Life in America ~JAPAN編

I love Jazz, fine cuisine, good wine

大統領選・最後の追い込み

2008-10-31 10:48:58 | アメリカ生活雑感



レオナルド・デカプリオがプロデュース、ハリウッドスターたち他豪華メンバーが出演する選挙広告。“Don't Vote"(投票するな)。
これは投票に行かないと言う人たちを皮肉った広告。
「子どもの教育なんかどうでもいいんだったら、行くな行くな」
「健康保険なんて関係ないんだろ?家にじっとしてろ」
という、有名人たちの乱暴な発言が続く。
もちろん、「投票しないと何も変わらない」と逆説的に選挙を呼びかけている。


大統領選挙までいよいよあと5日。
オバマ氏は最後の勝負(仕上げ)に出た。

降雨のためサスペンデッドゲーム(一時停止試合)になっていた大リーグ・ワールドシリーズの第5戦が始まる直前の午後7時から7時半までの30分間、アメリカの主要局7局の枠を買い取って特別選挙広告を流したのだ。

実は、私の加入しているdish netという衛星放送では、「オバマチャンネル」ものがある。
1ヶ月ほど前に偶然発見したのだが、このチャンネルでは1日中24時間繰り返しオバマ氏の政策や生い立ち、ミッシェル夫人とのなれそめなどのプライベートまでが映像で流されているすぐれものだ。
前回の話ではないが、いかに幼少時代の教育が現在の彼に影響しているかがわかる。
「どんなことにも怒らなかった母が唯一怒りをあらわにしたのは、肌の色など生まれならの違いによって人が人を差別をしたときだった」
その母は、まだ50代という若さでガンで亡くなった。最後は医療そのものよりも保険の書類処理にほとんどの時間を費やし時間を無駄にした。医療制度がもっとしっかりしてさえいれば母はもっと長生きし天寿を全うできたかもしれない。その思いが彼の医療政策の根っこにある。

報道によると、オバマ氏が選挙戦に費やした総費用は歴代1位だという。
でも、これからの4年間アメリカに、いや全世界に与える経済的な影響を考えるとこれくらいの費用はお安いものだとさえ思う。

シカゴでは11月4日にオバマ氏“凱旋"ラリーが開かれる予定で、ラリー参加のチケットは即日配布終了。
しかし、チケットを持たない人たちも続々グラントパークに集合する見込みで、その数は10万人以上とも予想されている。ホワイトソックスがワールドチャンピォンになった2006年を上回る警備体制が敷かれると昨日の新聞は報じていた。

何があっても、私は行くつもりだ。
シカゴにいながら、この歴史的瞬間を見ずして何とする。
彼の第一声をこの両耳でしっかりとどめるのだ。

しかし、黒人初の大統領が現実に近づくにつれ、私のなかの不安は大きくなるばかり。
先ごろネオナチ(白人至上主義)の男がオバマ氏暗殺計画で逮捕されたように、この国にはまだまだ黒人迫害主義者に囲まれている。
そこにマケイン氏のあの「オバマはテロリストだ」キャンペーンが油を注ぎ、白人主義者たちはこの選挙に(白人の)マケイン氏が負けた時の鬱積した感情のやり場をどこに持っていくかと考えただけでぞっとする。

どうか、4年間無事でいて欲しい。それをただ祈るのみだ。
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幼児発達学 ~その1

2008-10-31 06:01:25 | アメリカ生活雑感


通学途中のひとコマ。街はすっかり秋景色。


**  **  **  **  **  **  **  **  **  **  **  **  

今期、大学で学んでいるもうひとつの科目が、“Early Childhood Development(幼児発達学)”。
ここでいうEarly Childhoodというのは、「生命誕生の瞬間から、8歳までの子ども」のことをさしている。
これをさらに、1)産まれるまで、2)Infancy(0~2歳)、3)Preschool(2~5歳)4)Primary years(6~8歳)の4段階に分け、それぞれの段階における身体、知覚、感情、言語の各発達について詳しく学んでいく。

授業は週に一度(水曜)、約2時間。
クラスは25人(うち男性一人)、ほとんどがカレッジ・リクルート、いわゆるハイスクール卒業したばかりの18~19歳。そのほか、働きながら次のキャリアのためにカレッジで学び直している人たち(22~25歳前後)や、私のように個人的興味で学んでいる人まで、いろいろだ。

