのか”とか“戦争について(両サイドから)考える”とか。その課題から子供たちは自分たちの宗教や文化以外のことをいろいろ調べて考えるようになる。先生はただそれを黙って聞いているだけよ」
それはなんと勇気がいる教育だこと!
テキスト通りに教え方マニュアルを見て教えるのなら誰でもできる。
でも、子供たちに課題を与え、ディベートをさせ、それをサポートしていくには、教師側にも相当な知識やスキル、そしてさらなる勉強が必要。それをやっているフィリピンはつくづくすごい。
「知識を詰め込むより、子供たちに”何かを達成できた”という充実感を感じさせるのが大切なのよ。たとえば小学生の英語の時間では子供にいろんな果物の着ぐるみを着させて、”私は●●。私は果物。私は甘い。”と英語でセリフを言わせて寸劇をさせたり。そうやってどんな小さな役でもやりとげさせ自信をつけさせる。小さい頃に自信がつくから、フィリピンの子供たちには恥ずかしがり屋さんが少ないのよ」
テストがなければ入学試験もない。
もちろん、ほとんどの子供たちはテストなしに高校に入学できるのだそうだ。
「本当はすごく優秀な子が、たった1回のテストのときに緊張して実力を発揮できなかったら?そんなことだけで評価されるのはおかしいでしょ。提出物や取り組み姿勢、リーダーシップ、コミュニケーション力・・すべてを細かく3年間で見てあげてこそ、初めて評価をつけられるんじゃないかな」
おっしゃるとおり。ペーパーテストが必要なのは、実は大人の勝手な事情。
それがないと「足切り」できないから。
そのうえで、フィリピンでは教師が絶対なのだともいう。
「親は学校の先生に子供を預けて教育してもらっている、という気持ち。だから最大のリスぺクトをはらうし、先生は態度の悪い子供たちを家に帰してしまったり平気でするけど、誰もそれに対して文句は言わない」
日本も昔はこうだったよな。
「先生、うちの子、ガツンとしばいたってください」
なんて言うてたもんな。
ともあれ、教育はどうあるべきか、日本の教育現場はどう進むべきか、そろそろ抜本的に見直さなければならないと思う。
今のアホ内閣では無理だろうけど(笑)