shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

ロックンロール黄金時代 / モット・ザ・フープル

2012-05-08 | Rock & Pops (70's)
 私がモット・ザ・フープルというバンドの存在を初めて知ったのは高校生の時だった。彼らはシングル・ヒット曲を連発するタイプのバンドではなかったので、ヒット・チャート番組が主な情報源だった私はそれまで彼らの曲を聴いたことがなかったのだが、音楽雑誌の「ロック名盤○○」とかいう記事のライヴ名盤特集で彼らの「ライヴ」が取り上げられているのを読んで興味を持ったのだ。当時はもちろん今のようにすぐにネットで試聴できるような恵まれた環境ではなく、ライターの文面からどんな音かを想像して自分の好みに合いそうなら安い中古盤を探して買うようにしていたのだが、 “聴く者をアブナイ衝動に駆り立てる暴力的なロックンロール” という表現や、「華麗なる煽動者」というインパクト抜群の邦題、そしてその風変わりなバンド名が気に入って、すぐに日本橋のワルツ堂へアルバムを買いに行った。
 しかし残念ながらお目当てのライヴ盤は置いておらず、代わりに彼らの代表曲と言われる「オール・ザ・ヤング・デューズ」(邦題:すべての若き野郎ども)を収録した同名のスタジオ録音盤が安かったので買って帰り、 “まぁライヴ盤とはちゃうけど、その暴力的なロックンロールとやらで思いっ切り煽動してもらおうやないか...” との期待に胸を膨らませてレコード盤に針を落とした。しかし聞こえてきたのは暴力的とは程遠い端正なグラム・ロック・サウンドで、事前の期待とのあまりのギャップに愕然とし、しっかりと聴き込みもせずに2・3回聴いて売っ払ってしまった。今の耳で聴くとイントロのギターの泣き加減とかサビの盛り上がりとか中々エエ感じの名曲なのだが、ひたすら “暴力的なロックンロール” を求めていた当時の私(笑)には刺激が足りず平板に聞こえたのだった。
 そしてその後しばらくの間は “モット・ザ・フープル = 期待外れ” と頭の中に刷り込まれてしまっていたのだが、そんな私の誤解を木端微塵に打ち砕いたのがこの「ゴールデン・エイジ・オブ・ロックンロール」(邦題:ロックンロール黄金時代)という曲だった。確かラジオの “ブリティッシュ・ロック特集” みたいな番組で流れてきたのを偶然耳にしたのだが、そのあまりのカッコ良さにブッ飛んだのを今でもよく覚えている。それはワイルド&アグレッシヴなサウンドでグイグイ押してくる痛快無比なロックンロール・ブギーで、 “1曲まるごとノリの塊” といっても過言ではないぐらいの圧倒的なグルーヴが脳の快楽中枢を刺激するのだ。この理屈を超えた生理的な快感こそロックンロールの原点だろう。ボブ・ディランの影響を感じさせるイアン・ハンターのヘタウマ・ヴォーカルがこれ又実にエエ味を出しており、私はこの曲こそが70年代ブリティッシュ・ロックが生んだ偉大なるロックンロール・アンセムだと思う。

MOTT THE HOOPLE - The Golden Age Of Rock And Roll (1974 UK TV Appearance) ~ HIGH QUALITY HQ ~


 そんな大名曲であるにも関わらずカヴァーが少ないのはモット・ザ・フープルによるオリジナル・ヴァージョンがあまりにも完璧すぎて誰も手を出せないからではないだろうか? だからこそデフ・レパードがアルバム「Yeah!」でオリジナルへのリスペクトに溢れたカヴァーを聴かせてくれた時はめちゃくちゃ嬉しかったし、 “イエロー・モンキー祭り” の時に取り上げたフープルへのトリビュート・アルバム「モス・ポエット・ホテル」の中で甲本ヒロト率いるハイロウズがカヴァーしたヴァージョンもロックンロールへの愛情がビンビン伝わってくる名カヴァーだ。
 「最近どう?」
 「レコード買ってるよ」
 「レコードっつーとやっぱ何かね?」
 「やっぱロックンロールしかないね」
 「何つってもロックンロール黄金時代~♪」
というイントロのダイアローグから一気に盛り上がっていき、 “バンバンバン~♪” へとなだれ込む展開なんかもうたまらんたまらん(≧▽≦)  やっぱりロックンロールは最高やね...(^o^)丿

THE HIGH LOWS THE GOLDEN AGE OF ROCK'N ROLL ~ロックンロール黄金時代~

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