shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

月影のキューバ / 森山加代子

2011-11-10 | 昭和歌謡・シングル盤
 今日も大好きなカヨちゃんでいこう。曲は「月影のキューバ」。実はこの曲、私は長い間「月影のナポリ」とごっちゃになっていて、どっちがどっちか中々覚えられなかった。「月影の」+「地名」という組み合わせがモロにかぶってしまうし、原題が英語じゃないので luna 以外は何のこっちゃサッパリ分からない。ビートルズで育った私は曲の名前は英語で覚えるクセがついているので、フレンチやイタリアン・ポップスは曲名の区別がつかず、邦題に頼るしかないのだ。
 しかもカヨちゃんは「キューバ」と「ナポリ」の両方ともシングルとして出しており、紛らわしいことこの上ない(←そういえば、ザ・ピーナッツも「キューバ」と「ナポリ」の両方とも歌っているが、カヨちゃんとザ・ピーナッツって競作が多いように思うのは気のせいか...)。シングル盤を手に入れてからはジャケットと曲が頭の中でリンクしたみたいで、 “「キューバ」はグレーに黄色いタイトル文字の方、「ナポリ」は赤っぽい方” (←彼女がかぶってる帽子は同じやけど...)という風に識別できるようになったが、それでもちょっと油断すると間違えそうになるから困ったものだ(>_<)
 この曲のオリジナルはキューバの人気歌手セリア・クルスが1960年に歌って大ヒットした「Magica Luna(マヒカ・ルナと読むらしい...)」という曲で、いかにも日本人ウケしそうなエキゾチックなメロディーがたまらない。私はサザンの桑田師匠が得意とする “ラテン歌謡” 路線のルーツはこのあたりにあるのではないかと密かに考えている。語感重視で意味不明のコトバを並べて歌詞を空洞化する手法もひょっとするとカヨちゃんの影響だったりして...
 カヨちゃんの歌声はイントロの “パィヨ パィヨ パッパラララ~♪” から蒼白い月の光を想わせるクールな雰囲気に溢れ、他の曲で聞けるのとは違って少し抑制されたような歌い方ながら、時々我に返ったように高音で声がひっくり返る “カヨちゃん節” (←アイドルの基本ですね...)がチラリとのぞくあたりが実に微笑ましい。「白い蝶のサンバ」で華麗な復活を遂げた70年代のねっとりした厚化粧熟女唱法(?)も捨てがたいが、やっぱり森山加代子はもぎたてのフルーツのような魅力に溢れていた60's前半のアイドルお姉さん時代が最高やね!
 カヨちゃん以外でこの曲をカヴァーしているのがザ・ピーナッツと西田のさっちゃん。私の贔屓のアーティストがこぞってこの曲を取り上げているというのが興味深いが、まさに三者三様というか、曲の髄を見事に引き出す中村八大アレンジで水を得た魚のようにノビノビと歌うカヨちゃん、史上最強のコーラス・ハーモニーと宮川センセのコモエスタなラテン・アレンジが絶品(←“ムッチョ ムッチョ ベッサメ ムーチョ~♪” のフレーズを挿入するアイデアなんか最高やね...)なザ・ピーナッツ、 “西田佐知子” としての歌唱スタイルを完成させる直前の生硬な歌声を聴かせるさっちゃんと、それぞれの持ち味を生かした「キューバ」に仕上がっているのが面白い。
 歌詞もそれぞれ全くの別物で、 “月のキューバの夜のことよ 甘い恋の想い出~♪” で始まるホセ・しばさき版がカヨちゃん、“月影青いヤシの下 可愛いキューバの娘が~♪” で始まる音羽たかし版がザ・ピーナッツ、そして “青い夜はキューバ娘 お月様に祈るよ~♪” で始まる松坂直美版がさっちゃんだ。このように歌詞もアレンジも歌唱スタイルもかなり異なっているので、私のような聴き比べ好きは楽しくってしょうがない。あなたはどの「キューバ」がお好きですか?

森山加代子 月影のキューバ


ザ・ピーナッツ 月影のキューバ


西田佐知子 月影のキューバ

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