shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

「Help!」メキシコのプロモ盤

2023-09-17 | The Beatles

 私がビートルズの各国盤を集めるのは、独自マトやプレスの違いでUKオリジナル盤とは一味違った音が楽しめるというのが一番の理由だが、ごくたまにその国独自のアートワークで “おぉ、このジャケットめっちゃエエやん!” とジャケ買いするケースがある。有名なところではフランスの「ホース・カヴァー」やデンマークの「エスキモー・カヴァー」、オランダの「シェル・カヴァー」などがあるが、これら以外にも全世界規模でまだまだ存在しているだろう。eBay検索では基本的にページをスルロール・ダウンしながら良さそうなアイテムを探していくので、そういう珍しいジャケットのブツがあるとパッと目に留まるのだ。
 ある時「Help! LP」で検索していてとてもユニークな色遣いの盤を見つけた。白地に茶系色を基調にした、まるで70年代の海賊盤を思い起こさせるようなアートワークが目を引く。何じゃこりゃ?と思ってタイトルを見ると “Mexico Promo Radio Unique cover PS” とある。へぇ~、こんなプロモ盤があったんか... 初めて見たわ... と思いながら商品説明を読むと “Promo Radio Station: The record is official. The cover is promo art.” ということで、どうやら正規盤らしい。更に “Megarare cover Mexico LP promo record, in great conditions, no marks or writings, minimal acoustic noise, very hard to find, unique cover, very nice copy.”(珍カバーのメキシコ・プロモ盤、状態良好でスレ・書き込み無し、ノイズ最小限、入手困難、ユニークなカバーの良盤)と書いてあったのと、$40という手頃なお値段に釣られてウォッチリストに入れることにした。
 メキシコ・キャピトルの「Help!」ということは、A①「Help!」のイントロに007のテーマがくっついているUS盤と同じ内容ということである。これまで何度も書いてきたように私はビートルズのUS盤に対して良い印象を持っていない。アルバムをバラバラに解体して云々とかいう以前の問題として、単純に音そのものが眠たいからである。エコーがドバーッとかけられた盤は論ずるにも値しないが、それ以外のレコードもUK盤の足元にも及ばないヘタレな音ばかり。例外的に音が良い「Magical Mystery Tour」以外はターンテーブルに乗ることは滅多にないし、それより何よりUS盤の半数以上は持ってすらいない。
 「Help!」のUS盤に関して言うと、大昔に$9.99で買ったモノ盤が1枚あるだけで、しかも「I Need You」のイントロにザーッという不快なノイズが入っているのが嫌で隣室のレコード墓場に眠っている。このメキシコ・プロモ盤の盤質が “最小限のノイズ” という説明通りならジャケットと中身の一石二鳥というワケだ。因みにメキシコの通常盤を調べてみたら、ほぼ同じアートワークでビートルズの写真だけがカラーというものだった。
 これはジャケットも珍しいしビッドが集中したらいらんなぁ... と思いながらとりあえず$60でスナイプしたところ、あっけなく$42で落札。USキャピトル系のビートルズってやっぱり世界的に人気無いんやなぁ... と思いながらも珍盤を安く買えて嬉しかった。これで音が良かったら万々歳だが、そっちの方はまぁボーナスみたいなものだ。
 送料が安かったせいか、3週間かかって今日到着したばかり。お目当てのジャケットは問題ナシのグッド・コンディションだったが盤の方は満身創痍で、更に悪いことにB②とB⑤にえげつない深キズがある。“これのどこが no marks やねん!” と思いながら恐る恐る針を落としてみると、無音部では結構なチリパチ・ノイズが入るものの音楽が始まると音圧の高さとモノ針のおかげで見た目ほど酷くはない。少なくともSP盤よりはマシなレベル(笑)だが、やっぱり盤質詐欺は気分が悪い。試しにステレオ針に変えてみるとこれがもう聞くに堪えないくらいの盛大なノイズの嵐でビックリ。特に深キズの箇所なんかヤバすぎて思わず針を上げてしまうほどで、no marks / minimal acoustic noise が聞いて呆れる。まぁUSマザーと言うことで最初から音に期待はしていなかったが、それでもウソはいかんでしょ! それともこのメキシコのセラーは目も耳も不自由なのだろうか?
 気になるマトリクスはと言うと、手持ちのUS盤「Help!」を隣室から引っ張り出してきてデッドワックス部を見比べてみたら、同じキャピトルにもかかわらずメキシコ独自のマトだった。面白そうなので聴き比べてみたところ、US盤の方が明らかにクリアーなサウンドで、しかもメキシコ盤のA①「Help!」は1:50あたりで一瞬音がこもる箇所があって(→メキシコに送られたマスターテープの不良か???)、レッドブルのヘルムート・マルコじゃないが(←F1ファンにしかわからないネタですんません...)メキシコは所詮メキシコなんやなぁと思わされた。
 このように盤質・音質に関してはハズレだったが、先に書いたようにそもそもこのレコードは “目で楽しむ” 珍盤として取ったものなので特に問題はない。今後ターンテーブルに乗ることはあまりないと思うが、時々取り出してジャケットを眺めるには良いアイテムだ。まぁ明日も休みやし、久しぶりにタコスでも作ろうかな...(^.^)
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