Life in America ~JAPAN編

I love Jazz, fine cuisine, good wine

本場の”シカゴブルース”を自宅に呼んじゃう、春の大ポトラック会

2014-05-25 17:41:26 | アメリカ生活雑感

郊外に住んでいると、わざわざシカゴ市内に出かけていくのもひと仕事、それにミートの試合やなんやと予定が忙しい子供とスケジュールを合わせるのも一苦労、それなりの“行く理由”がないとなかなか腰が上がらないもの。
しかも、たまには音楽でも聴きに行きこうと思っても何をどう選んでいいのかわからない。
実はブルースクラブやジャズクラブなんて、一度も行ったことないのよねー。・・・・郊外妻友達はみんな、普段から同じような感想をもらしていた。

そこで。
この連休を利用して、ある企画を実行することにした。
題して、「本場の”シカゴブルース”を自宅に呼んじゃう、春の大ポトラック会」
「行けぬなら 呼んでしまおう ホトトギス」という、このものすごい企画、私たちがいつもやっているポトラック(持ち寄り)パーティーに、シカゴのブルースマンを呼んで、おうちでミニライブをやろうじゃないか、という何ともおいしいイベントだ。

さて、誰を呼ぼうか。
何でも食べられて、和食好きで、しかも常々私たちのポトラックに興味を示していたシカゴブルースマン、マシューに何気なく話してみると、これが大乗り気。ギャラもお友達価格にしてくれるという。
そうと決まったものの、お互いのスケジュールが合わず、季節も極寒の冬になり・・延び延び状態。
しかし、ようやく5月なら空いているという連絡をもらい、彼の相棒ともいえるピアニストのジョニーを誘っていよいよ実現の運びとなった。

マシュー・スコラー(Matthew Skoller)は、シカゴを代表するハーモニカプレイヤー。自らのバンドを率いてシカゴの有名ブルースクラブや世界のフェスティバルなどで活躍中。
ジョニー・イグアナ(Johnny Iguana)はシカゴで今一番忙しい、ブルースピアニスト。23歳でジュニア・ウェルズのバンドに抜擢された実力の持ち主で、多くのグラミー受賞CDに参加している。
(※二人が参加しているアルバム、”Chicago Blues:A Living History”は、2010年のグラミー賞ベストブルースアルバム賞ノミネートされている)
このふたりとは去年一緒に青森~東京に行ったので、性格も良く知っているし気が楽だ。


ポスター作ってみた

タウンハウスの我が家ではとてもじゃないけれど大人数のお客さんをもてなすには狭すぎるので、お友達のひろぽんのおうちでこのパーティーをさせていただくことに。
彼女のおうちは、広くてとーっても心地いい。しかも、ピアノがある。でもって、みんなが集まるにもちょうどいいロケーションなのだ。
このパーティにはマシューとジョニーの奥さん方もパーティーにご招待することにした。
奥さんの普段の支えがあってこそのミュージシャン。彼女たちにも感謝の意を込めてぜひ一緒に私たちといい時間を過ごしてほしかったから。



さて。かくして暑すぎず寒すぎずの絶好のお天気に恵まれた、5月24日。


構想1年半、やっとこの夢の企画が実現する日がやってきた。


参加者は当日になってからもどんどん増え、なんと最終的には総勢29人!
今日は運転手以外の子供は抜きという大人だけルール。たまには、夫婦だけで参加できるパーティーっていうのもいいものだ。

午後5時半から始まったポトラックには、みんなの手の込んだ手料理がずらりと並んで、圧巻。
お正月とお盆と運動会が一気に来た感じ。

 
ぎょうざ、シーフード焼きそば、春巻き、サラダ、エビフライ、とんかつ、サーモンの押し寿司・・・・。
マシューたちが持ってきてくれた、握りの盛り合わせ。
私はいつものワカサギ南蛮漬けと、きゅうりの漬物と、カボチャの甘煮を持参。





 
デザートのティラミスとカップケーキ


マシューとジョニーも、さっそくおいしい大吟醸を飲みながらみんなの力作に舌鼓。
いやぁー本当にどこのレストランよりも贅沢でおいしい。
しかも、これから本格的なシカゴブルースが目の前で聴けちゃうのだから。


今日はお天気がよくてテラスにいると風が気持ちいい


ご主人たちが集まってなにやら真剣な顔で飲んでいた。日本人妻を持つ者同士の悲哀が・・・(笑)



午後7時。ほどよく飲んで食べたところでいよいよライブの開始。


みんな、めちゃ真剣!


