shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

“BANNER STEREO” レーベルのOZ盤で聴く「Please Please Me」

2017-09-22 | The Beatles
 私は今でこそアナログ・レコード・コレクターの端くれとしてセンター・レーベルがどーのマトリクスがこーのといっぱしの口をきくようになったが、20年ぐらい前まではCDしか聴かない堅気の音楽ファンだった。そんな私にオリジナル盤だとか1stプレスだとかいった余計な概念(笑)を吹き込んで下さったのはジャズのオリジナル盤を扱うレコ屋のご主人たちで、CD vs オリジナル盤や 1stプレス盤 vs 2ndプレス盤など、実際に色んな聴き比べをさせていただいて耳を鍛え、乾いたスポンジのようにアナログ・レコードの知識を吸収していった。
 その後何年か経って本格的にビートルズのオリジナル盤を集め始めた時、これらの知識が大いに役立った。まぁジャズ・レコードのプレス枚数なんてビートルズの数百分の一かヘタをすれば数千分の一ぐらいだろうからマトリクス・ナンバーもヘッタクレも無いのだが、センター・レーベルのデザインの違いによって大体のプレス時期が分かるという仕組みは基本的に同じなので(←考古学者みたいなもんですな...)、ジャンルを問わずレコードを手に取るとイの一番にレーベルに目が行くようになってしまった。
 だからビートルズのレコードを見るようになっても、大ざっぱに言えばターゲットがブルーノートからパーロフォンに変わっただけで、ジャズの時と大きな違いはない。BN1500番台から4000番台前半の初回盤 63rd/New York にあたるのがイエロー・パーロフォンで当然それがメイン・ターゲットになり、Liberty/ UA にあたるシルバー・パーロフォンはリイシュー盤ということで完全に購入対象外。Lexington やゴールド・パーロフォンはさしずめ高嶺の花の垂涎盤といったところか。
 金パロの中でも特に稀少なのはステレオ盤の方で、eBayでは年に2~3枚ぐらいしか出てこないし、しかも£2,500~£5,500(日本円で約35~80万円!!!)という目の玉が飛び出るような高値で取り引きされている。貧乏コレクターの私にとっては所有することなど夢のまた夢なので、クラシックなデザインの “BANNER STEREO” レーベルは手の届かない憧れの存在として、見ただけでもうワクワクドキドキしてしまう(≧▽≦)
 そんな私が思わず “おぉぉ!!!” と唸ったのが半年ほど前のことで、アルバム「プリーズ・プリーズ・ミー」のオーストラリア盤 1stプレスのセンター・レーベルを見てビックリ(゜o゜)  金文字ではなく銀文字という違いはあるが(しかもスピンドルホール周辺にゴテゴテと色んなロイヤリティ・スタンプ・マークが入ってはいるものの...)、全体のレーベル・デザインはまごうことなき“BANNER STEREO” だ。UK本家の “ゴールド” BANNER STEREO盤は金銭的に無理でも OZ版 “シルバー” BANNER STEREO盤なら何とかなりそうだ。その時以来私はこのレコードが安く手に入る機会を虎視眈々と狙っていたのだが、先月ついにAU$50で出品されているのを見つけて落札、送料込でも6,000円弱で手に入れることが出来てめちゃくちゃ嬉しかった。
 スティーヴ・ホフマンのフォーラムによると、オーストラリア盤「プリーズ・プリーズ・ミー」のステレオ盤がリリースされたのは64年の4月で、UK盤のメタル・マザーを使ってプレスされたとのこと。当然ながら1stプレスの金パロ BANNER STEREO は持っていないので、とりあえずUK黄パロのステレオ盤と比較試聴してみることにした。
 レコードの音は同じメタル・マザーからプレスしても、盤に使うビニールの質や重量、カッティング・エンジニアの腕、そしてプレス工場の違いといった様々な要素で変わってくるし、オーストラリア盤に対する世間一般の音質評価は結構高いものがあるので、どんな結果になるのか興味津々。重量盤信仰が抜けない私は聴き比べ時に盤の重さを量る習慣があるのだが(←一概に重けりゃ良いってモンでもないことは頭ではよーく分かってるんですけどね...)、今回はUK盤が160gなのに対し OZ盤は149 g とやや軽めだった。
 聴いてみた感想としてはどちらもめっちゃ良い音なのだが音の傾向が少し違う。UK盤の方がコンプが強くかけられているせいかゴツゴツした音の塊がガツン!とくる感じなのに対し、OZ盤の方は音がつぶれずに上の方までスッキリと伸びていて細部までよくわかるのだ。中低域のガッツ、押し出しの強さではUK盤に軍配が上がるが、全体的な音のバランスという点ではむしろOZ盤の方が聴きやすいと言えるかもしれない。私個人としてはどっちの音も捨てがたいので、今回レーベル・デザインに魅かれてOZ盤を買って大正解。それより何より、たとえそれが銀文字であっても、クラシックな BANNER STEREO デザインの「プリーズ・プリーズ・ミー」に針を落とす喜びは格別なのだ... (^o^)丿