Life in America ~JAPAN編

I love Jazz, fine cuisine, good wine

ありがとう、B.B. King

2015-05-17 23:49:25 | music/festival






5月13日
ブルース界の、いや音楽界の帝王、B.B.キングが亡くなった。89歳。
数年前から持病の糖尿病が悪化し、たびたび入院を繰り返しつつもステージに立ち続けていたが、今回ばかりは病床から復活することはかなわなかった。
昨年10月、シカゴでのライブの途中で脱水症状になりそのまま病院に運ばれて、あのときはもうだめかと思ったが何とか持ち直して今年もあちこちにツアーに回る予定が組まれていた。
この年齢で、この状態で、そこまでしてツアーをしなければならないのか、と誰もが思った。彼が生きているうちに一儲けしておこうという意地汚いプロモーターと、マネージャーの策略なのか・・・と、キングが不憫にさえ思えた。


私がB.B.キングを最後に見たのは、2013年、近所のフェスティバル。ピーター・フランプトンらギタリストとの共演だった。

その時の記事がこれ。

http://www.usshimbun.com/Music-Series/music-vol.2-Frampton'sGuitarCircus

ステージの真下にあるカメラマンエリアから必死になって写真を撮っていた私のほうを見て、ゆっくりとカメラ目線を送ってくれた。
そればかりか、口で〝Hi"と言いながらあの大きな手をちょこちょこっと振ってくれたのが本当にうれしかった。
こういう気遣いができるやさしさと謙虚さを常に持ち合わせていた人だった。














昔の体形から比べると驚くほど痩せこけていたけれど、声の艶は89歳とは思えないほどよく、マイクにもよくとおるバリトンボイスだった。
とはいえ、さすがに長時間をこなす体力はすでになく、実質は20分ほど。そのうちほとんどがギターもひかずしゃべっていた。
それでも彼を見たさに集まった観衆は、まるで神様を拝むように惜しみない拍手を送っていた。
あの時誰しもが心でこう祈っていたに違いない。

「この“Thrill Is Gone”が再び聴けますように・・・」と。


どんな人にも必ず最後の時は訪れる。
それまでにどう生き、何を残せるかはその人の生き方次第だ。



ミシシッピの小さな町で生まれ、メンフィスに出て頭角を現しブルースマンとして成功を収めた。
彼のギターは、「一音鳴らすだけでキングだとわかる」と言わしめるほどのカリスマ性を秘めていた。
ギャンギャンといらない音のオンパレードをわめき散らすそこらのギタリストとちがって、彼のギターにはだれにもまねできない“間”があった。
その品のいい間が独特のグルーブとなり、B.B.キングのブルースとなっていた。
ブルースミュージシャンだけでなく、ロックやR&Bなどすべてのギタリストが心酔し、なんとか真似ようとしていたと言っても過言ではない。
彼のギターと歌を聞いてしまったら、そんじょそこらのロックなど、もうただのガキの音楽に聞こえてしまう。
ストーンズすらかすんでしまうのだ。

「真に偉大なミュージシャンは、死んで人を残す」という言葉のとおり、B.B.キングはこの世に彼の魂を引き継ぐ“チルドレン”を残した。



しかし、ここ数か月の彼を取り巻くニュースは暗く切ないものばかりだった。
長年のマネージャーがキングの容体を知りながら、適切な医療を与えず「老人虐待」をしている、とか彼の財産を横領している、と実の娘たちに訴えられるなど、近親者での醜い争いが繰り広げられていた。
また、マネージャーは病床のキングに最後の別れをしたいと望む実の娘たちだけでなく、親しい友人たちにも一切会う機会を与えなかったという。
自分がもうすぐ神に召されるとわかっていながら、親しい人たちにも会えず白い天井ばかりをみつめていたキングの気持ちやいかにと思うと、いたたまれなくなる。



彼の生き様と同じように、彼のこの「死に様」も多分多くのミュージシャンたちに影響を与えたに違いない。
80歳を過ぎて活躍する現役のブルースマンたちは、これをどのように受け止めただろうか?
せめて最後のひと時は家族と手を取り合って安らかに眠りたい、との思いを強くしたに違いない。

キングは故郷、ミシシッピの小さな町インディアノーラにある教会墓地に埋葬されるそうだ。
「子供の頃、綿を摘んでいたあの綿花畑の近くの教会に埋葬してほしい」
これが、キングの遺言だったという。



どうか、安らかにお眠りください。



阿波踊りシカゴ連、初舞台。

2015-05-11 15:18:52 | アメリカ生活雑感
5月9日(土曜日)

