shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

The Best Of Emerson Lake & Palmer

2009-04-29 | Rock & Pops (70's)
 久々にプログレでいってみよう。私はジャズでもロックでもジャンルに関係なくとにかくアップテンポの演奏を好む傾向があるので、イエスでは退屈で眠くなってしまうし、ピンク・フロイドはめっちゃ好きな演奏とワケの分からない演奏が半々だ(>_<) キング・クリムゾンは基本的に大好きだが、かといってアレを毎日聴いていては身が持たない。時々取り出して聴いては緩んだ精神にカツを入れるようにしている。そんなワケで、 “プログレ四天王” と呼ばれるピンク・フロイド、キング・キリムゾン、イエス、エマーソン・レイク&パーマー(EL&P)の中で私が最も愛聴しているのがEL&Pなのだ。
 彼らが精力的に活動していたのは1970~74年で、私が物心ついて音楽を聴き始めた1975年というのはちょうどその前年に集大成的な3枚組ライブを出して活動停止期間に入った頃だったので、音楽雑誌等でそのグループ名はよく目にしたものの、実際に耳にしたのは77年に出された復帰作「ELP四部作」が最初だった。各メンバーのソロをA, B, C面に配し、D面にグループとしての新曲2曲を収めた2枚組アルバムだったが、A面のキースはオーケストラ・フィーチャーの無機的なソロ・ピアノ、B面のグレッグは生気に欠けるムーディーな小品集、C面のカールはアクション映画のサントラみたいな支離滅裂なサウンドと、事前の期待が大きかっただけにソロ・サイドには心底ガッカリさせられた。しかしD面1曲目の「庶民のファンファーレ」はドライヴ感溢れるノリノリの演奏で、キーボード、ベース、ドラムスという最小限のユニットで見事なグルーヴを生み出しており、「さすがはEL&P!」と唸らされたものだ。その後グループは解散してしまったが、彼らの全盛期の音源を聴いてみたくなった私が手始めに買ったのがこの「ザ・ベスト・オブ・エマーソン・レイク&パーマー」だった。
 まず目を引くのが日本の浮世絵を上手く使ったジャケットだ。裏ジャケでは収録曲の出自がアルバム・ジャケットと共に描かれている。ファースト・アルバム「エマーソン・レイク&パーマー」から1曲、「トリロジー」から2曲、「恐怖の頭脳改革」から3曲、ライブ盤から1曲、「四部作」のVol. 1と2からそれぞれ1曲ずつ、「タルカス」と「展覧会の絵」からは選ばれずということで今考えてみると納得のいかない選曲だが、そんな中で私が一番気に入ったのが冒頭の①「ホウダウン」だった。私がプログレに対して抱いていた “難解なロック” というイメージを木っ端微塵に打ち砕いてくれた疾走感溢れる演奏で、ライブでは更にテンポを上げて悪魔的スピードで突っ走るスリリングな演奏が楽しめる。EL&Pの楽曲にはいくつかのパターンがあるが私が愛聴してやまないのはすべてこの手のイケイケ・ハイスピード・チューンばかりで、この盤には入っていないが「展覧会の絵」の「ナットロッカー」や「タルカス」の「アー・ユー・レディ・エディ」なんかまるでジェットコースターにでも乗っているかのようなカタルシスが味わえる痛快なプレイが圧巻だ。
 痛快なプレイと言えば③「悪の教典#9第1印象パート2」も引けを取らない。これこそまさにEL&Pの “プログレッシヴな姿勢” とロックの持つ “プリミティヴな肉体的衝動” が高い次元でバランスされたキラー・チューンで、私をEL&Pの世界に深く引きずり込んだ因果な1曲でもある。マンシーニの⑤「ピーター・ガンのテーマ」はライブ音源で、これまで色々なアーティストによって取り上げられてきたこの名曲をEL&Pらしいアレンジで重心の低いドライヴ感溢れるロックに仕上げている。⑥「庶民のファンファーレ」は10分近い原曲が何と3分弱の長さに編集されていてガッカリ。ケチらずにフル・ヴァージョン収録してほしかった(>_<)
 このアルバムはベスト盤にもかかわらず全米108位という悲惨な結果に終わったということで、長尺曲の多いプログレでベスト盤を編集するのはやはり無理があるということだろう。1枚のアルバムとして聴くとどうしても散漫な印象を受けてしまうが、私のように “最初の1枚” として彼らの多様性を知り、そこから気に入った曲の入ったアルバムを聴いて深みにハマッていくというのもいいかもしれない。

この疾走感、凄いです!キースの衣装、笑えます!↓


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