shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

Kisses On The Bottom / Paul McCartney (Pt. 2)

2012-03-22 | Paul McCartney
 このアルバムで初めて知った曲の中では⑩「マイ・ヴェリー・グッド・フレンド・ザ・ミルクマン」がお気に入り。古くはストライド・ピアノの名手ファッツ・ウォーラーが、最近ではクラプトンがカヴァーしているらしいのだが、ここでは①⑥と並ぶ軽快なナンバーに仕上がっており、ジェフ・ハミルトンとジョン・クレイトンのリズム隊が生み出す絶妙なスイング感がめっちゃ気持ちいい。アイラ・ネーパスのひなびたトロンボーンがこれまた実にエエ味を出しているし、アンソニー・ウィルソンのツボを心得たギター・プレイも聴き所。基本的にはバラッド色の濃いアルバムなので、①⑥やこの⑩といったミディアム・スイング・ナンバーがアルバムの絶妙なアクセントになっており、次はアップ・テンポでノリノリにスイングするポールを聴いてみたい... そんな気にさせる名演だ。
 ⑫「ゲット・ユアセルフ・アナザー・フール」もめっちゃ好き(^o^)丿 この曲の聴き所は何といってもエリック・クラプトンのブルージーなギターに尽きるだろう。最近の枯れ果てた老木みたいなイメージの(←失礼!)クラプトンとは別人のような渋くてカッコ良いソロだ。そんなクラプトンに絡んでいく剛力ベースは何とあのクリスチャン・マクブライド! もう何も言うことありません(≧▽≦)  そんなバックの名演に支えられたポールの歌声もリラクセイションに溢れており、私にとってこのアルバム中最高の掘り出し物がこのトラックだった。
 未知の曲の中で、残りの④「モア・アイ・キャノット・シー・ユー」、⑥「ウィー・スリー」、⑨「オールウェイズ」の3曲は演奏レベルは相変わらず高いのだが、如何せんメロディーが薄口すぎて私にはイマイチ。ジャズでもロックでも音楽のジャンルを問わず、思わず口ずさみたくなるようなキャッチーなメロディーこそが何よりも大切だ。
 ポールのオリジナル3曲の中ではやはり⑧「マイ・ヴァレンタイン」が出色の出来。タイトルは超有名スタンダード曲の「マイ・ファニー・ヴァレンタイン」と間違えそうだが、あの地味な旋律の一体どこがエエのかよく分からない「マイ・ファニー...」なんかよりもポールの「マイ・ヴァレンタイン」の方が遥かにメロディアスで心に残るナンバーだ。この哀愁舞い散る曲想と品格滴り落ちるクラプトンのギターの組み合わせはヘタなスタンダード曲も裸足で逃げ出す素晴らしさで、ビートルズ時代から数々の名曲を生み出してきた “20世紀最高のメロディー・メイカー” ポールが2012年の今もなお健在なのがファンとしては何よりも嬉しい。
 ⑭「オンリー・アワ・ハーツ」は⑧に比べるとやや凡庸な曲だが、ゴージャスなストリングス・アレンジとスティーヴィー・ワンダーの参加がポイントか。特に一聴してそれと分かるスティーヴィーのハーモニカはもう人間国宝級の名人芸と言っていいだろう。
 1979年リリースのアルバム「バック・トゥ・ジ・エッグ」のラストで異彩を放っていたジャジーなナンバー⑮「ベイビーズ・リクエスト」の再録がポールのジャズ・スタンダード・アルバムに入ると聞いて気になっていたポール・ファンは私だけではないだろう。この曲は元々ポールがミルス・ブラザーズのために書いたものだが、レコーディングの話がポシャッてしまい結局はウイングスのアルバムに入れられたという曰く付きのナンバーで、オリジナルの演奏は当然ウイングス。今回のセルフ・カヴァーは何と言ってもバリバリのジャズ・ミュージシャン達による演奏なので一体どんなヴァージョンに仕上がっているのか大いに楽しみだった。
 で、聴き比べた結果なのだが、私としては僅差でオリジナル・ヴァージョンに軍配を上げたい。やはりポールの歌声に張りがあるし、リンダのあのヘタウマ・バック・コーラスが無いと何かしっくりこないのだ。この2012年ヴァージョンの方はバックのコーラスが何か味気ないし、エンディングのアレンジも、シンプルにまとめたオリジナル・ヴァージョンの方が曲の余韻に浸れてメロウな曲想にバッチリ合っているように思う。ただ、ダイアナのピアノとリギンスのブラッシュ、そしてアイラ・ネーパスの歌心溢れるトロンボーン・ソロはさすがの一言。このアルバムで聴ける個人技の水準は異常なほど高い。
 今年でビートルズのデビューからちょうど50年、つまり半世紀の長きにわたって素晴らしい音楽を作り続けて私たちを楽しませてくれるポール・マッカートニー... この人と同時代を生きることが出来て本当に幸せだ。

下に貼り付けたのは我がブロ友 shoppgirl姐さんが作られた動画です。静止画像しか使えない ITド素人の私にとってはまるで魔法のような編集テクニック(゜o゜) エンディングで画面左下に出る “訳詞 shoppgirl” が超カッコイイし、shoppgirljapan っていう IDネームも洒落てますね。でも japan があるってことは shoppgirl-USA や shoppgirl-RUSSIA なんかもあるのだろうか... YouTube動画に仕込んだサブリミナル効果で密かに世界制覇を狙ってたりして... あぁおそロシア(>_<)
Paul McCartney / My Valentine

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