shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

ビートルズ・ルーツ特集②Marvelettes & Cookies

2015-09-18 | Oldies (50's & 60's)
ビートルズ・ルーツ特集第2弾はマーヴェレッツとクッキーズ。前回に引き続きガール・グループ・オリジナルとの聴き比べでお楽しみください。

①Please Mr. Postman / Marvelettes
 私が最初に買った洋楽のレコードはカーペンターズで、中でも「プリーズ・ミスター・ポストマン」という曲はそれまでコテコテの昭和歌謡しか聴いたことが無かった私にとって実に新鮮なメロディーとサウンドを持っており、たちまち夢中になって来る日も来る日も同じレコードを繰り返し聴いて悦に入っていた。しかしその後しばらくしてビートルズのヴァージョンを聴いた時、頭をハンマーでガツンとやられたような凄まじい衝撃を受けた。
 一聴するとカーペンターズの方が遥かにモダンで、まさに “洗練の極み” とでも言うべきサウンドなのだが、ビートルズによるこのカヴァーは、荒削りながら何か聴き手の気持ちをドンドン叩くようなところがあり、心に引っ掛かって何度も何度も脳内リピートされるのは武骨でエネルギーに満ち溢れたビートルズの方だった。特にジョンの艶々した歌声の吸引力は凄まじく、絶妙な “間” を活かしたバック・コーラスとのコール&レスポンスもたまらんたまらん(≧▽≦)  この曲はアルバム「ウィズ・ザ・ビートルズ」の中でも三指に入る名曲名演だと思っている。
 そんな私がこの曲のオリジナルであるマーヴェレッツのヴァージョンを聴いたのはかなり後になってからのことで、その典型的なデトロイト系黒人ガール・グループ・サウンドのグルーヴが大いに気に入り、魅力的なジャケット・デザインに魅かれたこともあって、この曲が入った彼女らのデビュー・アルバム(←しかも白レーベル!)を買ってしまったほどだった。今回45回転7インチ盤を $6.78(約820円!)で手に入れたのでLPの音と聴き比べてみたところ、予想通りシングル盤の方がギザッとくる荒ぶった音(?)がして大喜び(^o^)丿 ビートルズやロネッツでもそうだったが、状態の良い初期プレスの45回転盤をモノ針で聴く、というのが今の私にとって最高の贅沢なのだ。
Please Mr. Postman - The Marvelettes (1961) (HD Quality)

The Beatles - Please Mister Postman (2009 Mono Remaster)


②Chains / Cookies
 クッキーズはキャロル・キングやリトル・エヴァが所属していたディメンション・レコードから数枚のシングルを出したNYブルックリンの黒人ガール・グループで、リトル・エヴァの「ロコモーション」でバック・コーラスを担当したことでも有名だ。この「チェインズ」は「ロコモーション」と同じくキャロル・キング=ジェリー・ゴフィンの作品で、そのせいか同じブラック・ミュージックでも上記のマーヴェレッツのようなモータウン系グループとは少し肌合いが異なり、ブリル・ビルディング系ならではの音作りがなされている。黒人音楽に傾倒し、ガール・グループをこよなく愛し、ゴフィン=キングをリスペクトするビートルズがクッキーズをカヴァーしたのも当然の成り行きと言えるだろう。コーラス・ワークだけでなく、初期ビートルズの大いなる魅力の一つとなったハンドクラッピングの効果的な使い方にもガールグループからの影響が見て取れるが、この曲なんかはその典型と言ってもよさそうだ。
 リード・ヴォーカルのアール・ジーンのソフトでちょっとハスキーな歌声は “コテコテの黒人音楽はちょっと苦手...(>_<)” という人でも抵抗なく楽しめそうな心地良さで、バック・コーラスとの掛け合いも絶妙だ。あの竹内まりや姐さんにも大きな影響を与えた名ヴォーカル・グループ、クッキーズの真骨頂とでも言うべき名曲名演になっている。尚、このシングル盤も上記のマーヴェレッツと同じレコード屋からまとめて大人買いしたもので、こちらは更に安くてたったの $5.00(約600円)だった。アメリカからの送料を考えると7インチ盤は10枚単位でごそっと買った方が断然安上がりだ。
 ビートルズのヴァージョンはクッキーズのオリジナルよりもアップテンポで演奏されており、ジョージの生硬な歌声とジョンとポールの変幻自在なバック・コーラスが生み出すコントラストの妙が一番の聴き所。偶然そうなったのか、あるいは意図的にジョージのヴォーカリストとしての “青臭さ” を巧く利用したのかは分からないが、いずれにせよビートルズのコーラス・ワークの素晴らしさを堪能できる1曲であることは間違いない。歯切れの良いギター・ストロークもこの曲の名演度アップに大きく貢献していると思う。
The Cookies - Chains (1962)

The Beatles - Chains (2009 Mono Remaster)

コメント (4)    この記事についてブログを書く
« ビートルズ・ルーツ特集①The ... | トップ | ビートルズ・ルーツ特集③The ... »

4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
オリジナル&ビートルズ最高 (fab-for)
2015-09-18 07:34:38
shiotchさんこはようございます。
ゴフィン&キング出ましたね。

実は私がオールディーズにはまったきっかけは、まさにビートルズがカバーした曲のオリジナルを聞き始めたことだったんです。

ですからこれらの曲のオリジナルシングルを集めることは本当に素晴らしいことだと思います。

続きを楽しみにしています。
返信する
オールディーズは楽しいなー (shiotch7)
2015-09-18 18:01:18
fab-forさん、
私がオールディーズにハマっていったきっかけもビートルズでした。
初期のカヴァー作品はもちろんのこと、
ジョンの「ロックンロール」やポールの「ロシアン・セッション」などのソロ作品でも
未知の名曲を色々と知ることが出来ました。
それにしても彼らの選曲センスは素晴らしいですね。
しばらくはこの企画でいこうかなーと思うとりますので宜しければお付き合いくださいませ。
返信する
最初に買った洋楽 (ヒロ)
2015-09-24 11:18:47
shiotch7さん、こんにちは。

初めて買った洋楽のレコード、
今でもはっきり覚えています。
当時東芝EMIから「新譜」で発売された
ビートルズのオランダ編集盤
「グレイテスト・ヒッツ」です。

ちなみに邦楽?は
心斎橋そごうのレコード売り場で買ってもらった、宮内洋の「仮面ライダーV3」の主題歌です(笑)


このアルバムのB面ラストに
オール・マイ・ラヴィングが収録されていて、
これがいわゆるハイハットバージョンだったんです。
当時はそんな知識も持ち合わせておりませんでしたので、私の中ではハイハットバージョンが
スタンダードになっていました。

それから「赤盤」やら「ウィズ」を
カセット(懐)にダビングした際に、
ハイハットカウントが入ってないので、
ヤバイ!針が飛んだ(>_
返信する
It was 40 years ago today♪ (shiotch7)
2015-09-24 19:54:27
ヒロさん、
私の洋楽入門はカーペンターズ⇒ビートルズ⇒その他のロック(クイーンキッスエアロスミス)という感じでした。
あの頃はディープパープルからオリビアニュートンジョンまで、何でも聴いてましたね(笑)
因みに邦楽は6歳の時に買った「帰ってきたヨッパライ」が最初でした。

ハイハット入りオールマイラヴィングを初めて聴いたのは
確か8枚組「リバプール・ボックス」だったと思いますが
えー、こんなんあるんや!!!とインパクト絶大でした。
他アーティストとは違い、ビートルズの別ヴァージョン(ミックス)は
十分傾聴に値するものばかりですね。
返信する