シカゴ大学の日本学生協会(The Japanese Student Association)主催の、日本文化紹介イベント”Spring Festival”が、シカゴ大学構内で開催され、発足したての「阿波踊りシカゴ連」が初参加。
ブースを借りて7月に行われる「Japan Day」の宣伝と、当日行う予定の参加者全員で踊る阿波踊りの予告&練習を兼ねての参加だった。

4月にこの話を聞いたときはちゃんと人前で踊れる「踊り子」と呼べる人がひとりしかいない状態だったし衣装もない状態だったので、とても無理だと思っていたけれど、
その後1か月の間に2人の“元セミプロ”が加わり、衣装も徳島県や高円寺の「びっくり連」さんから寄付していただいて、おかげでこの日を迎えることができた。

結果、大成功!
会場に集まった人たち全員に即興レッスンを行い、みんなで踊って盛り上がった。
やっぱり阿波踊りはインターナショナル!


シカゴ大学の創業者、ロックフェラー氏の肖像画が飾られたホールで行われた。


女踊りの梓さん、男踊りのアキナさん。おふたりともかわいくてとても上手。



徳島市で英語の先生をしていたキャサリンさん(左)は、昔「都連」に所属して踊っていたそう。
この4人で演舞。


演舞のあとはミニレッスンをして、「Happy」に合わせてみんなで踊り狂う。


お手伝いもたくさんきてくださいました。


タツ青木さんの太鼓&Jazzコラボ。
このあと阿波踊りがこれに乱入。Jazzと阿波踊りのコラボが実現。


GOROの一番長い日。

2015-05-09 12:03:56 | アメリカ生活雑感
去年の末あたりから、GOROが口をもぐもぐし始めた。
食欲も運動も、普段通り何も変わらないんだが、ちょっとおもちゃでラフな遊びをするときまって口をもぐもぐ。
大好きな“段ボール引き裂き遊び”のあと段ボールに血がついていたこともあったので、お医者さんに定期検診に行った際に聞いてみたところ、上の奥歯がぐらぐらしているという。
そのまま放っておくと歯茎が化膿してよくないというので、抜歯の見積もりをとってみたらひっくりかえるような値段。

かなりひるんでいたら、友達の犬がやっぱり同じような抜歯手術をしたというのできいてみたところ、約半額。
結構評判のいい獣医さんだったので、私たちもそっちに行くことにして先週GOROをみてもらった。
一度ちゃんとどれくらい歯が歯茎に食い込んでいるか確認したうえで抜くかどうか決めましょう、ということで翌週のアポを入れて帰宅。

そして、今週。
ぶるぶる震えるGOROをなだめすかして(?)再び獣医さんへ連れて行き私たちはいったん帰宅。
麻酔をかけて大人しくさせてから、隅々まで歯を診察したところ、やはり抜いたほうがいいという知らせ。
その他にも下の前歯がぐらついていて多分痛みがあるだろうから、これも抜いてもらうことになった。
ついでに歯垢もきれいに除去してもらうことに。

もうこっちのほうがドキドキ。
たまに、麻酔をかけたまま目覚めず死んじゃった、というミスもあると聞くので何をやっても手につかず。
方やPちゃんは「大丈夫、大丈夫」と平気顔。
お医者さんがとてもプロフェッショナルな説明をしてくれたので、100%信じきっている様子。
いつもは逆のパターンなのに・・・。

午後4時、麻酔から覚めたので引き取りに来てもいいよ、と電話が入りお迎えに行った。
よろよろしてるかと思ったが、元気そうで安心した。
人間もそうだけど、歯が病むと全身に病が広がるもの。
早期発見して処置できてよかったよかった。

でも彼の医療費は、年間の私たちの医療費よりも高いのであった・・・トホホ。
頑張ってこの分稼がなきゃ。



半日ぶりに娑婆に出たGORO


今日お世話になった病院の前で


今日から歯の心配なくおいしく食べられるね。

『トランスフォーマー/ロストエイジ』~シカゴ紹介

2015-05-01 13:16:45 | アメリカ生活雑感

世界各地の映画のロケ地を映画と共に紹介する、『映画のある旅』。
このたび、シカゴが『トランスフォーマー/ロストエイジ』(2004年 アメリカ)のロケ地として初めて紹介されました。

