shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

ヒット・パレード第2集 / 森山加代子

2017-09-04 | 昭和歌謡
 “やっと手に入れたレア盤” シリーズ第2弾は森山加代子だ。オールディーズ・マニアの私は和製カヴァー・ポップスも好きでよく聴くのだが、そんな中でも弘田三枝子と並んで愛聴しているのが森山のカヨたんで、彼女のレコードはシングル・アルバム共に出来るだけアナログ盤で手に入れるようにしてきた。シングルに関しては目ぼしいところはほぼ入手済みだったが、アルバムの方はレア度が高いのか完全制覇までにかなりの年月を要した。
 70年代に入って彼女が「白い蝶のサンバ」(←昔カラオケで歌詞の“蝶”のところを“ママ”に替えて歌ったらめっちゃウケた...)で再ブレイクする以前の、いわゆるひとつの “カヴァー・ポップス時代” にリリースしたアルバムは「リクエスト・タイム」「ヒット・パレード」「ヒット・パレード第2集」「ヒット・パレード第3集」の4枚で、そのすべてが10インチ・レコードだ。
 最初の2枚はネット・オークションでもよく見かけるし値段の方も3,000円を超えることはまずないが、「第2集」と「第3集」の頃になると人気に陰りがさしてきたのか市場にほとんど出回っておらず、オークションで見かけることも滅多にない。だからこの2枚に関しては長いことその存在すら知らず、4年前にヤフオクで「第3集」を初めて見て8,800円で運良く落札した時に、 “「第3集」があるんやったら「第2集」もあるに違いない...” と考え、それ以来ずーっと探していたものだ。
 彼女のアルバムは10インチ盤ということもあって収録曲は片面4曲ずつの計8曲で、洋楽ヒット曲の和製カヴァーと彼女独自の “言葉遊び系コミカル歌謡” 路線のヒット曲がうまく散りばめられているのが特徴だ。この「第2集」に収録されているカヴァー・ポップスは、コニー・フランシスの「ボーイ・ハント」のようなメジャーなヒット曲からシュー・マルムクヴィストの「ウェディング・ケーキ」のようなちょっとマニアックな曲まで、ヴァラエティーに富んだ選曲がなされているが、私のフェイヴァリット・トラックはアルマ・コーガンをカヴァーした「ポケット・トランジスター」で、カヨたんのユニークな声質が曲想と絶妙なマッチングをみせ、カヴァーとは思えないくらい自然な仕上がりの1曲になっている。
森山加代子 ポケット・トランジスター 1961 / Pocket Transistor


 一方、彼女のオリジナル曲では何と言っても「パイのパイのパイ」が出色の出来。“ラーメチャンタラ ギッチョンチョンデ パーイのパイのパイ~♪” という意味不明のフレーズが耳ついて離れなくなるキラー・チューンだ。「じんじろげ」を作詞した渡舟人が書いたユーモラスな歌詞は何度聴いても楽しいし、「アルプス一万尺」のメロディーをアダプトしたイントロから一気にジャジーな展開に持っていく中村八大のアレンジも素晴らしい。
森山加代子 パイのパイのパイ


 「ズビズビズー」も「パイのパイのパイ」と同じ言葉遊び系ソングで、歌の大半でズビズビ言いっ放しという摩訶不思議なナンバーだ。そのせいもあって、私はてっきり「じんじろげ」や「パイのパイのパイ」のヒットを受けて作られた彼女のオリジナル・ソングだと思い込んでいたのだが、今回手に入れたレコード裏面の作曲者のところを見ると「テュー」と書いてある。不思議に思って調べてみると、オリジナルは何とソフィア・ローレンで(1960年)更に驚いたことにあのジョージ・マーティンがプロデュースしているというではないか!!!  これはエライコッチャである。ビートルズを手掛ける前にはこんなんやってたんか... と私的にはメカラウロコ的な大発見だったのだが、肩の力の抜けたソフィアのヴォーカルが実に良い味を出しており、聴いてて思わず “ラッタッタ!” な気分になれること間違いなし。それにしてもカヨたんの「ズビズビズー」が実はカヴァー・ポップスやったなんて、ホンマに夢にも思いませんでしたわ...(゜o゜)
森山加代子 ズビズビズー 1961 / Zoo Be Zoo Be Zoo

Sophia Loren - Zoo Be Zoo