Life in America ~JAPAN編

I love Jazz, fine cuisine, good wine

変わらないけれど恐ろしい日常。

2020-05-28 00:20:21 | ニッポン生活編
気が付いたら緊急事態宣言も解除になり、世の中は少しずつ動き始めた様子。
とはいえ、田舎はそんなにピリピリしていなかったのであまり変わったという実感はないのだけれど。
 
徳島県はコロナ感染者が5名と全国でも低く抑えられている。
新規感染者もここ1か月報告されていない。
よく抑え込んだ、がんばった、といいたいところだが、なんだかもやもやした気持ちだけが残る。
 
最初の感染者となってしまったのは、不幸にもあの「ダイヤモンドプリンセス号」に乗っていたご夫婦。
陰性と診断され徳島に帰ったあと、奥様だけが再び陽性と診断され病院に隔離入院した。
可愛そうに、老後の楽しみにやっと贅沢をして夫婦で出かけた思い出の旅が悪夢となったばかりか、ご夫婦の家には嫌がらせが途絶えず、ついに県外に引っ越されたという。
第2、第3の感染者はクラスターが発生した京都の大学から帰省した学生。狭い徳島ではすぐに特定され、その家族もさんざん嫌がらせを受けて引っ越してしまった。
第4の感染者は兵庫県の人で、持病の治療のため徳島市内の病院に通っていて感染が確認されたあと、徳島から兵庫に追い返されてしまいその後死亡した。
第5の被害者は関東出張から戻った派遣会社員だった。すぐに家族や派遣会社も特定され、非難の標的にされてしまった。
 
うわさに聞けば、全員が転居だという。
コロナの恐ろしさはむしろ、この「村八分根性」であり、それが怖さに誰も具合が悪くても検査にいけないのではないか、とさえ思われる。
徳島県も数の少なさを競っているのか、「保健所に検査を依頼したら断られた」という人が周りに結構いたことに驚く。
「謎の肺炎患者」が、市外の病院に多く転院させられているという噂も、医療関係者から漏れ伝わってきた。
なんのための検査で、誰のために戦っているのか、と憤りを覚える。
 
政府はのろのろと10万円だ、アベノマスクだと騒いでいるが、我が家にはまだマスクは届いていない。
ドラッグストアではマスクはもう普通に店頭に並んでいる。
 
もがき苦しむ中小企業やフリーランス、アルバイト先を失った学生らに対して救いの手は遠く、なのに彼らの「真面目なほどの自粛」にはすがって数だけは欧米諸国に比べて「抑えられた。成功だ」と自信をのぞかせる安倍内閣。
アメリカの友人などから「日本はどうしてそんなにうまくいったのか」と聞かれるたびに、「これだけは言っておく。決して政府のおかげじゃないよ。国民性のおかげだから」と、念を押す。
だってそうだもの・・・。
 
自粛が解け、人々が蠢き出し、第2の波がやってくるのか。
それは誰にもわからない。
自分の身は自分で守るしかない。
そういう国なのだとつくづく思い知った。
 
それにしてもよく、革命が起こらないよね。
フランスならとっくに革命おこって首相は夫婦そろってギロチン台だろうに。
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衛生阿波の鳴門・コロナ対策の段

2020-05-09 18:40:26 | ニッポン生活編
普段と何も変わらないGW、後半のすごしかた。
 
徳島で唯一、毎日人形浄瑠璃の定期公演をしている「阿波十郎兵衛屋敷」のビデオ撮影に出かけた。
この場所では舞台デビューからこのかた、月に1~2度は定期公演に出演させていただいている。
自粛が続く中、がんばって公演を続けていたのだけれど、「コロナウィルス感染非常事態宣言」を受けてついにしばらくのあいだ休館を余儀なくされてしまった。
 
しかし、怖いのはコロナではなく、いったん定期公演が途切れてしまうことによる出演者たちのモチベーションの低下。
これは阿波踊りにもいえることで、実際に来年まで活動を休止した阿波踊り連もあるほどだ。
それほどまでに、表現者が表現の場を失うということのダメージは計り知れないほど大きい。
 
晴れて再開するその日まで、出演者たちとの絆とモチベーションを保っていたい、という佐藤館長の熱意で始まったのが、「#おうちで人形浄瑠璃」という新しい動画サービス。
阿波十郎兵衛屋敷ホームページ (http://joruri.info/jurobe/ )から3日に一度ほど、人形浄瑠璃を身近に楽しんでもらええるようなコンテンツをアップしている。
そこに私も一枚、かませてもらえることになった。
 
「傾城(けいせい)阿波の鳴門」をもじった「衛生阿波の鳴門・コロナ対策の段」という短い動画を撮影。
(もちろん、最少人数でマスク、手洗い、除菌、ソーシャルディスタンス、換気を徹底して撮影に臨んでいます。)
 
<あらすじ>
大阪、玉造のとある屋敷。女房のお弓が縫物をしていると、幼い巡礼の娘、お鶴が訪ねてくる。「ちょっと休んでいきなさい」との声に、喜んで上がろうとする女の子。お弓はあわてて制止し、まずしっかり手洗いするようにと諭す(#手洗いの徹底)。座敷にあがると二人でマスクをつけ(#マスク着用)、少し距離を開けて話を始める(#ソーシャルディスタンス)。実はお弓は理由あって追われる身。徳島に残してきた一人娘のことがずっと気がかりだった。我が子と同じ年頃のその娘に両親の名を問うと「ととさんの名は十郎兵衛、かかさんはお弓と申します」。「おお、疑いもない我が娘」と親子の名乗りをしようとしたが、いま名乗ってはこの子を危ない目に合わせることになる、と泣く泣く思いとどまり、徳島に帰って両親の帰りを待つようにと娘を帰す。しかし「コロナが蔓延する今、一人で人ごみに行かせては危ない。連れて戻ろう」と思い直し、お弓はお鶴の後を追うのだった。・・・
 
 
お鶴ちゃんもマスク姿
 
 
かくして出来上がった傑作がこちら。
 
 
 
コロナが収束したあかつきには、たくさんのお客様に来ていただき、人形浄瑠璃の世界に生で浸っていただきたいと切に願っています。
 
自分にやれることを精いっぱいやるだけです。
 
 
Comments (2)
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