Life in America ~JAPAN編

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グローバルウォーミングと戦うサムライ

2007-03-27 06:08:24 | movie
今年のオスカー、2部門(最優秀長編ドキュメンタリー賞、最優秀オリジナル歌曲賞)を獲得したドキュメンタリー映画『An Inconvenient Truth (不都合な真実)』(2006年)を、今日やっとDVDで見ることができた。

この映画は、クリントン政権の副大統領(1993年~2001年)にして2000年の“疑惑の”大統領選でブッシュに惜敗した(ことになっているが実は勝っていた)アル・ゴア氏が半生をかけて取り組んできた地球温暖化に対する啓蒙活動を、プレゼンテーション方式で綴ったドキュメンタリーである。
映画が始まるや否や、Pちゃんとふたり100分間ひとことも聞き漏らすまいと画面に釘付け状態になった。それほど完成度の高い、“one of the most impressive movies in these years”と宣言できるドキュメンタリーだった。

この映画のすばらしいところは、
1.ゴア氏以外はまったくしゃべらないという徹底したプレゼン方式と、それを十二分に引き出すカメラワークと見るものを飽きさせないビジュアル・スライドショーの迫力。
2.科学的データに基づく有無を言わせない“真実”に裏付けられた内容。
3.そしてなんといっても、100分間しゃべり続けるゴア氏のpersuasive speechのど迫力。当たり前といえばそうだが、これぞまさしくアメリカ大統領になってしかるべき人の演説。
といったところ。

横で見ていたPちゃんは、真実を見極めようとするゴア氏の徹底した姿勢にサイエンティトとして共鳴・感動していた。
「学者にとってもっともやっかいなものは、“beleif(信心)”のみを主張し“evidence(根拠)”を語ろうとしないやつらだ」がPちゃんの口癖。数十年も前から科学者たちが地球温暖化を指し示すれっきとした科学的evidenceを提出し警鐘を鳴らしていたにもかかわらず、アメリカ政府はいろんなへ理屈をつけてはこれを無視し続けた。そして、あのハリケーン、カトリーナを招き入れたのだ。
Pちゃんは映画を見ながらかなり勢いづいたようで鼻息が荒い。
「世の中には2種類の愚か者がいる。“地球温暖化は存在しない”という人、そしてもうひとつは“地球温暖化はあったとしてもそれは人類のせいじゃない”という人。後者の方が己のbeliefに固執しているぶん話にならないから、ずっとたちが悪い」

ゴア氏は、このたちの悪い魑魅魍魎のなかでサルでもわかるような平易な言葉と例を挙げて懸命に説得を続け、あきらめずに戦い続けた。その孤独な戦いがここにあった。
地球温暖化を認めようとせず京都議定書に批准しなかったアメリカで、温暖化に警鐘を鳴らし戦い続けたサムライがいたことに、アメリカもまだまだ捨てたものじゃないと思った。と同時に、アル・ゴアよりも、サル以下のブッシュを大統領にしてしまった2000年の選挙が、いよいよ悔まれてならない。

さて、我が家での温暖化対策はというと、

・ 車は所有せず、公共機関やシェアカーを使う。(二人の生活パターンからしてここでは必要なし)
・ 消費電力の少ない照明器具を使う。
・ こまめに電源を切る。
・ 買い物はマイバッグ持参する。



この映画を見て、さらに意識が高まったのは言うまでもない。


*日本での劇場公開予定
:http://futsugou.jp/theaters/index.html
 絶対に見逃してはいけない作品です! 
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2 Comments

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しつもーん (KKSF)
2007-03-28 15:23:49
ねえねえSHOKOさん、ちょっと質問です。

この映画がアメリカで公開されたのは2006年夏頃ですよね。
その頃、アメリカの一般人の世界っていうのか、いわゆるその辺の巷では、それほど大きな話題になっていなかったですよね。確か・・・。
私もタイトルくらいは見た記憶があるけど、日本で公開されて大騒ぎになってから『見ておけばよかった』と気づいたくらいの扱いだったと思うのです。

こーいうのも、アメリカ・コマーシャリズムによる陰謀なんでしょうか?どう思います?
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錦の御旗とことんやれ (文理両道新明治維新)
2024-02-29 11:30:35
最近はChatGPTや生成AI等で人工知能の普及がアルゴリズム革命の衝撃といってブームとなっていますよね。ニュートンやアインシュタインの理論駆動型を打ち壊して、データ駆動型の世界を切り開いているという。当然ながらこのアルゴリズム人間の思考を模擬するのだがら、当然哲学にも影響を与えるし、中国の文化大革命のようなイデオロギーにも影響を及ぼす。さらにはこの人工知能にはブラックボックス問題という数学的に分解してもなぜそうなったのか分からないという問題が存在している。そんな中、単純な問題であれば分解できるとした「材料物理数学再武装」というものが以前より脚光を浴びてきた。これは非線形関数の造形方法とはどういうことかという問題を大局的にとらえ、たとえば経済学で主張されている国富論の神の見えざる手というものが2つの関数の結合を行う行為で、関数接合論と呼ばれ、それの高次的状態がニューラルネットワークをはじめとするAI研究の最前線につながっているとするものだ。この関数接合論は経営学ではKPI競合モデルとも呼ばれ、様々な分野へその思想が波及してきている。この新たな哲学の胎動は「哲学」だけあってあらゆるものの根本を揺さぶり始めている。どこか日本らしさの感じられる多神教的なものへの回帰とでもいうべきなのだろうか。
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