ハリケーン「カトリーナ」でニューオーリンズが壊滅してから、今日(8月29日)で丸1年。
今日はテレビやラジオから、ひっきりなしに「カトリーナ・アニバーサリー」という言葉が聞こえてくる。夕方テレビをつけると、カトリーナに関する2時間の特番をやっていた。
皮肉なことにカトリーナでその“無能さ”が全世界の注目を集めることになった連邦緊急事態管理局(FEMA)のブラウン局長(当時)や、対策の前面に立って指揮をとったニューオーリンズのネーギン市長(黒人)など、関係者へのインタビューや、取材班が現地で遭遇した5人の被害者の、当時と現在の様子をショートドキュメンタリーにしたものなどから構成されていた。
去年の今頃は日本でこのニュースを知ったのだけれど、当然ながらここまで生々しい内容は知る由もなかった。
番組の冒頭で、現地レポーターが現在のニューオーリンズの電話帳と当時のものを比べていたが、厚さは半分。住まいを失って町を出た人々はまだ、ニューオーリンズに戻っていない。
「戻ってきても同じ生活はもう戻ってこない」---カトリーナ後、職も失い妻とも離婚をしたという60代の男性は途方にくれ、がっくりと肩を落とす。
避難所となったスーパードームの細部を収めた映像も流されたが、もう人間のいられる空間ではなかった。まるでconcentration camp。「収容された人々を究極に追い込んで暴徒化するのを待っていた」というぶっそうな説もある。
先進国のはずのアメリカが、過去幾度かの経験で学んでいるはずの自然災害にいともあっけなくやられ、しかもその後も“見捨てた”本当の理由は、1年たっても釈然としない。
そもそも「地球温暖化」対策には断固として異議を唱え、消極的だったブッシュ政権。そのバックには、アメリカ最大の勢力(票数)を誇るキリスト教原理主義(fundamentalst)がいる。聖書を一語一句、何の疑いもなく解釈して信仰するファンダメンタリストたちにとって、一番の敵は「科学」らしい。(ということは、科学者にとっての敵は、fundametalistってこと。)
「人工中絶」や「同性愛」は神への冒涜、「進化論」はアメリカの教科書から(一部の州)排除され、そして「地球温暖化」はそもそも人間の手には負えないものと突き放す。
そして、自然はアメリカに牙をむいた。
数度の科学者たちの警告にもかかわらず、ハリケーン災害対策に向けられるべきだった予算は、すべてイラク戦争へと流れた。そういう意味では「アルカイダは(テロ並みに)アメリカに大打撃を与えることにgood jobを果たした」ということになる。
あれから1年がたち、ニューオーリンズは少しずつではあるけれど復興がすすみ音楽も戻り始めているが、ほかの町に避難した地元のミュージシャンたちは、その町で人気者となり地元に戻ることをためらっているという。
カトリーナはアメリカの“Jazz map”をも変えてしまおうとしている。
この次にニューオーリンズに行けるのはいつの日だろうか・・。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/65/b2/daa711aa26f3dc7e31ff59b78978c0ba.jpg)
8月29日の夕日。(Fermilab)
今日はテレビやラジオから、ひっきりなしに「カトリーナ・アニバーサリー」という言葉が聞こえてくる。夕方テレビをつけると、カトリーナに関する2時間の特番をやっていた。
皮肉なことにカトリーナでその“無能さ”が全世界の注目を集めることになった連邦緊急事態管理局(FEMA)のブラウン局長(当時)や、対策の前面に立って指揮をとったニューオーリンズのネーギン市長(黒人)など、関係者へのインタビューや、取材班が現地で遭遇した5人の被害者の、当時と現在の様子をショートドキュメンタリーにしたものなどから構成されていた。
去年の今頃は日本でこのニュースを知ったのだけれど、当然ながらここまで生々しい内容は知る由もなかった。
番組の冒頭で、現地レポーターが現在のニューオーリンズの電話帳と当時のものを比べていたが、厚さは半分。住まいを失って町を出た人々はまだ、ニューオーリンズに戻っていない。
「戻ってきても同じ生活はもう戻ってこない」---カトリーナ後、職も失い妻とも離婚をしたという60代の男性は途方にくれ、がっくりと肩を落とす。
避難所となったスーパードームの細部を収めた映像も流されたが、もう人間のいられる空間ではなかった。まるでconcentration camp。「収容された人々を究極に追い込んで暴徒化するのを待っていた」というぶっそうな説もある。
先進国のはずのアメリカが、過去幾度かの経験で学んでいるはずの自然災害にいともあっけなくやられ、しかもその後も“見捨てた”本当の理由は、1年たっても釈然としない。
そもそも「地球温暖化」対策には断固として異議を唱え、消極的だったブッシュ政権。そのバックには、アメリカ最大の勢力(票数)を誇るキリスト教原理主義(fundamentalst)がいる。聖書を一語一句、何の疑いもなく解釈して信仰するファンダメンタリストたちにとって、一番の敵は「科学」らしい。(ということは、科学者にとっての敵は、fundametalistってこと。)
「人工中絶」や「同性愛」は神への冒涜、「進化論」はアメリカの教科書から(一部の州)排除され、そして「地球温暖化」はそもそも人間の手には負えないものと突き放す。
そして、自然はアメリカに牙をむいた。
数度の科学者たちの警告にもかかわらず、ハリケーン災害対策に向けられるべきだった予算は、すべてイラク戦争へと流れた。そういう意味では「アルカイダは(テロ並みに)アメリカに大打撃を与えることにgood jobを果たした」ということになる。
あれから1年がたち、ニューオーリンズは少しずつではあるけれど復興がすすみ音楽も戻り始めているが、ほかの町に避難した地元のミュージシャンたちは、その町で人気者となり地元に戻ることをためらっているという。
カトリーナはアメリカの“Jazz map”をも変えてしまおうとしている。
この次にニューオーリンズに行けるのはいつの日だろうか・・。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/65/b2/daa711aa26f3dc7e31ff59b78978c0ba.jpg)
8月29日の夕日。(Fermilab)