shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

ミコ・イン・ニューヨーク / 弘田三枝子

2008-11-03 | Jazz Vocal
 弘田三枝子といえばヴァケーション、確かにその通りなのだがそれはあくまで彼女のオモテの顔にすぎない。彼女のデビューは61年、わずか14歳の時である。そのダイナミックでパンチの効いた歌声を武器にいきなりヒットを連発し「カヴァー・ポップスの女王」と言われた彼女だが、実はバリバリのジャズ・シンガーでもあった。それも小学校2年の時から米軍キャンプでジャズを歌っていたというのだから恐れ入る。そんな彼女が18歳の時、何とアメリカの「ニューポート・ジャズ・フェステイバル」で並居るトップ・ジャズメンを差し置いて3日目のトリとして出場したのだ!で、そのステージでミコのバックを務めたビリー・テイラー・トリオのベン・タッカーが中心となって彼女のニューヨーク滞在中にレコーディングしたのがこの「ミコ・イン・ニューヨーク」というわけである。まず①のRight Here Right Now を聴いてぶっ飛んだ。凄い、凄すぎる!!! これが18歳の日本人少女の歌声か?スキャットを交えながら歌うミコは完全にジャズ・ディーヴァと化しており、ベン・タッカーのベースもいきなり本気モードでブンブン唸っている。まるでベテラン・シンガーのような絶妙なヴォーカルを聞かせる②Sunny、スロー・テンポでも全く破綻をきたさずブルージーに歌いきる③Lazy Lovin、ねちっこい歌い方でドス黒いフィーリングが全開の④Ramblin' Rover に続いて、ハービー・マンで有名な⑤I'm Comin' Home Baby... 何とカッコ良いスキャットだろう!ファンキーなテイラーのピアノも、よく歌うタッカーのベースも、すべてが完璧にキマッている。ゴスペル・シンガーも裸足で逃げ出す⑥I Wish I Knew、グルーヴィーな感覚が横溢する⑦The Message... もう真っ黒けである。そしてスキャットだけで歌いきる⑧Flying Home の凄まじいスイング感... これには開いた口がふさがらない(゜o゜) 日本のジャズ史上最高のヴォーカルがここにある。実はこの盤、CDでも再発LPでも持っているのだが、あまりに素晴らしい内容なのでオリジナル盤が欲しくなり、四方八方手を尽くして探した結果、2ヶ月ほど前についに手に入れた\(^o^)/ 何でも東京のレコード店では3万円というのが相場らしいが、ヤフオクでその1/3以下の値で買えたのだ。盤も見開きのペラジャケもピカピカである。音も抜群に良い。今では家宝としてレコード棚の特等席に鎮座していらっしゃる。今年買ったレコードの中で一番嬉しかった1枚だ。

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2 コメント

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Right Here, Right Now (権ゾウ)
2008-11-03 01:24:43
今晩は、またお邪魔いたします。権ゾウです。

弘田三枝子ですか!・・いやあ僕も彼女のヴォーカルには聴くべきものが有るという噂は昔から伺っておりました。なんでも彼女は日本人離れした歌唱法と声帯
の持ち主でその筋では高い評価を得ておったらしいですね?実はこの<Right Here,Right Now>僕もビリー・テーラーの盤は持っておりますが、無難なスタンダード曲で何とか体裁をつけようじゃなくて、こういうマイナーな曲を一発目に歌わせるというところにアルバム制作の意気込みが感じられますね!まあこれは多分にビリー・テーラーの意図も反映してるとは思うのですが、それにしても売れるかどうかも分からんこの手のLPを制作した日本コロムビアに頭が下がりますね!

弘田三枝子はタダの<アスパラの姉ちゃん>じゃなかった!
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アスパラアスパラ... (shiotch7)
2008-11-03 04:25:33
権ゾウさん、コメントありがとうございます。

おっしゃる通り、このようなソウルフルなジャズメン・オリジナル中心の選曲っていうのはミコの資質を見事に見抜いた製作者サイドの慧眼といえるでしょうし、又その期待に立派に応えたミコもさすがですね。

♪アッスッパッラで生き抜こう~♪ですか!
そうそう、レナウンワンサカ娘も忘れちゃいけませんね。コマソン史上に残る名曲やと思います。
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