shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

ウクレレ・ウルトラマン

2009-03-18 | Cover Songs
 「ウクレレ・ビートルズ」「同 Vol.2」を企画したウクレレ・フリーマガジン「ローリング・ココナッツ」誌はその後もこのウクレレ・オムニバス路線を推し進め、「ウクレレ・レノン」、「ウクレレ・ジブリ」、「ウクレレ・フォース(スター・ウォーズ・カヴァー)」、「ウクレレ・エルヴィス」といったユニークなCDを次々と世に送り出してきた。そのどれもが中々聴き応えのある内容で、ウクレレ大好き人間の私はすっかりこのシリーズのファンになり、毎回「次のテーマは何やろ?」と楽しみにするようになった。そして2006年に同シリーズ第7弾としてリリースされたのがこの「ウクレレ・ウルトラマン」なのだ。
 聞くところによると「ウルトラマン」放送開始40周年記念盤ということで、ウルトラマン世代の私としては懐かしさを禁じ得ない。ただ、いくら物好きな私でも懐かしさだけでCDを買うほどバカではない。ウルトラ・シリーズの名曲たちはスタンダードになれない凡百の“高尚なオリジナル曲”が束になっても敵わない“心に残るメロディー”の宝庫なのだ。40年という時の試練に耐えて多くの人々の記憶に深く刻みこまれ、愛されてきたこれらの楽曲のレベルの高さはハンパではない。たかが子供向けヒーローものの主題歌と侮ってはいけない。早速ネットで試聴してみるとこれがまた予想以上にエエ感じ。でも2,940円という値段設定はいくらなんでもチョットなぁ... ということで辛抱強くヤフオクとアマゾン・マーケットプレイスの二股で網を張った甲斐があってめでたく1,850円でゲットした(^o^)丿
 ①「ウルトラQメインテーマ」(ウクレレカフェカルテット)は「ジェームズ・ボンドのテーマ」と「トワイライト・ゾーン」を足して2で割ったようなエレキ・ギター主体のオリジナルをウクレレで忠実にカヴァー、つかみはOKという感じである。同じくウクレレカフェカルテットによる②「ウルトラマンの歌」はウクレレ本来の思わず和んでしまう癒し系サウンドに仕上がっており、スティール・ギターを大胆にフィーチャーして南国リゾート気分も満点だ。④「ウルトラセブンの歌」(栗コーダーカルテット)はリコーダーの醸し出すのどかな雰囲気の中、彼らお得意の超脱力系サウンドが炸裂、“セブンセブンセブン!”“ぽよぉ~ん♪”でイスから転げ落ちるかもしれない(>_<) と、ここまではまぁお約束の展開なのだがここからが凄い。まずは超キラー・チューン⑤「ULTRA SEVEN」(ラウラ)... “ワン トゥー スリフォ、ワン トゥー スリフォ♪”で始まる例の挿入歌がウクレレ独特のスイング感を得て更にグレードアップ、哀愁舞い散るアレンジに涙ちょちょぎれる実にカッコイイ演奏だ。この素晴らしさはもう実際に聴いて実感するしかない。
 ⑨「ウルトラマンエース」(キヨシ小林とウクレレスウィングギャング)も強烈だ。メロディーは確かにエースのそれなのに、ジプシー・スウィング仕込みのキヨシ小林氏の弦が切れそうなほどピーンと張り詰めたテンションの高い演奏が武骨きわまりない原曲を全く別の曲かと思うくらいカッコよくスイングさせ、見事なフォービート・ジャズに昇華させているのだ。もう恐れ入りましたと言う他ない。⑩「ウルトラマンタロウ」(IWAO)ではあの勇壮な原曲の面影は完全に消えうせ、品格滴り落ちるウクレレ独奏が曲の髄を見事に引き出し、曲の奥深くに封印されていた哀愁を呼び覚ます。3分2秒あたりからテンポ・アップして一気にクライマックスへもっていく怒涛の展開はまさに圧巻だ。とにかくこれら⑤⑨⑩は改めて原曲の良さを再認識させられる凄いカヴァーだと思う。「ウクレレ・ウルトラマン」、ナメてかかると大やけどをしそうな1枚だ。

ウクレレウルトラマン

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