shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

Meet The Smithereens

2010-06-08 | Beatles Tribute
 3年くらい前だったか、私はビートルズの面白カヴァーにドップリとハマっていた時期があって、それ以降はビートルズ・トリビュートものを見つけたら必ず買うようにしてきたのだが、その結果として様々なコンピレーション盤がウチの CD 棚に並ぶことになった。輸入盤の選曲は個性的で面白いものが多かったが、東芝EMI編集による国内盤は似たような内容のものを定期的にリリースするという芸の無さで、私は10年くらい前に買った「ゴールデン・スランバーズ」というタイトルの CD 1枚で十分だった。
 しかし2003年に出た「ヤー・ヤー・ヤー」というコンピ盤はそれまでの判で押したような選曲とは違い、知らないアーティストが何組も入っていたので試しに買ってみたところコレが大当たり。中でも断トツに良かったのがスミザリーンズというバンドがカヴァーした「ワン・アフター・909」で、オリジナルよりもテンポをやや落とした重心の低い演奏が新鮮に響き、めちゃくちゃ気に入ってしまった。しかもエンディングには「ダニー・ボーイ」やルーフトップ・コンサートのエンディングMC “オーディションにパスするといいんだけど...” を挿入するという拘りようで、ビートルズ・ファンなら思わずニヤリとさせられる名演だ(^o^)丿
 しかし恥ずかしながらこの時点で私はスミザリーンズというバンドのことを全く知らなかった。ライナーによると “80年代後半の60’sリバイバル・ブーム(←そんなんあったっけ?)で波に乗ったニュージャージー出身のバンド” とある。80年代後半ならまだ毎週アメリカン・トップ 40 を聴いていたはずなのに全く記憶にない。早速チャート・データを調べてみると1990年に「ア・ガール・ライク・ユー」という曲(←フォリナーかよ!)が38位、92年に「トゥー・マッチ・パッション」が37位ということで、どうりで90年代音痴の私が知らないワケだ。
 とにかく先の「ワン・アフター・909」が良かったので一体どんなCD出てるんやろ?と思ってアマゾンで検索して見つけたのがこの「ミート・ザ・スミザリーンズ」だった。タイトルからして既にアレだが、試聴してみるとカヴァーというよりもむしろ完コピに近い内容だ。しかも選曲から曲順に至るまでアメリカでのデビュー・アルバム「ミート・ザ・ビートルズ」をそっくりそのまま再現しているのだから恐れ入谷の鬼子母神だ。私はアメリカ盤に疎いのでこのことはずっと後になってから気付いたのだが...(>_<)
 内容はまさに “21世紀版パワー・ポップ・ビートルズ” という感じで、演奏していて楽しくてたまらないという感じがダイレクトに伝わってくるところがいい。頭の固い評論家や心の狭いファンは歯牙にもかけないだろうが、私のような “楽しかったらそれでエエやん!” 的な発想のビートルズ・ファンにはたまらないアルバムなのだ。特に人形を使ったビデオクリップが面白い①「アイ・ウォナ・ホールド・ユア・ハンド」やオリジナルの持つ疾走感を失うことなく見事にカヴァーした②「アイ・ソー・ハー・スタンディング・ゼア」、コピーが困難な彼らのハーモニーを忠実に再現した③「ディス・ボーイ」とくる流れが最高だ。さすがに④「イット・ウォント・ビー・ロング」はオリジナルのとてつもないエネルギーの奔流に比べると(←絶好調時のジョン・レノンと比べたら酷やけど...)ショボく聞こえてしまうけれど、⑥「オール・マイ・ラヴィング」や⑧「リトル・チャイルド」なんかはパワー・ポップ・バンドならではのノリの良さだ。⑪「アイ・ウォナ・ビー・ユア・マン」はストーンズのヴァージョンに比肩する出来だと思う。まぁどっちにしても “完コピ・ビートルズ” としては最上位に位置するアルバムだと自信を持って言える1枚なのだ。

The Smithereens - I Want To Hold Your Hand


ワン・アフター・909

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