郊外に住んでいると、わざわざシカゴ市内に出かけていくのもひと仕事、それにミートの試合やなんやと予定が忙しい子供とスケジュールを合わせるのも一苦労、それなりの“行く理由”がないとなかなか腰が上がらないもの。
しかも、たまには音楽でも聴きに行きこうと思っても何をどう選んでいいのかわからない。
実はブルースクラブやジャズクラブなんて、一度も行ったことないのよねー。・・・・郊外妻友達はみんな、普段から同じような感想をもらしていた。
そこで。
この連休を利用して、ある企画を実行することにした。
題して、「本場の”シカゴブルース”を自宅に呼んじゃう、春の大ポトラック会」
「行けぬなら 呼んでしまおう ホトトギス」という、このものすごい企画、私たちがいつもやっているポトラック(持ち寄り)パーティーに、シカゴのブルースマンを呼んで、おうちでミニライブをやろうじゃないか、という何ともおいしいイベントだ。
さて、誰を呼ぼうか。
何でも食べられて、和食好きで、しかも常々私たちのポトラックに興味を示していたシカゴブルースマン、マシューに何気なく話してみると、これが大乗り気。ギャラもお友達価格にしてくれるという。
そうと決まったものの、お互いのスケジュールが合わず、季節も極寒の冬になり・・延び延び状態。
しかし、ようやく5月なら空いているという連絡をもらい、彼の相棒ともいえるピアニストのジョニーを誘っていよいよ実現の運びとなった。
マシュー・スコラー(Matthew Skoller)は、シカゴを代表するハーモニカプレイヤー。自らのバンドを率いてシカゴの有名ブルースクラブや世界のフェスティバルなどで活躍中。
ジョニー・イグアナ(Johnny Iguana)はシカゴで今一番忙しい、ブルースピアニスト。23歳でジュニア・ウェルズのバンドに抜擢された実力の持ち主で、多くのグラミー受賞CDに参加している。
(※二人が参加しているアルバム、”Chicago Blues:A Living History”は、2010年のグラミー賞ベストブルースアルバム賞ノミネートされている)
このふたりとは去年一緒に青森~東京に行ったので、性格も良く知っているし気が楽だ。
ポスター作ってみた
タウンハウスの我が家ではとてもじゃないけれど大人数のお客さんをもてなすには狭すぎるので、お友達のひろぽんのおうちでこのパーティーをさせていただくことに。
彼女のおうちは、広くてとーっても心地いい。しかも、ピアノがある。でもって、みんなが集まるにもちょうどいいロケーションなのだ。
このパーティにはマシューとジョニーの奥さん方もパーティーにご招待することにした。
奥さんの普段の支えがあってこそのミュージシャン。彼女たちにも感謝の意を込めてぜひ一緒に私たちといい時間を過ごしてほしかったから。
さて。かくして暑すぎず寒すぎずの絶好のお天気に恵まれた、5月24日。
構想1年半、やっとこの夢の企画が実現する日がやってきた。
参加者は当日になってからもどんどん増え、なんと最終的には総勢29人!
今日は運転手以外の子供は抜きという大人だけルール。たまには、夫婦だけで参加できるパーティーっていうのもいいものだ。
午後5時半から始まったポトラックには、みんなの手の込んだ手料理がずらりと並んで、圧巻。
お正月とお盆と運動会が一気に来た感じ。
ぎょうざ、シーフード焼きそば、春巻き、サラダ、エビフライ、とんかつ、サーモンの押し寿司・・・・。
マシューたちが持ってきてくれた、握りの盛り合わせ。
私はいつものワカサギ南蛮漬けと、きゅうりの漬物と、カボチャの甘煮を持参。
デザートのティラミスとカップケーキ
マシューとジョニーも、さっそくおいしい大吟醸を飲みながらみんなの力作に舌鼓。
いやぁー本当にどこのレストランよりも贅沢でおいしい。
しかも、これから本格的なシカゴブルースが目の前で聴けちゃうのだから。
今日はお天気がよくてテラスにいると風が気持ちいい
ご主人たちが集まってなにやら真剣な顔で飲んでいた。日本人妻を持つ者同士の悲哀が・・・(笑)
午後7時。ほどよく飲んで食べたところでいよいよライブの開始。
みんな、めちゃ真剣!
子供たちも。
どんなシチュエーションでも100%出しきってくれるのが本当のプロ
普段は「お仕事」モードに入るふたりも、今日は半分ゲストでもあり超リラックスしていた様子。それがまたいい感じ。
ノリに乗って、約1時間近くのまじライブをしてくれた。
そのあとまた楽しい宴会に戻り、彼らや奥さん方もみんなと一緒にひたすら食べて、飲んで、しゃべって。
こういうふうに、自己紹介したあとはすぐに打ち解けていろんな話が弾むところが、アメリカのいいところだよなー。
「ブルースってなじみがないから・・」「ブルースはあんまり好きじゃない」と言っていた友達も、やっぱり本物をこの距離で見てしまうとめちゃくちゃ感動したらしく、終わってから「今日は呼んでくれて本当にありがとう!」と目をキラキラさせていた。
そう言ってもらっただけでも、このイベントを企画したかいがあったというもの。
やはり、いいものはいい。本物に触れると誰でも心動かされるのだ。
しばらく飲んで食べて、するとまたセカンドステージが始まった。
今度は30分くらいの短いバージョン。
この頃にはみんな気心も知れて、お酒も程よく入っていたので、手拍子なんかも出てさらにいい感じに。
途中でひろぽんの愛犬ココが、ハーモニカに合わせて「ハゥウウウウウウウーン」と歌い始めたのには、一同爆笑。
それを見たマシューが、ココにマイクを向けたので、またみんな爆笑。
みんなにすっかり打ち解けて、マシューたちもええ具合のほろ酔い状態。
みんなで記念撮影。後ろで手を伸ばしているのが私と思われる・・・
結局飲んで食べて、しゃべって、お開きは真夜中過ぎの1時・・。
こんなに素敵なPartyになったのも、全てはおうちを開放してくれたひろぽんの温かいおもてなしのおかげ。
マシューもジョニーもこの時間を満喫した様子で、あと100回くらいやりたい、と翌日メールがきた。
ひろぽん、本当に遅くまでありがとう!