このクラス、何が大変って宿題の多いこと!
翌週学ぶ項目のテキストを読んでいくことはもちろん、毎週Observation(観察)記録を提出しなければならない。
まず第1週は、「子どもの観察記録を12例書いてくること」だった。
近所に小さい子がいないので、見つけるのに四苦八苦。夕方家の前で遊んでいる子どもを観察したり、挙句の果てには近所のチャイルドケアセンターにお願いして、遊んでいる子どもたちを観察させてもらったり。

2週目は「違った観察手法での観察記録」
同じ子どもを、10分ごとに6回(1時間)観察する手法と、30分間実況中継のように書き続ける手法、2種類のレポートを提出。

3週目は「出産経験のある人への取材およびレポート」
1990年以前、以後にそれぞれ出産した人に、妊娠時のケアや出産の手法、仕事への復帰時期などについて詳細をインタビュー。90年前後では、prenatal care(妊婦・胎児ケア)などでどのような違いが見られるかを探るのが目的。

4週目からは12週目(クラス終了)までは毎週、幼児の観察記録が必修となった。
4~7週は、「infant(3ヶ月~30ヶ月)」
8~11週は、「Preschooler」(30ヶ月~5歳)
12週は、「School Age Child」(5歳~8歳)

それぞれ、身体、行動、言語という項目についてどんな小さな事柄もつぶさに観察して記録していかねばならないのだが、それがはじめは苦痛でたまらなかった。
でも何度か続けていくうちに、テキストだけではわからなかった事柄が実物を見て実感できるようになり、だんだん楽しくなってきた。
また、幸いにも日本人の友人が3人のお子さんを持つ友だちを紹介してくれ、(しかもこの子たちは見事にこの3段階に合致する!)その方も快く私の「観察対象」を引き受けてくださって大助かり。
そのうえ、人見知りのない超アクティブな性格の子たちで私にとっても観察のし甲斐があるので、近頃では私も会って遊ぶのが楽しみになってきた。


そんなこんなで、毎週火曜日の夜にはテンパっている私。
でも、この数ヶ月で本当に多くのことを学ぶことが出来た。


そもそも私がこのクラスを取ったのには二つの理由があった。
ひとつは、子育てや教育関連の記事を書くときの、専門知識のバックアップが必要だと感じていたこと、そしてもうひとつは、Pちゃんだ。
彼には、子ども時代のトラウマがあるという。
1歳にもならない頃に実の父親は家を出て行き、そのあとは働きに出た母親の替わりにその母(お祖母ちゃん)の元で、“邪魔にならないように”ひっそりと過ごした幼少時代。しかも、母親はいつもヒステリックでPちゃんは叱られおびえてばかりいたという。
彼が今でも自分に妙に卑屈だったり、何をやっても自信が持てなかったり、人の言動に過剰反応する(傷つきやすい)ということの裏には、この幼少期が大きく影響しているのは間違いない。
それがいかに心の中に深く根を下ろしているのかをちゃんと理解し、対処のヒントを得たかった。
そして、学べば学ぶほどそれが痛いほどわかってきた。


「幼児の脳発達に一番大きく影響を及ぼすのは、特別な意味を持つ大人(親や世話をしてくれる人)とどれほど感情的な絆をもてるかどうかである。親(またはは世話をしてくれる人)から温かく、好意的なケアを受けた赤ちゃんは、その人たちを信じるようになる。その結果生まれる絆は、文字通り人間の脳をストレスやトラウマから守る役割を果たす」(Gunnar,1996)

「虐待され無視された赤ちゃん、欲求に反応してくれる保育者がいない赤ちゃん、または何かの理由で世の中が信頼するに足りないと感じる赤ちゃんは、感情の葛藤をポジティブに解決することが出来ない」(Erikson)


つまり「3歳までに大人からどれほどの愛情を受け、どれだけ信頼関係を気づけるか」が、その人のその後の性格形成や生き方に大きく影響してくるという。
一人歩きを始めた赤ちゃんはよちよちと「冒険」を始めるが、そこには信頼できる親の存在が必ず必要だ。
歩いては振り返り、親の存在を確かめてはまた歩き出す。
言い換えれば、「信頼できる確かな存在や戻れる場所があるという安心感が、その子を未知の世界へ勇気を持って羽ばたかせることができる」ということだ。


