shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

ヴィッキー特集

2024-02-04 | European Pops

①恋はみずいろ
 ヴィッキーの日本におけるデビュー・シングルがこの「恋はみずいろ」だ。彼女を知らない人でもこの曲のメロディーはどこかで聞いたことがあるのではないか。彼女がユーロヴィジョン・コンテストで歌った翌年にポール・モーリアがカヴァーして5週連続全米№1を記録する大ヒットになったのだが、毒にも薬にもならないイージーリスニングには何の興味もない私にとってはヴィッキーのオリジナル・ヴァージョンこそがザ・ワン・アンド・オンリーだ。リー・ワイリーの「Manhattan」やヘレン・メリルの「You'd Be So Nice To Come Home To」のように、歌い手は “まるで自分が歌うために書かれたような曲” に出会えるかどうかで決まると私は常々考えているのだが、ヴィッキーにとってはまさにこの曲がそれだと思う。因みにB'zの松本さんはライヴで「もう一度キスしたかった」のエンディングにこの曲のメロディーを混ぜ込んで弾くのが定番になっているが、中々良いセンスしてるなぁと思う。
ヴィッキー Vicky/恋はみずいろ L' Amour Est Bleu ( Love is Blue )  (1967年)


②星空のマサチューセッツ
 この曲はもちろんビージーズがオリジナル。私は1970年代後半に一世を風靡したディスコ期のビージーズは超苦手なのだが(→軽薄なディスコのリズムはもちろん嫌いだが、それ以上にあのファルセット・ヴォイスが生理的に無理...)、この「星空のマサチューセッツ」は彼らがまだ真っ当なソフトロックをやっていた1967年のヒット曲で、彼らの楽曲の中では「Melody Fair」と並ぶ名曲だ。ヴィッキーのカヴァー・ヴァージョンは日本での2枚目のシングル「待ちくたびれた日曜日」のB面に収められているが、カタコト日本語歌謡のA面とは比べものにならないくらい伸び伸びと歌っており、私はいつもB面のこの曲ばかり聴いてしまう。キャッチーな美旋律にヴィッキーの醸し出すホンワカ・ムードが怖いくらいにピッタリ合った名曲名唱だ。
ヴィッキー Vicky/星空のマサチューセッツ Massachusetts (1967年)


③私の好きなチョコレート
 外国人歌手の日本語盤には、ミーナの「砂に消えた涙」やマージョリー・ノエルの「そよ風にのって」のように元歌に日本語詞を付けて歌う “漣健児パターン” と、ブレンダ・リーの「ワン・レイニー・ナイト・イントーキョー」やカテリーナ・ヴァレンテの「恋のバカンス」のように歌謡曲にチャレンジして日本語で歌うパターンの2つに大別されるのが普通だが、ヴィッキーの「私の好きなチョコレート」は森永チョコレートのCMソングとして彼女のために日本語で書き下ろされたオリジナル曲という非常に稀なケースだ。私にとってこのレコードの一番の魅力は “届けてくれた忘れもの だけどお礼は言わないの あなたが半分食べちゃった 私の好きなチョコレート... ♪” という変てこりんな歌詞にあり、忘れもののチョコレートを半分食べて届ける奴が一体どこにおるんや...??? とツッコミたくなる珍曲なのだ。ジャケットに書かれた “チョコ人気投票アンケートに答えて抽選でハワイ7日間の旅ご招待” という宣伝がいかにも昭和らしくて懐かしい。
ヴィッキーVicky/私の好きなチョコレート(日本語) (1968年)


④マイ・スウィート・ロード
 前回ボビー・ジェントリーの日本語盤を聴きながら“昔はこの手の怪しい日本語ヴァージョンってわりとあったよなぁ...” と思いを巡らせていて、「フール・オン・ザ・ヒル」と同じビートルズ関連モノで頭に浮かんだのがヴィッキーの「マイ・スウィート・ロード」日本語盤だった。“せっかくやから久しぶりにヴィッキーでも聴こか...” と思ってシングル棚のイエイエ・コーナーから彼女のレコードを引っ張り出して聴き始めたところ、これがもうめちゃくちゃ良くて自分でもビックリしたのが今回の特集のきっかけだ。このレコードは彼女にとって日本で12枚目のシングルにあたり、大ヒットしたジョージのオリジナル・ヴァージョンと同じ1971年にリリースされたのだが、サビの “かぁ~みぃ~よぉ~♪” が妙に耳に残るスルメ・チューンだ。尚、B面には同曲のドイツ語ヴァージョン(←これは珍しい!)が収められている。
ヴィッキー Vicky/マイ・スウィート・ロード My Sweet Lord(日本語版)(1971年)