shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

映画「Get Back」最高でした!③

2021-12-03 | The Beatles
 パート3はDay 17: 1/26からスタート。クライマックスのルーフトップ・コンサートを目前に控え、休日返上で頑張るビートルズである。日曜日ということでポールはリンダの娘ヘザーをスタジオに連れてきたのだが、この娘がまた天真爛漫そのものでやりたい放題。リンゴの横で一緒にドラムを叩く姿なんかもめっちゃ可愛いが、一番可笑しかったのは奇声を上げるヨーコを “何やこいつ...???” とでも言いたげな表情でじーっと見つめた後、自分も真似をして奇声を上げるところ。子供ってホンマに正直な生き物なんやなぁとこのシーンを見て大爆笑してしまったが、とにかくスタジオ内を所狭しと跳ね回るヘザーちゃんこそ文句なしにこの日のMVP(?)だ。
 そんな彼女がグルグル回ったりポールに高い高いをしてもらう映像が楽しい「Dig It」は凄まじいグルーヴがめちゃくちゃカッコ良い演奏で、出来ることならこれの全長版の映像を観てみたかったが、ここでもビリー・プレストン効果は絶大だ。続く「Blue Suede Shoes」と「Shake Rattle And Roll」はもう最高! 50'sのロックンロール・クラシックスを演らせたらビートルズの右に出る者はいない。とにかくみんなノリノリで実に楽しそうだ。
 その後、みんなで集まって「The Long And Winding Road」のアレンジを話し合うシーンも実に和やかな雰囲気で、あれほど(音楽的にというよりも物事の進め方の点で...)対立していたポールとジョージがお互いをリスペクトしながらポジティヴな意見を交わしているシーンを見てとても幸せな気分になれた。これこそがオリジナル映画「Let It Be」に欠落していた視点であり、ジャクソン監督が今回一番見せたかったものだろう。
 Day 18: 1/27は前日のロックンロール・メドレー(←「Blue Suede Shoes」をバックにジョンとポールが2人で楽しそうに踊りまくる映像が最高だ!)のプレイバックを聴いた後、ジョージの「Old Brown Shoe」を演っている映像になるのだが、最初はブラッシュでドラムを叩いていたポールが今度は右利き用のギターを逆にして弾きまくるシーン(←これはもう凄いとしか言いようがない...)やビリー・プレストンが6弦ベースを弾くシーン(←こんなん初めて見た...)など、お宝映像が満載だ。それと、ジョンがおらへんなぁと思って見てたら何と機材搬入の手伝いをしていてビックリ。天下のジョン・レノンが引越センターの兄ちゃんみたいなことをやってるのが可笑しかった。
 次はメンバーがランチに行っている間にスタッフ連中が即興でジャム・セッションをやっているシーンが見れるのだが、ギターがグリン・ジョンズでエレピがアラン・パーソンズ、6弦ベースがクリス・トーマスという濃いメンツで(←ドラムとヴァイオリン・ベースは名前わからん...)ロックンロールではなく4ビート・ジャズを演奏しているのも実に興味深い。とにかくこの映画は見返せば見返すほど新たな発見があるので今週は他のことが全く手につかない。
 午後のセッションでは「Get Back」を何度も繰り返して演奏して曲を作り込んで行こうとするビートルズと“やりすぎると悪くなるから他の曲にしろ” というジョージ・マーティンの意見の対立が見れるのが興味深いところ。出来の良いテイクを編集で繋げようというマーティンにジョンが異を唱えると、グリン・ジョンズが “ということは全曲納得いくまでやる気なの?(意訳:ホンマええかげんにしてくれよ)” と突っ込むところが面白かった。
 Day 19: 1/28は悪天候の予報で1日延期を余儀なくされたルーフトップ・コンサートまで残すところあと2日。ジョンの “まだまとまってない曲をやろう。” という提案でジョージの新曲「Something」が登場。“Something in the way she moves...♪” に続ける歌詞が浮かばないと悩むジョージに対して “とりあえず Attracts me like a cauliflower...(カリフラワーのように僕を魅了する)とかテキトーに入れといて後で考えればいいじゃん” とアドバイスするジョン。ジョージも “じゃあザクロにしとこーか...” とか、このあたりのやり取りも実に面白い。
 この後ジョンがジョージに向かってアラン・クラインの素晴らしさを力説するシーンが出てくるのだが、詐欺師クラインに見事に丸め込まれてしまっているのがよくわかる話しっぷりだ。このセッション終了後、4人はクラインと初めて会うことになるのだが、これがビートルズ解散への引き金を引いたのだと思うと無性に腹が立つ。ビートルズ・ファンにとって、八つ裂きにしても足りない奴はマーク・チャップマンとこいつではないか。
 Day 20: 1/29はグリン・ジョンズがジョンに “クラインは詐欺師だから気をつけた方がいい...” と忠告するシーンがあるがジョンは耳を貸そうともしない。ジョンはロックンローラーとしては不世出の天才だが、世間知らずすぎて邪悪な人間からしたらカモなのかも...(>_<) その後、テレビ特番がどーとかライヴ・ショーがこーとかグループ内で延々議論が始まるのだが、私の理解力が乏しいせいか誰が何を望んでいるのかイマイチよくわからなくなってきた。結局すったもんだの末に屋上でやることに決定。候補曲のタイトルを「Dig It」のリズムに乗せて歌っていくジョンとポールが面白かった。
 それと、ジョンがキング牧師の「I Have a Dream」の演説を「I Want You」の替え歌にして歌っているシーンがあるが、歌詞がメロディーにバッチリ合っていて実に面白い。そういえばパート2のDay13でもジョンは「I've Got A Feeling」を歌いながらアドリブで“I had a dream this afternoon.” というフレーズを入れてみたり、キング牧師のモノマネまで披露して “素晴らしい... まるでテニスンの詩のようだ。” とベタ褒めしたりしていたっけ。まぁそんなこんなでこの日のリハは終了。明日はいよいよルーフトップ・コンサートだ。 (つづく)
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