そんなことを日々いろいろ考えていると、近頃では誰を見てもこの人はどんな幼少期を過ごしたのだろう、とまず考えてしまう。

よく笑う人、会話が跳ね返ってくる人、滅多なことではたじろがない人、人の目を見ないでしゃべる人、人の話を聞かない人、言うことがいちいちネガティブな人、人一倍がんばっているのに「自分はだめだ」という思いにとらわれている人・・・

「親の顔が見たいもんだ」と昔の人はよく言ったものだが、これは良くも悪くも、的を射ている。
どんな性格も、その人が幼い頃に親や保育者とどんな信頼関係を築けたかどうかでほぼ決定付けられるのだ。

改めて、しみじみと親の存在の重さを感じる。

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ハロウィーン近し

2008-10-26 10:02:25 | アメリカ生活雑感
お隣の町Batavia(バタヴィア)で行われた“Bat(コウモリ) Festival”を覗いてきた。
もちろん、1週間後に控えたハロウィーンの前哨戦。
アメリカの子どもたちはハロウィーンが何よりの楽しみとあって、気合が入っていてかわいい。
というわけで、今回は写真集を。

 パレード開始!




女の子はやっぱりプリンセスがお好き


コスチュームコンテスト。「サイエンスフィクション」の部

 こちらは「スーパーヒーロー」の部


自信なさげなスーパーヒーロー(3歳)




今日は寒さが骨身に沁みる・・

オバマ氏はプリンセスと仲良し


「愛国家」の部に登場した3歳の“Joe the plumber(配管工ジョー)”
このジョーこそ、オバマvsマケインのディベートで一躍に有名になった
今アメリカ中で知らぬ者のいない有名人。

 ゲイシャ・ガールだそうです・・






何の生き物かと思ったら・・赤ちゃんが入っていた
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Bluesナイト

2008-10-26 08:17:35 | アメリカ生活雑感
お友達のKuniさんが間もなく日本に帰国することになり、シカゴの想い出にブルースを聴きに行く。
シカゴに6年も滞在していたのに、ブルース・バーへはついぞ行かなかったというから、これが最初で最後。意外といつでもいけると思ったらそんなもんかもしれない。
まぁ、これから来ることもあるだろうけれど。

この日は、Kuniさんとお友だちのやっちゃん、Mさんと4人で向かったのは“Blue Chicago”。
ここでは毎週水曜日、日本人ギタリストのShun Kikuta(菊田俊介)が出演している。

 

このクラブはダウンタウンからも近く、周りには“House of Blues”や“Hard Rock Cafe”などもあり一番気楽に行きやすい



仕事帰りのビジネスマンがちょっと一杯ひっかけにくる、そんなお気軽なムードが店内に漂う


奥に細長い店の一番奥のステージで、毎夜ブルースライブが行われている。
右端がShun(ギター)。彼は9月の始めにツアーにでかける車がハイウェーで横転し大怪我を負ったが、奇跡的にわずか1ヶ月で復活をとげた。



10月31日からは日本各地でツアーとのこと。
東京はJIROKICHIにもゲスト出演するらしい。
詳しくはHP(http://www.shunkikuta.com/japanese/)で。
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「トウキョウソナタ」

2008-10-21 02:17:07 | movie
日曜日は、久々に映画を見に行った。
友人のライターTさんが主催する、恒例の「シカゴ(日本人)映画の会」というオフ会で、今回見に行ったのは今年のカンヌ映画祭で「ある視点賞」審査員賞に輝いた、黒沢清監督の話題作「トウキョウソナタ」

東京に住むごく普通の4人家族。
一緒に暮らしていながらお互いのことを実は何もわかりあっていない、というこれもまたよくある家族の姿が怖いほどリアルに描かれている。
父はある日突然リストラに合い、それを妻にも言えず毎日スーツに着替えて街をさまよう。
やることの見つからない大学生の長男は「世界平和のために」アメリカ軍入隊を志願。家を出て行く。
小学生の次男は父親にダメだといわれたピアノを秘密で習い始める。
そして、それらを毎日空気のように見ながら何をするというわけでもなく黙々と食事を作る無色透明の母。

これが日本の家族のよくある日常だよと言われれば、日本人ならずともちょっと引いてしまうかもしれない。
外国の人たち、もしくは外国生活が長い日本人からみればとてもネガティブでいらいらするかもしれない。
しかし私には、クビになったことを家族に告げられない男の空虚なプライドも、それを知っていながら何も聞かず黙っていようとする妻の気持ちもよくわかる。
それは私が良くも悪くも、身も心も100%日本人だからだろう。