子供たちも。


どんなシチュエーションでも100%出しきってくれるのが本当のプロ




普段は「お仕事」モードに入るふたりも、今日は半分ゲストでもあり超リラックスしていた様子。それがまたいい感じ。
ノリに乗って、約1時間近くのまじライブをしてくれた。
そのあとまた楽しい宴会に戻り、彼らや奥さん方もみんなと一緒にひたすら食べて、飲んで、しゃべって。
こういうふうに、自己紹介したあとはすぐに打ち解けていろんな話が弾むところが、アメリカのいいところだよなー。

「ブルースってなじみがないから・・」「ブルースはあんまり好きじゃない」と言っていた友達も、やっぱり本物をこの距離で見てしまうとめちゃくちゃ感動したらしく、終わってから「今日は呼んでくれて本当にありがとう!」と目をキラキラさせていた。
そう言ってもらっただけでも、このイベントを企画したかいがあったというもの。
やはり、いいものはいい。本物に触れると誰でも心動かされるのだ。


しばらく飲んで食べて、するとまたセカンドステージが始まった。
今度は30分くらいの短いバージョン。
この頃にはみんな気心も知れて、お酒も程よく入っていたので、手拍子なんかも出てさらにいい感じに。
途中でひろぽんの愛犬ココが、ハーモニカに合わせて「ハゥウウウウウウウーン」と歌い始めたのには、一同爆笑。
それを見たマシューが、ココにマイクを向けたので、またみんな爆笑。




 
みんなにすっかり打ち解けて、マシューたちもええ具合のほろ酔い状態。



みんなで記念撮影。後ろで手を伸ばしているのが私と思われる・・・


結局飲んで食べて、しゃべって、お開きは真夜中過ぎの1時・・。
こんなに素敵なPartyになったのも、全てはおうちを開放してくれたひろぽんの温かいおもてなしのおかげ。
マシューもジョニーもこの時間を満喫した様子で、あと100回くらいやりたい、と翌日メールがきた。

ひろぽん、本当に遅くまでありがとう!

ドナルド・スターリングの自滅

2014-05-15 16:30:49 | アメリカ生活雑感
ここのところアメリカを騒がせている2大ニュースは、“黒人差別問題”と“ゲイ論争”だ。
こうまとめてしまうと、なんだかアメリカ社会は50年くらい同じところをいったりきたりしている感じだ。

まず、最初の黒人差別問題。

事の発端は男女間のくだらん痴話喧嘩だった。
アメリカプロバスケットボール協会(NBA)、ロサンゼルス・クリッパーズ(Los Angeles Clippers)のオーナーで不動産王のドナルド・スターリング(80歳)が、ヒスパニック系の若い恋人との電話で黒人差別発言をしていたのをリークされた。

彼女が、NBA往年のスター、マジック・ジョンソンと一緒に撮った写真を得意気にインターネットサイトにアップしたのに嫉妬した爺さん(ドナルド)が、腹立ちまぎれに言い放ったこの言葉が彼の人生を変えてしまうことになった。

「黒人と一緒の写真を公開するなんて、不愉快にもほどがある。そんな必要がどこにあるんだ?・・・黒人と寝るのも、彼らを連れ込むのも君の勝手だし、何でも好きにすればいい。だが私のささやかな頼みは、それを見せびらかしたり、私のチームの試合に連れてくるのはやめてほしいということだ」

この会話がばっちりと録音されていて、そのテープが大衆芸能サイト「TMZ」に売られたことから全米中に騒ぎが広まった。


L.A. Clippers Owner to GF:
Don't Bring Black People to My Games ...Including Magic Johnson

(4/25/2014 10:00 PM PDT BY TMZ STAFF)
http://www.tmz.com/2014/04/26/donald-sterling-clippers-owner-black-people-racist-audio-magic-johnson/


