shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

筒美京平を歌う アンド・モア (Disc 1) / 平山三紀

2010-01-21 | 昭和歌謡
 平山三紀は記録よりも記憶に残るシンガーである。レコード売り上げとか、ヒットチャート順位で言えば彼女よりも凄い人はいくらでもいるかもしれないが、彼女が第一線で活躍していた頃からもう40年近く経つというのに未だに彼女の人気は健在で、多くのコアなファンによって支えられている。もちろん私もその一人なのだが、とにかく今の時代、あれほど存在感のある “声” は見当たらない。ある意味、彼女こそ昭和の薫り・雰囲気を纏った最後のシンガーと言えるかもしれない。
 そんな “最後の大物” 平山三紀に入門するにはどのアルバムがいいのだろうか?アマゾンで彼女の名前で検索するとズラズラ~とベスト盤が出てきてどれを買ったらいいか迷ってしまう。彼女はこれまでレコード会社を転々としていて何度も自らのヒット曲をリメイクしているので、同じ曲でもヴァージョン違いだったりすることも多い。こっちのCDに入ってるのは “コロムビア・ヴァージョン” で、そっちのCDは “ソニー・ヴァージョン” だ、なんてことはどこにも書いてないから紛らわしいことこの上ない。
 私がオススメなのはレーベルの枠を超えて彼女の代表曲を上手くまとめたこの「平山三紀 筒美京平を歌う アンド・モア」という2枚組ベスト盤である。このアルバムは Disc-1 には「マンダリン・パレス」以外はすべてソニー音源を並べ、Disc-2 には前半にビクター / BMG時代のアルバム「EMISSION」と「チェス」から数曲ずつ、後半に外国曲カヴァーをコロムビア音源、ソニー音源とこれまた数曲ずつ収録しており、初CD化音源あり全曲彼女自身によるコメントありで、コスト・パフォーマンスは抜群に高い。
 Disc-1 は何と言ってもコロムビア時代のヒット曲を1975年にリメイクしたソニー・ヴァージョン4連発が圧巻だ。昭和歌謡の薫りが横溢する①「ビューティフル・ヨコハマ」、日本のポップ音楽史上に燦然と輝く永遠の名曲②「真夏の出来事」、ミディアムで気持ち良さそうにスイングする③「フレンズ」、疾風怒濤のロックンロール歌謡④「恋のダウンタウン」と、必殺の京平メロディーのアメアラレ攻撃に私は完全にKOされた。平山三紀といえばまずこの4曲なのだ。真のミキティー・マニア(?)を目指すならコロムビア・レーベルの「平山三紀 筒美京平ウルトラ・ベスト・トラックス」収録のオリジナル・ヴァージョンや2006年の大傑作「This is Miki Hirayama」収録の絶品アレンジ・ヴァージョン(?)との聴き比べも楽しい。
 京平さんが「真夏の出来事」の二匹目のドジョウを狙ったソニー移籍第1弾シングル⑤「熟れた果実」はイントロがジュリーの「追憶」してて思わず “ニーナ~♪” と口ずさんでしまいそうだし(笑)、一聴地味ながら聴けば聴くほど味が出るスルメ・チューン⑥「愛の戯れ」では彼女のヴォーカルの微妙な表現力が聴き所。「ビューティフル・ヨコハマ」な世界を「恋のダウンタウン」な雰囲気で歌ったロックンロール歌謡⑦「真夜中のエンジェル・ベイビー」は平山三紀にしか歌えないザ・ワン・アンド・オンリーな世界。彼女には横須賀、横浜、六本木が良く似合う。
 ⑩「私は女」は Disc-1 の私的隠れ名曲№1で、昭和歌謡のエッセンスを濃縮還元したような哀愁のメロディーがたまらない。一転してジャジーな雰囲気横溢の⑫「想い出のシーサイド・クラブ」、“平山三紀の声にはジャズが似合う” と喝破した京平さんのピアノがめちゃくちゃカッコ良いキラー・チューンだ。⑰「マンダリン・パレス」はこの後彼女が何度もリメイクするお気に入りのナンバーで、元々79年にシングルで出たワーナー・パイオニア・ヴァージョンがオリジナルなのだが、これはレアなBMG ファンハウス・ヴァージョンで、いかにも80's J-Pops という感じの無機質なサウンドが時代を感じさせて面白い。⑱「ブルー・ライト・ヨコハマ」は76年のオムニバス盤「筒美京平メモリアル・アルバム」収録の貴重な音源で、この超愛聴曲を平山三紀の歌声で聴けるとは思わなんだ(≧▽≦) 長生きはするモンやね。バックの演奏がもろフィリー・ソウル風MFSBしてるのはご愛嬌。こーなったらいっそのこと「平山三紀・コンプリート・ボックス10枚組」とか出してくれへんやろか、ワシ、喜んで買いまっせ!!! (つづく)

恋のダウンタウン

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