映画鑑賞後に行われた歓談会でのみなさん(今回の参加者は男性2人を含む11人)の感想はそういう点でも面白かった。

数人の女性のひとこと目は、これだった。

「父親はどうして(リストラされたことを)正直に言わないのかしら?」

あの、それを言うと映画が終わってしまいます
武士は食わねど高楊枝。言えないのが日本のマッチョ男の最後のプライドなのだよ。
一方、どうして言ってくれないのかしら、ともんもんとする妻もまた、典型的な日本女と言える。「言ってくれない」関係にしてきたのは誰のせいでもない、自分たちであるということに気づいていない。
そんな親を見て育った子どもたちは、結局は親を頼りとせず自分のことは黙って決断するようになる。
だからこの映画が成り立つわけだ。

一方、参加者の男性は揃って「あの父親の気持ちが痛いほど良くわかる」との感想だった。
女はぎゃんぎゃん泣きわめくことが出来る生き物で、
男はいつの世も、弱みを見せられない生き物ということなのだろう。

私はむしろ、ソシオロジー的視点から見てこのあたりの感情は欧米人にはどう映るのだろうという興味が沸いた。
これは日本映画だからありえる展開だったのか?
日本の社会や家族だけが何かに蝕まれているのか?
しかし、この映画のカンヌでの評価から察すると、家族のこの内なる“不協和音”は何も日本だけの現象ではないのかもしれない。
国それぞれに社会事情は違えども、実は何もかも分かち合えてハッピー(ハッピーかどうかも疑問だが)な家族などというものは存在しないのではないか、と。
言わないことによる幸せ、という選択肢もあるのではないか、と。


ストーリー的にはちょっと、展開に無理を感じたところは多々あったが、役者陣がこれを全て補った気がする。
中でも、圧倒的な存在感、それも“無力な存在感”を演じきった香川照之の演技は絶賛に値する。この人は何をやらせても確実にポイントをついてくる役者だ。
また、その妻を演じたキョンキョンもその透明な感じが役にはまっていたように思う。

ホラー映画の巨匠として知られる黒澤清監督らしく、「どのシーンにもホラーが隠されている」(香川照之)ところがこの映画の真骨頂だろう。。


もうひとつ面白かったのは、周りのアメリカ人の反応。
毎回映画館にくると、アメリカ人は芝居を見るように「Oh!」だの「My God!」だの悲鳴を上げたり、大声でげらげらわらったりう・る・さ・い!!
昨日は特にうるさかった。
隣の女性は、特に父親が子どもを殴るシーンが大層ショックだったらしく、そのたびに顔を背けていた。(「奥さん、こんなん当たり前でっせ」と言ってあげたくなったが。)
アメリカでは手をあげたら即虐待で逮捕されから、このようなシチュエーションは全く想像できないのだろう。
うしろのおっさんは、ちょっとしたことですぐに笑い声をあげ、それが気に障るほどうるさい。
日本映画通なのだろう、役所広司が出てきたとたんに「あ~あ~」とこの人知ってる!と言わんばかりの反応を見せつけてくれた。
そのわりに映画の最後では思い切り鼻をかんでいた。まったく忙しいおっさんや。

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ソシオロジー ~その2 ~ “A Class Divided (ふたつのクラス)”

2008-10-17 07:32:02 | アメリカ生活雑感
大学での今セメスタも半分がすぎ、いよいよ架橋に入ってきた。
「幼児発達学」クラスでは今週、Midterm、いわゆる中間テストがあり、珍しくここ2週間は家にこもりきりだった。
別にこのトシになって成績うんぬんはどうでもいいのだが、なんだか日本人の性分とでも言うのか受けるからにはカンペキに理解してのぞみたい。
いくつになってもテストはいやだが、現在の理解度を復習するにはいい機会だ。
でも。こういうときに限って締め切りの仕事がふたつ重なってしまって、結構きつかった・・・

ともあれ、中間テストも無事終わりほっと一息ついたところ。

もうひとつの「ソシオロジー」は、今までのレクチャー方式から一転、毎回決められたテーマを読み、次のクラスでディスカッションをするという方式に変わった。宿題は全てネットに掲示され、レポート提出も全て紙ではなくネットで行ういわゆる「ハイブリッド形式」だ。時間も短縮できるし、私のような人間にはとてもありがたい。

