shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

Again / Eddie Higgins Trio

2010-05-21 | Jazz
 昨日仕事から帰ってきて届いたばかりの CD を聞こうとするとスピーカーから音が出ない。よくよく見ると愛器マッキン240(パワー・アンプ)の真空管に火が灯っていない。昨日までは何の問題もなく元気にアルテック・ヴァレンシアを駆動していたというのに、うわぁ... 又壊れたんか... と凹む私。2年前もやはりこんな感じで何の予兆もなく突然音が出なくなってしまったのだが、あの時は真空管が逝ってしまっていたし、その前に壊れた時はヒューズがとんでいた。そう、ウチのマッキンは2年周期で壊れる(←なぜかいつも5月!)のだ。それならばとヒューズを換えたりタマを換えたりしてみたが、スピーカーはウンともスンとも言わない。
 ヴィンテージ・オーディオは最新の機器では出せない濃厚な音が楽しめる反面、どうしても壊れるリスクが大きいので、クラシック・カーに乗るようなモンだと頭ではわかっているのだが、やはり実際に音が出なくなるとめっちゃ淋しい。この何ともしがたい喪失感は音楽ファンなら分かってもらえるだろう。私はとりあえず接点復活剤を使って自分で整備してみることにした。
 プリアンプからコンセントを抜き、ネジを外してカヴァーを開けると中はもう埃だらけだ。こんなんじゃあ音も出んようになるわなぁ... などと反省しながら丹念に掃除機で埃を吸っていく。中身がキレイになったところで今度は真空管をすべて抜いて差し込み口をエアー・ダスターで洗浄し、最後にピン・プラグのジャックをクリーニングして作業終了だ。コンセントを手近にあったタップに挿すとタマがほのかなオレンジ色に光り始めた。へぇ~効果あったんや... と感心しながら今度はコンセントをプリアンプの連動電源に挿すと電気が来ない。コレってひょっとしてプリアンプの差し込み口が壊れとったん?あ~アホくさ(+_+) もう面倒くさいのでパワー・アンプはスイッチ付きのタップに挿すことにして一件落着!私はこのようにオーディオをいじった後は必ず何枚かのアルバムで音質チェックをするのだが、今日はそんな中の1枚、エディー・ヒギンズ・トリオの「アゲイン」を取り上げたい。
 私はこれまで何度も書いてきたようにガツン!とくるピアノトリオが大好きなのだが、そんな私にピッタリのレーベルが日本のヴィーナス・レコードだ。その生々しい音作りが迫力満点な “ハイパー・マグナム・サウンド” シリーズの中でも私が最も愛聴し、しばしばオーディオ・チェックに使うのがこの「アゲイン」の3曲目に収められた「祇園小唄~京都ブルース」だ。前半部は静謐なピアノ・ソロなのだが、2分28秒あたりから剛力ベース&ブラッシュがスルスルと滑り込んできて、軟弱そうなジャケットからは想像もつかないようなエネルギー感溢れるノリノリの演奏が楽しめる。ムンムンするような好旋律を連発するヒギンズのクリアーなピアノ、重厚でありながらよく弾むレイ・ドラモンドのベース、あらゆる技巧を駆使して巧みにリズムを作り出していくベン・ライリーのブラッシュ... 組んず解れつしながら疾走する三者の絡み合いがまるで手に取るように目の前で展開される様は実にスリリングで、オーディオ雑誌でも “リスニングルームにヒギンズ・トリオが出前に来たようなリアリティー(←ピザ屋かよ!)” と大絶賛されていたが、私もまったく同感だ。以前ヴォリュームを上げ過ぎたせいでスピーカーの上に置いてあったサッチモのペーパーウエイトが振動で床に落下して突き刺さったのには本当に驚いたものだ。
 私はコレを最初通常盤で買い、その後ゴールド CD が出た時に買い直したのだが、2枚を聴き比べるとゴールド CD の方が音の透明度がアップしている半面、野放図なエネルギー感はやや後退しているように思える。これは他レーベルのゴールド CD でも共通して感じられる傾向で、少なくとも私のような猥雑な音を好む人間にはゴールド CD は向かないようだ。とにかく躍動感溢れるリズムがたまらないこのアルバム、いつか SACD で聴いてみたいなぁ、と思わせる現代ピアノトリオ・ジャズの傑作だ。

エディ・ヒギンズ・トリオ

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