TMZがこのテープを流したその日は、私のフェースブックのニュースフィードははこのリンクだらけだった。
特に黒人の友人たちの反応はすさまじかった。
「こんなやつ、今すぐ辞めさせろ!」
「NBAはこんな差別主義者をオーナーにしておいていいのか」
・・・一日中糾弾の声が途切れることがなかった。

チームのほとんどが黒人というバスケットボールチームのオーナーが、口が滑っても言っちゃぁいけないことを言ってしまったな、本当にあほなやつだ、とくらいにしか思っていなかったのだが
黒人たちの怒りのコメントを読んでいるうちに、これはただじゃすまないぞ、という気持ちになってきた。
つくづくソーシャルネットワークの恐ろしさを思い知った一日だった。

この問題のさなか、くだんのクリッパーズはちょうど大事なプレーオフ中。
試合が行われた27日のコート上では、選手たちがユニフォームを裏返しに着てチーム名やスポンサー名が見えないようにするなど無言の抗議を示して戦った(が惨敗)。
オバマ大統領も「決して許されない発言だ」とコメントを発表するに至り、チームのスポンサーも次々と撤退するなど、彼に対する包囲網は固まっていくばかり。

そして問題勃発からわずか3日目に、彼に対する重い処分が下された。
NBAコミッショナーのアダム・シルバー氏が、スターリング氏を永久追放処分とし、250万ドル(約2億5000万円)の罰金を科すと発表した。
永久追放処分に基づき、スターリング氏は試合や練習に立ち会ったり、クリッパーズの施設に出入りしたり、経営面や人事面の決定にかかわったり、NBAの理事会などに出席したりすることを禁じられる。
さらに、クリッパーズを売却させるための措置が、NBA理事会に提案されることになった。

さすが、である。
日本ならこういう処分はまず下らないだろう。下したところですぐに復活できるような生ぬるいものだ。
ナベツネ(元読売会長)などは、アメリカにいたらとっくの昔に永久追放になっているはずである。
それほど、“人種差別問題”というのはアメリカ社会では重いのだ。
たかが若い女に狂った老いぼれ爺さんの痴話げんか、嫉妬から出た嫌がらせの一言だっただからといって世の中は決して容赦しない。
この処分に関して、大衆は「さすが、NBA。よくやった」といわんばかりの喝采を浴びせている。
NBAも得意満面で、「一件落~着~」といった感じである。


しかし、なんだかこれも調べれば調べるほどおかしな話である。
「何をいまさら」・・・というのが私の率直な感想だ。
まず、このドナルド・スターリングという男、過去にも人種差別に関してはいろいろと問題を起こしていることがわかっている。
自分の所有する不動産に「ヒスパニックを入れるな、不動産の価値が下がる」と言って訴えられたこともある。
それなのに、今回の「黒人を連れてくるな」発言では即首が飛び、一瞬で全てを失ってしまった。
ヒスパニック差別は許せて、黒人は絶対にダメなのか?
私自身、アメリカで長い間マイノリティとして暮らしているけれど、「差別」が意味する対象は「黒人」であることが暗黙の了解だとひしひしと感じる。


だいたい、このテープはプライベートな会話である。
それをマスコミに売る奴の精神面にも問題があるのではないか?
テープの会話を聞くと明らかにふたりが深い関係にあるのがわかるが、この爺さんにはれっきとした妻がいる。
要するに若いオンナとの不倫関係にあったことに関しては、みんな驚くほどスルーなのだ。
クリントン大統領やNY市長の不倫騒ぎのときには、世の中はここぞと糾弾したくせに、今回は差別のほうが勝ってしまったのか。
いや、そんなことはみんなやっているから下手に騒いで自分の身に危険が及ぶのを恐れたのか(笑)


もともと、ヒスパニックや黒人に対する差別感情の強かったスターリング氏を、この“恋人”がうまく罠にはめ、
NBA側はそれをうまく利用して、前から気に食わなかったこの男を教会から抹殺し、ついでに「毅然とした態度で黒人プレーヤーを差別から守った」というアピールをしてのけた。
おおよそ、そういうことだろうと思う。




ご愁傷様。