先週のテーマは、「(性別や人種などによる)差別」
事前に見ておく課題として「A Class Divided」というWebプログラムが与えられた。

これは1968年に、3rd grade(小学3年生)のクラスで実際に行われた“差別教育”の模様をドキュメンタリーにしたもの。

舞台はオハイオの、住民の100%が白人という小さな田舎町。
時まさしくマルティン・ルーサー・キング牧師が暗殺され、世の中が人種差別の波に揺れ動いていた。そんなとき、地元で小学校の教師をしていたジェーン・エリオットは、子どもたちにどうやって人種差別の愚かさを身をもって教えようかと悩んでいた。そして、ある方法にたどり着いた。

彼女はある日、クラスを二つのグループに分けるという実験を提案する。
「青い目のグループ」と「茶色い目のグループ」。
「青い目は茶色い目に比べて優秀なのです。今から茶色い目のグループは青い目のグループと仲良くしてはいけません。休み時間も外の遊具を使ってはいけません。それから、ウォータークーラーの水は直接飲まずに自分専用の紙コップだけを使うように」
はじめは面白がって始めた子どもたちに、明らかに変化が現れ始める。

優越感にも似た感情に躍る青い目グループ。
奈落に突き落とされたような屈辱を味わう、茶色の目グループ。
翌日。先生はこう告げる。
「昨日私が言ったことは間違いでした。実は茶色い目のほうが青い目よりも優れていました」
そして、子どもたちに昨日とは全く逆の状況で生活をさせる。

その日の終わりに、先生は子どもたちを集めて感想を聞き、こう言う。
「目の色や皮膚の色で差別したりされたりするのはいいことだと思う?」
「NO!!」と大きく首を振る子どもたち。
わずか数時間だけでも、子どもたちにとって差別し、される経験したことはとてつもなく恐ろしい記憶になったのだ。

そして14年後。
クラスの同窓会が行われ、成人した当時の子どもたちが一堂に会して当時のビデオを鑑賞し、そのときの気持ちや今彼らの生活にいかに影響を及ぼしているかを語り合った。

100%白人の田舎の町では、今も黒人(有色人種)に対する根強い差別感情がある。しかしこれは、彼らのせいではない。見たこともない人種を見たら、大人も子どもも関係なくたじろくものだ。
この子どもたちのように、しかるべき年齢に正しい教育を、正しい教育者から教わることがいかに大切かを実感させてくれるとてもいいプログラムだった。

このプログラムにはその後、同じ実験を大人にも行った様子も収められており、それも興味深い。

この番組は以下のWebサイトから見ることができる。(英語のみ)
http://www.pbs.org/wgbh/pages/frontline/shows/divided/


エリオット女史は、教師をリタイア後、全世界を回って講演活動を続けており来日経験もあるという。
そのときのビデオが販売されている可能性もあるので、是非見つけて全ての人たちに見て欲しい。
日本の小学校すべてにこの教育が行き届く日が来ることを心から祈っている。

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OBAMAの強さの真髄を見た。

2008-10-16 15:15:01 | アメリカ生活雑感
ついさっきまで、第3回目の大統領候補ディベートに釘付けになっていたところだ。

過去2回のディベートで完全にオバマに離されたマケインは、今日は最後の攻撃に必死だった。というより、近頃の彼らのやり方は目に余るものがある。
まともな政策ディベートでは勝てない上に、この金融危機もオバマの経済政策を推す力となって支持率は離される一方。そこでやつら(共和党)は汚いネガティブキャンペーンに打ってでたのだ。

「オバマ氏はテロリストとつながっている」
「オバマのミドルネームはフセイン。彼はアラブ(モスラム)だ」

もちろん(名前は本当だが)根も葉もないウソである。
それを、よりによって次期大統領を争う相手陣営が恥かし気もなく各地の遊説で、そしてFOX(共和党寄りのTV局)もこぞって流し始める始末。

マケインのある遊説先で、「オバマはアラブでしょ?彼が大統領になると思うと私・・・もう怖くて怖くて耐え切れないわ」と声を震わせる女性や、「テロリストが大統領になる国で子どもたちを育てられない」「テロリストは殺せ!」とわめく男性が映し出されていてぞっとした。
どうしてやつらは流された情報を、自分でことの真偽を確かめようともせずそのまま受け取るのか。
頭悪すぎてむかっ腹がたつ。


