暮れも押し迫り、世間がホリデームード一色に包まれていた先週、すごいやつがシカゴに現れた。
2001~2003年、バークレー時代にアダルトスクールでクラスメートだったベネズエラのカルロス親父が、この休みを利用してアメリカにやってきたのだ。
彼は当時クラスの人気者、というかみんなの“貴重なおもちゃ”的存在だった。
律儀なくせにお茶目でどこか間が抜けていて、南米人特有の大仰極まりないジェスチャーで笑わせたかと思うと、妙に日本人的な奥ゆかしさを併せ持つ、そんな愛すべき性格の持ち主だった。
彼が当時、どういうわけでベネズエラからアメリカにやってきたのかは知らなかったが、ただひとつ確かだったのは観光ビザが切れても居座り続けたいわゆる「不法滞在者」だったことだ。
もぐりのスペイン語学校で教師をして細々と生計をたてながら夢だったアメリカ生活を満喫していたカルロス。
しかし、最悪だった“ブッシュのアメリカ”に嫌気がさし、第二の心の故郷であるパリに居を移す決意をする。
当時、有志で送別会をしながらみな心の中で思ったものだ。
「もうアメリカでカルロスに会うことは2度とないだろう」
不法滞在の前科のある者は、少なくとも10年はアメリカに再入国できない掟だからだ。
それが先月のある日。
「12月にシカゴに行くから会えないだろうか?」というメールが来たからビックリ。
どうして?そんなことが可能になるのだろうか?
半信半疑のまま待っていると、先週の火曜日に本当に上陸を果たしたという。
真夏のベネズエラから何でよりにもよって極寒のシカゴに現われたのかは謎だが、ともあれ私はもとよりカルロスの話だけはいろんな人から聞かされていて、友人たちから時々混同して「カルロス」と呼ばれることさえあったPちゃんも初めて会えるのをとても楽しみしていた。
そしてついに。
土曜日、シカゴから電車でわが町に降り立ったカルロスを見たときはなんだか5年という月日が一瞬にして吹っ飛んだ気がした。
つい昨日までUCバークレー校門前のスタバでコーヒーを飲んでいたような、そんな感覚にとらわれた。
まだせっかく陽があるうちにと、車でPちゃんのラボに行きブァッファローを見たり、ついでに職場を案内したり(って、私の友達なんですけど・・・)、隣町のGenevaやBatavia見学にとさっそく引き回す。
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Bataviaにて(最後の正気写真)
家に戻ると即、飲みが始まりビール片手に3人でノンストップ炸裂トーク。
パリに行ってしまってから今に至るまでのカルロスの空白の日々をロングインタビュー。
★ 以下、かいつまんでカルロスの5年間 ★
2003年9月、憧れのパリに移ったはいいが職が見つからぬまま蓄えも底をつき、ついに6ヶ月でパリを離れベネズエラに傷心の帰国。
しばらくぶりに帰った故郷でもしばらく仕事はみつからずさすがにかなりへこんだが、あるときたまたま姪から紹介されたアルゼンチン人の経営するエンジニアリング会社で働くことになる。
それを機に一文無しで食うのもやっとだった奈落の底から一気に這い上がり、次第に調子を取り戻す。
調子にのりついでに、ものは試しとアメリカ入国へのビザの申請をしてみたら、あっけなく却下される。それにもめげずに再度申請→却下。
理由はわかっているのに「どうしてだめなんだ?」と言いがかりをつけてみたところ、「だって銀行口座に十分なお金がないんだもん」と言われ、なんだ金かよ、と妙に自信をつけ今度は十分なお金を口座に入れて3回目の申請。そしてなんと5年間のビジタービザをまんまと獲得してしまう。
以来、2007年からは毎年のようにアメリカの友人などを訪ねて歩くようになったのだった・・・。
・・と、ざっとこういうことらしい。
★ ★
カルロスを知っている人からすれば、いかにも彼らしい逸話。
Pちゃんも私も、思わず話を聞きながらのけぞった。
それにしてもゆるゆるのアメリカ入国管理局にはあきれるばかりだ。
時間が経つにつれほどよくアルコールが入ったカルロスは、もう誰にも止められない。
そのうち話はものすごい方向へとなだれ込み・・・残念ながらあまりのすごさにここではとうてい紹介できない。
で、すっかり調子こいてお得意の
「What a life!」
を絶叫する親父だった。
あんまり面白いので、日本の友人にもお裾分けをしなきゃとスカイプで急襲。
日曜日の午後、まったりとくつろいでいた(にちがいない)Bちゃ夫妻や、これからお葬式に行ってお話をしなければいけないというテリさまに、カルロス親父の何言うとるんだかさっぱりなわやくちゃな英語が容赦なく襲いかかるのだった。
ほんま、すみませんでした。
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今日のメニューは、共通の友人Bちゃを思い出しながらカタプラーナ。
サンクスギビングで大量に余って冷凍保存しておいた七面鳥を入れたらすごくおいしかった!
あとは例のパエリヤとサラダ。
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やっと実現したツーショット。
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懐かしい写真に見入る親父
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11時過ぎ。久々に暖炉に火が入ってまったり
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日本に電話中。(Tさん、お騒がせしました!)
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スカイプ中。(テリさま、お付き合いいただきありがとうございました!)
★おまけ★
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シカゴの冬の思い出に、翌朝雪かきに挑戦する親父。
・・って、持ち方逆ですけど。
24時間の再会を終えて、親父は午後の電車で再びシカゴ市内へと帰っていった。
さて、今晩はどこで何をするのやら・・・ったく。