記事執筆および写真撮影をすべて私が担当させていただきました。
どうぞご覧くださいませませ。


http://wowow.jal.co.jp/chicago/movie01

警察 vs 市民

2015-05-01 11:46:31 | アメリカ生活雑感
黒人への差別的な扱いに世間がこれほどまでに声を上げるようになった背景には、この間も書いたようにソーシャルメディアの発達がある。
誰もがスマートフォンを持ち歩き、即座に写真や動画をその場で撮り、次の瞬間その画像が世界中を駆け巡る、そんな世の中だからこそ、「誰も見ていないだろう」と何かをしでかすことは不可能になりつつある。

警察がその特権を利用して、罪のない黒人たちをボコボコに殴り殺してやり過ごせた時代はすでに終わり、今はそんな警察が血祭りにあげられている。
これは一時的にはいいことなのかもしれないが、アメリカにおける警察の、長い間の「勘違い体質」はだからといってすぐに改善されるわけでもなく、根本的には彼らの教育を一からやり直すべきだと思う。
アメリカで警察官になりたいと思う理由は、「世の中を正すため」でも「街の平和を守るため」でも「市民の暮らしをよりよくするため」でもなく、「誰かを従わせる快感」だというリサーチがあるそうだ。

つい先日の新聞での記事。
ハワイの男性がドローンを使って空中から景観を撮影していたところ警察がこれを注意、それに従わなかったところ強引にスタンガンで撃たれた。
注意する、話をする、根気よくやめさせる、という手順を踏まずにいきなり撃つ、これが許されると思っているところに根本的な問題があるはずだ。

そういった根本的な解決を試みようとしない暴挙がまたひとつ。

テキサスの(もちろん共和党の)議員が、「警察官を近距離で撮影してはならない」という法律を提案したという。
これはもちろん、昨今たて続けに起こっている警察官の暴挙を証拠として市民に撮影されることを恐れた“警察側の対策”。
黒人を今までのように自由にいたぶれなくなることを恐れての“提案”であることは明らかで、どうして市民の代表である議員がこんなバカげた思考に走れるのかと呆れるばかりだ。

Texas lawmaker proposes bill limiting citizens' ability to record police officers
(3/27、〝The Daily Texan″)


さすがにこれには各方面から避難ごうごう、提案は取り下げられた。

Bill to limit filming of police activity is dropped
(4/10、 〝Dallas Morning News")


そんなアホな報道に呆れ果てていたころに次のあの事件が起こった。
「バルティモア事件」
4月12日、ナイフを所持していたとして拘束された黒人男性フレディ・グレイさん(25)が、護送車で警察署に移送されるまでの間に脊髄を損傷し、1週間後に死亡したもの。

拘束される際のビデオを見たが、数人の警察官がフレデイさんの体を締め上げ、その際に明らかに体に異変が起きていたのがわかる。脊髄が折れるまで締め上げる必要がいったいどこにあるというのだ?

この事件を受けて、グレイさんの葬儀のあった27日にはボルティモアでは市民による暴動が発生、夜間外出禁止令と非常事態令が発令された。警察発表によると、これまでに警官約100人が負傷、暴動に参加した約270人が逮捕された。
29日には、大リーグのボルティモア・オリオールズとシカゴ・ホワイトソックスの試合が現地で行われたが、メジャーリーグ史上初の無観客試合となった。
この様子はシカゴの各新聞でも「非現実的な写真」として一面に取り上げられていた。
大リーグ始まって以来の異常な事態に、選手たちは「奇妙な感じ」、「オープン戦のようだった」と話した。







(photo by/HUFF POST SPORTS,05/01/2015 )




そして先ほど入ってきたニュース。

黒人男性死亡は「殺人」=警官6人訴追―米ボルティモア (時事通信2015年5月2日(土)01:16)
 
【ワシントン時事】米東部メリーランド州の検察当局は1日、黒人男性フレディ・グレーさん(25)がボルティモア市警察に拘束された後に不可解な死を遂げた事件について、殺人として立件したと発表した。検察当局は事件に関与した警察官6人を、第2級殺人罪などで訴追した。
 グレーさんは4月12日、警官に拘束された後、脊髄損傷で意識不明に陥り、1週間後に死亡した。地元メディアは、護送車で移送中に突き出たボルトで頭部を強打したなどと報道していた。
 検察当局はこれに関し、警官らは護送車両に連れ込んだグレーさんにシートベルトを着用させることを怠った上、迅速にグレーさんの異変を察知して適切な措置を講じなかったなどと指摘。車両を運転していた警官1人に第2級殺人罪を適用し、他の警官も過失致死罪などで訴追した。グレーさんの拘束自体も「違法だった」とした。 


警官6人の追訴が決定したとはいえ、これですぐに全てのことが解決するはずもなく依然事態は深刻だ。