今日のディベートでは、奇しくも司会者が近頃のネガティブキャンペーンを含むお互いの選挙キャンペーンについてコメントを求める一幕があった。
そこでも再び、テロリストとの関係に言及するマケイン。
政策に関係のない中傷に辟易としていたオバマ氏もはじめてこれに言及、きっぱりと根拠を挙げて否定していた。
きっと、こんなことに時間を割くこと自体ばかばかしいと思っていたに違いないが、そうでもしないと本当に信じ込んでいる人たちがかなりいることは事実なのだ。

さて。
今日は、とかく「知的」「カリスマ的」と言われるオバマ氏のスピーチがどういう風にインテリジェントなのかによくよく注意を払って聞いてみることにした。

そして気づいたこと。
まず、彼の話すスピードや声、抑揚のつけ方やポーズのとり方が、聞いている側にとても安心感を与えるということだ。
普段私は、話している人の顔(画面)をじっと見ながら必死でついていかなければならないのだが、彼の話は背中で聞いていても何が論点なのかがとても明確。話の筋そのものが絶対にぶれないので、心に余裕を持って聞いていられるというわけだ。
一方マケインは、質問されたことの答えをまさぐりながらしゃべっているため、聞き手を不安にさせる。何が言いたいのかがさっぱりわからない。そこへきて、途中で相手の攻撃をねじこもうとするのでよけいに話が飛んでいってしまい、元に戻らない。
典型的な“じじいの長話パターン”だ。

次に、オバマ氏の話には“10年後の未来図”が見えてくる。
今、教育をただせば、
今、自国で資源を確保できれば、
今、全ての国民に健康保険を与えられれば、
次の世代にはアメリカに国力がみなぎるだろう、と。

そして、オバマ氏はとても的確なワーディングをしてくる。
今日、彼が使った言葉で一番感銘を受けたのが、この単語だ。

“reprioritize”: 再び優先順位を付け直す・・・とでも訳せばいいのか。
プライオリティー(優先順位)の動詞形、“prioritize (優先順位をつける)”に、re(再び)をつけた形なので、多分こういう意味だろう。

「我々がまずやらなければいけないことは、物ごとの優先順位をつけ直すことだ」

彼が比較的冒頭で述べたこの言葉が、その後の彼の全スピーチの芯を貫いていた。
いい話し手(いい表現者)は芯がぶれないことだと常々思っていたが、オバマ氏がここまで勝ち上がってきた強さはここにあるのだと、今日は改めて実感した。



だめだこりゃ
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衝撃の朝

2008-10-13 13:34:09 | アメリカ生活雑感
ある朝、新聞を取りに外に出てわが目を疑った衝撃の事実。

お隣の庭先にこんなものが・・・








・・・恐るべきことに、彼らは共和党派だったのだ!!!


以前から彼らが敬虔なキリスト教徒だとは知っていたが、ペギー(奥さん)がちらっと「ゲイ・マリッジは許せん」というようなことを言っていて、以来ススーっと引いてしまっていたが、やはりかなりの“右寄り”キリスト教徒だったのか。
ペイレンのアボーション(中絶)反対ファンダメンタリスト思想に賛成しているのかも。
もしくは、このあたりに典型的な「白人至上主義」レイシストの可能性も無きにしも非ず、だ。
それ以外にマケイン・ペイレンを支持する理由が見つからない。



これを見て以来、気分が悪いのでふたりともあまり左(お隣の方向)を見ないようにして過ごしている。

でも日がたつにつれ、何か反撃の方法はないかとふたりであれこれ考えて結構楽しんでいる。(想像して喜んでいるだけだが)


その1) うちにレンボーフラッグを掲げる(←ゲイのシンボル)

その2) 負けじと「I'm voting That One」サインを掲げる。

その3) 一晩のうちに、「OBAMA」サインに摩り替えてやる(←Dedeからの提案)

その4) マケインサインのとなりに、OBAMAの等身大ボード人形をこっそり置いてやる。


さて、早く手を打たなければ!


