shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

うさぎのラビット / 中村尚美

2008-12-09 | Jazz
 カフェ・マヌーシュのベーシスト、中村さんの1st CDである。タイトルは「うさぎのラビット」。内容はカフェ・マヌーシュのようなマカフェリズム溢れるジプシー・スウィング・ミュージックではなく、ストレートアヘッドなピアノ・トリオ・ジャズである。彼女は今後もカフェ・マヌーシュと並行してご自分の「うさラビ・トリオ」の活動を行っていくそうで、まさに八面六臂の大活躍だ。そんな中村さんのブログに「うさラビCDが残り25枚になりました。増版はしませんので残りは早い者勝ちです」とあるのを見て慌てた。「まだあるからいつかそのうち...」をやって入手し損なった数々のレコードやCDの悪夢が甦ってきたからだ。特にこのような自費出版に近いマイナー・レーベルの場合、アマゾンやHMVでも扱っておらず、絶対枚数が少ないのでネット・オークションにも出てこない。速攻で販売元へオーダーし、何とかゲットした。5月に行われた「高槻ジャズ・ストリート」のライブでの阿修羅のようなベース・ソロのインパクトが強烈だったので、このCDもめっちゃ楽しみだ。タイトル曲の①「うさぎのラビット」は可愛くて軽快なメロディーを持った曲で、ちょうどビル・エヴァンスの「リトル・ルル」みたいな寛いだ雰囲気だ。10分30秒があっという間に過ぎていく。YouTubeにアップされてるPVではクレイアニメのうさぎがジャズのビートに合わせて跳ねる姿がめちゃくちゃ可愛い。②「追い風」はピアノの生田さんのナイス・アシストで中村さんのよく歌うベースが際立つナンバーだ。スロー・バラッドの③「輝くいずみ」は塩入さんのブラッシュ・ワークがヴァンガード・ライブのモチアンみたいでゾクゾクする。⑤⑧は同タイトル「あなたのいない世界で」のトリオ/デュオ・ヴァージョンだが、トリオの方が耽美的でデュオはテンポ・アップして力強くスインギーに、というのが面白い。今まで毛嫌いしていたデュオ・フォーマットだが、こんなにスイングされたら考えを改めざるを得ない。それは⑥「午後の紅茶」、⑦「迷子犬」、⑨「パラダイス」、⑩「詩人と雨」のデュオ全曲に言えることで、ドラムがいない分中村さんのベースが自由に歌いまくっている印象が強く、繊細でありながらも爽やかでシャープな演奏が楽しめる。聴き終えてみれば大満足の72分だった。晴れた日の午後に日向ぼっこでもしながらゆったりした気分に浸りたい時にピッタリの1枚だ。

うさぎのラビット



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