**  **  **  **  **  **  **  **

実はそんなことをやってる暇がないほど今はテンパっている。
来週は「中間テスト」があるのでなんだかここのところテキスト読みに明け暮れている。
ただでさえ読むの遅いのに、知らん単語ばかりでもう気が狂いそうや。

こんなことやってる場合じゃないって





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“That one”

2008-10-10 04:02:08 | アメリカ生活雑感
10月7日に行われた第2回大統領選挙候補者討論会での、共和党候補マケイン氏のある発言が物議を醸し出している。
そう。確かに彼は言った。
私もテレビで見ていて、少し違和感を感じたがまさかこれほど大きな問題になるとは・・・。

ブッシュとチェイニーが策定したエネルギー法案をめぐってマケイン氏が吐いた言葉。

"You know who voted for it? You might never know: that one, you know who voted against it? Me."
(誰がこの法案に票を投じたか?知らないだろうけれど、コレだよ。誰が反対したか?この私だ。)

この“THAT ONE”(コレ)とはもちろん横にいたオバマ氏をさす。
まるで人を見下したような言い方もさりながら、横のオバマ氏を見もせず指でポイッとさしたポーズも見ている側を不快にさせた。

この2語の失言を騒ぎ立てるメディアに対して、オバマ氏サイドはいつものように「政策には何のかかわりもないこと」と冷静な態度をとっている。
しかし、黒人層の間では、これを深刻なレイシズム(人種差別主義)と受け止める声が沸きあがっている。今後、大きな火種に発展する可能性も秘めている。
もともとshort temper(かっとなりやすい)マケイン氏の本性が、ココのところの形勢不利で暴発してしまったわけだが、民主党にとっては思わぬタナボタ失言となった。

でも、発言からわずか2日とたたないうちに早や、こんなものが発売になっているのには爆笑してしまった。


「“コレ”に投票します!」Tシャツ



       
       ちなみにレディースもあります。


ほかにもいっぱいあって、もう大変なことになってます。


これは買っちゃうかもしれない・・・。
日本向けに、販売代理店いたします(笑)

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ノーベル賞はなんのためにあるのか?

2008-10-10 03:25:25 | アメリカ生活雑感
日本人物理学者3人が物理学賞を同時受賞したというニュースを知った日、Pちゃんが聞いてきた。

「カビボって日本人の名前?」

カビボ??どう考えても日本人の苗字とは考えがたい。
ちがうと思うよ、と答えてその場は終了。

しかし、数日後その意味がわかった。
今回受賞した小林・益川両氏の理論の基礎をつくったとされる、もうひとりの人物がローマ大のニコラ・カビボ教授だったのだ。(正解はイタリア人でした)

73年に「小林・益川理論」が発表される前、63年にカビボ氏はこの理論の基礎ともいえる理論を提唱していたというのだ。物理の世界では「カビボ・小林・益川理論」と呼ばれることも多いという。
そこでようやく、Pちゃんが「カビボも日本人か?」と聞いてきたわけがわかった。


今回の「日本人独占」にどっこいだまっちゃいないのがイタリアの物理学会。
同理論の基礎を築いたカビボ氏が選ばれなかったことに猛烈に抗議しているらしい。
正直またか、という感じでうんざりだ。
「どっちが先だ」論はいつもめでたい気分に水をさす。田中耕一氏(2002年・ノーベル化学賞)のときもどっかの国が抗議をしていた。
先に発表していながら無視された(と思っている)人にとっては苦々しいことだろう。でも周りが「日本に盗まれた」などというのは少し、いやかなりどうかしている。
もしかして、カビボ氏本人が一番迷惑しているかもしれない。(今のところ本人からのコメントは出ていないのでなんとも言えないが)

スウェーデン王立科学アカデミーも、明確な理由を毅然とした態度で示さないといけないと思う。
また、物理や化学の世界では、今回見られるように多くの研究者が同じ理論を切磋していくという研究方式が多くとられている。そうなると「1分野3人まで」という制限がある限りこういうごたごたは今後も続いていくに違いない。

ノーベル賞をいただくのは研究者としてとても名誉なことだろうが、そもそも彼らはそれを目的に研究しているわけではないのだ。
興味があるから、もっと知りたいから、もっと新しいことを発見したいから、その純粋な好奇心で、コツコツと人生をかけて取り組んでいるのだ。
そういう研究者の気骨とプライドが、こういうつまらないゴタゴタによって踏みにじられるのだけは許せない。


益川氏が「(受賞を)たいしてうれしくない」とコメントした裏側には、こんな複雑な思いがあったのではないかと個人的には思えてならない。

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